『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

146 / 788
第18話 グレート・スピリッツ

『……やぁ。間に合ったようだね』

 

「むしろ待ちぼうけたわ。

 寝坊するようなら叩き起こしてやろうかと思っていたところよ」

 

『フフフ……神を前にしても口が減らない奴らだ』

 

石の台座に座るハオはただの抜け殻だ。

彼は王の社の中央に伸びる巨大な魂、グレートスピリッツと一体となった。

 

「さて……シャーマンキングよ。

 人は滅ぶべきであるという主の考えに変わりはないか?」

 

『無論だ』

 

「そっか……じゃあやっか。

 オイラたち最後の、兄弟喧嘩を」

 

「ま、オレたちは兄弟じゃねぇけどな!」

 

「無様を晒すなよハオ。

 さもなくばシャーマンキングの座、オレが奪い取るぞ」

 

「コイツで終いなんだ、派手に行こうぜ!」

 

『いいだろう。ならば王のもとへと集うがいい』

 

五人の戦士は後ろの仲間たちを振り返る。

 

「……んじゃ、ちょっくら行ってくる」

 

「頑張ってね、葉くん!」

 

「ダンナァ!」「イッテラッシャイ」

 

「……負けんじゃないわよ」

 

彼らは肉体を捨て、魂だけの存在となりグレートスピリッツの中に飛び込む。

そして五大精霊に乗ってシャーマンキングのコミューンへと辿り着く。

何もない真っ白な世界で、ハオが彼らを待ち構えていた。

 

「よく来たな……『五大元素』よ」

 

「なんだそりゃ?」

 

「フフ……いつまでも『五人の戦士』では格好がつかないだろう?」

 

「なるほど、『その方がカッコイイ』のぅ!」

 

「全く、貴様ら兄妹は……。

 では……始めるぞ、ハオ!」

 

「オレらが負けたら、人類を滅ぼすでもなんでも好きにしな!」

 

「だがオレらが勝ったら……テメェには真っ当に王をやってもらうぜ!!」

 

「……ここで心が折れたら二度と復活することはない。

 完全なる魂の死。

 紅葉、お前ですら二度と生まれ変わることもできまい。

 ……それでもやるというんだな?」

 

「死ねば消えるは当たり前よ。

 ……何よりここで無様に逃げ延びて、世界一つを見殺しにした儂を、明日の儂が笑うじゃろうからな!」

 

「……そうか。

 ならばこれで本当のさよならだ」

 

オーバーソウル・グレートスピリッツ。

 

白銀に輝く、神々しく巨大なオーバーソウル。

原始から現代に至るまで、地球が観測してきたありとあらゆる事象を再現する究極の魂。

 

「五大精霊は地球の自然の化身。

 対してグレートスピリッツは星の力。

 これは『地球』対『宇宙』の構図」

 

ハオが呼び出したのは太陽。

真っ白で何もなかったコミューンが宇宙空間へと変貌する。

 

「大宇宙の小さな地球。

 ……ちっちぇえな」

 

『『太陽面爆発(フレア)』』

 

「ちぃっ!『磁場(マグネティックフィールド)』!!」

 

ハオの呼び出した太陽が発した超濃度の放射線を、スピリット・オブ・サンダーが再現した地球の磁場が受け流す。

 

「よく凌いだ。ならば次は直接受けてみるか?」

 

『『紅炎(プロミネンス)』』

 

「くそっ!手ェ貸せチョコラブ!」

 

「氷と風の合わせ技だな!」

 

太陽表面から数万kmまで立ち上る真紅の炎を、スピリット・オブ・レインとスピリット・オブ・ウィンドが『氷河期(アイスエイジ)』を再現して迎え撃つ。

 

「ふん!」

 

「「「「「あ」」」」」

 

だがその前に紅葉とスピリット・オブ・ファイアが迫る炎を支配し、あっさりと逸らした。

 

「今の儂に『炎』が通用すると思うたか?」

 

『……!!』

 

「オレらの……出番が……」

 

「ちったぁ見せ場を譲れよコノヤロー!

 オレなんてパッチとの戦いでもいいとこなかったんだぞ!!」

 

「……これだからお前は。ではこれならどうだ!」

 

『『彗星(コメット)』』

 

ガスと氷からなる巨大な塊が戦士たちに突っ込んでくる。

 

「ならば溶かしつくすまでよ!『赫灼熱拳(ボルケーノバーン)』!」

 

スピリット・オブ・ファイアが突き出した拳から膨大な溶岩流が放たれ、彗星を飲み込みハオにまで迫った。

これが『地球』対『宇宙』の構図だというなら、地球が太陽にまで届く大噴火を発したということになる。

ハオは咄嗟に氷の塊である小惑星を追加で呼び出し盾にすることで防いだ。

 

「えぇい、この規格外め!

 貴様だけやること成すこと地球ができる規模を超え過ぎだろう!?」

 

「くかかかかか!限界は超えるためにある!!

 『プルスウルトラ』じゃあ!!」

 

「……やっぱおかしいよアイツ」

 

「シャーマンキングですら理解を拒む存在か……」

 

敵に回すと恐ろしいが、味方にするとこれほど厄介な存在はいない。

具体的には脳や常識へのフレンドリーファイアが深刻だ。

 

「ならば数だ!燃やし尽くせぬこの巨石群、全て受け止めきれるか!」

 

『『隕石(メテオ)』』

 

「受け止めきれねぇなら受け流すさ!『引力(アトラクション)』!」

 

スピリット・オブ・アースの再現した巨大な引力により無数の岩塊は全く別の方向に流れていった。

 

「今だ!畳みかけろ!!」

 

「「「「おう!」」」」

 

『『九龍爆雷(クーロンバオレイ)』』

 

『『ポロワオケレルプシヌプリ(大きい大きい凍る山)』』

 

『『ゴッドブレスハリケーン』』

 

雷・水・風の大精霊が放つ攻撃がハオへと届く。

グレートスピリッツの発する障壁の前に受け止められたが、その隙に炎と土の大精霊がハオの眼前にまで迫っていた。

 

「やはり喧嘩は、拳が一番じゃな!」

 

「アンナ直伝……幻の左!」

 

『『赫灼熱拳(ボルケーノフィスト)』』

 

『『大地震パンチ』』

 

2体の大精霊の渾身の拳はグレートスピリッツの障壁を貫き、ハオ本体へと届いた。

グレートスピリッツは大きく殴り飛ばされ、耐え切れずハオは爆散するが、すぐに魂が元の形を取り戻す。

 

「くぅ……だがこれで準備は整った!」

 

ハオの抱えていた太陽が収縮していることに気付く。

 

「星の進化の最終段階……銀河に及ぶ大爆発!!」

 

「いかん!?」

 

アレを放たれれば流石にスピリット・オブ・ファイアでも受け流しきれない。

紅葉ですらやられてしまうだろう。

この場で死んだところで、心が折れなければ魂は再生はできる。

だが攻撃を防げなかったという事実は確かなダメージとなる。

 

「スピリット・オブ・ファイア!」

 

『……!!』

 

紅葉は掌を叩いて鬼の鎧を具現化し、大精霊を伴い仲間たちの前に出る。

 

『『超新星爆発(スーパーノヴァ)』』

 

「オーバーソウル!『スピリット・オブ・ファイア』・イン・『鬼相纏鎧(きそうてんがい)』!!

 甲縛式オーバーソウル……『輪廻天照(りんねてんしょう)』!!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。