『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第16話 戦闘訓練

緑谷たちが雄英に入学して二日目。

ヒーローを目指す生徒に無駄な時間を過ごす余裕などない。

二日目の午後より早くもヒーローになるための授業、『ヒーロー基礎学』が開始される。

そして記念すべきA組一回目の授業を担当するのは。

 

「わーたーしーがー!!」

 

教室の外から聞こえる大声に、生徒たちが反応する。

 

「普通にドアから来た!」

 

扉を開けて入って来たのは、誰もが知るナンバー1ヒーロー『オールマイト』。

生徒たちは画風の違う彼の姿に興奮するが、やがて彼の後ろに続くもう一人の存在を訝しむ。

 

「だったら入るのも普通にやらんかい。

 でかい図体で前を塞がれたら邪魔で仕方がない」

 

「酷い!お互い初めての授業なんだから、掴みって大事でしょ?」

 

恰好からヒーローであることはわかるが誰かはわからない。

彼女の知人でもないのに知っているとしたら、それは緑谷のようなヒーローオタクだろう。

今回、彼は知人側に分類されるが。

普段から着ている剣道着のような和服。

しかし腕と肩、袴から覗く脚には武者鎧を模した装甲が取り付けられている。

さらに服の上から簡素な胸当て、額には鉢金、そして腰に吊るした刀と多数の木札。

実に数年ぶりに人前に見せる、フレイムヒーロー『ヒノカミ』の姿だ。

 

「ヒーロー基礎学!

 ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!!

 今日の担当はこの私、オールマイトと!」

 

「サポート役のヒノカミが務める。行うのは戦闘訓練。

 全員、戦闘服に着替えグラウンド・βに集合せよ。

 儂らは先に行っておるからの」

 

来た時と同じように高笑いをしながら立ち去ろうとするオールマイトと、それを無視して先に教室から出て行ったヒノカミ。

 

「あ、ちょっと待って!ねぇ!」

 

置いていかれると気づいたオールマイトは慌てて駆け出した。

取り残された生徒たちは、憧れのナンバー1ヒーローの下でヒーローへの第一歩を踏み出すことへの興奮が気持ちの大半を占めていたが、謎のヒーローへの興味もわずかにあった。

 

「ん-……名前は聞いたことあるんだよなー……」

 

「親父の妹だ。オールマイトの、元サイドキック」

 

クラスメイトたちの会話に轟が割り込み、正体を明かす。

初日の個性把握テスト後の会話で、彼がナンバー2ヒーロー『エンデヴァー』の息子であることはすでに知れ渡っている。

 

「思い出した!6年くらい前まで一緒だったよな!」

 

「でもその頃から見なくなって……ヒーロー辞めたんじゃなかったの?」

 

「引退同然だったらしいが、新米教師のオールマイトを手伝うために来たらしい。

 それより、急いだ方がいいぞ」

 

「「「?」」」

 

轟は会話しながらも戦闘服をもって更衣室へと向かう準備を進めている。

ヒノカミのことを良く知っている緑谷と爆豪はすでに部屋を出ていた。

 

「舞姉……ヒノカミはある意味、相澤先生より厳しいから」

 

「「「!?」」」

 

すたすたと教室を出て行った轟。

残るクラスメイト達は顔を見合わせた後、慌てて動き出し後に続いた。

入試でも用いた市街地演習場に、各々のヒーローコスチュームを纏った生徒たちが集まる。

 

「良いじゃないか皆!カッコイイぜ!!」

 

全員がそろったところで、ヒノカミが訓練内容を説明する。

本日行うのは、対人戦闘訓練。

ヒーローチームとヴィランチームに別れ、2対2の屋内戦を行う。

チーム決めと対戦相手はくじ引きで決定。

状況設定は、ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。

 

「制限時間内に『核兵器を回収できれば』ヒーローチームの勝利。

 『核兵器を守り抜けば』ヴィランチームの勝利とする」

 

「……」

 

「また、各々に確保テープを支給する。

 これを巻きつけられた者は捕縛されたとみなし、以後の訓練への干渉を禁じる。以上じゃ」

 

ヒノカミの言いまわしに、轟だけが違和感を覚えた。

普段なら緑谷と爆豪も気づいたかもしれないが、彼らは第一試合にて対決することが決まっており、緑谷がOFAを継承して初めての直接対決に戦意をたぎらせていたため聞き逃してしまった。

ヴィランチームの爆豪と飯田がアジトであるビルの中で迎撃の準備を終え、教師と他の生徒たちが地下のモニタールームに移動する。

そして緑谷と麗日のヒーローチームが、アジトへと潜入した。




ほんの少しだけ、訓練のルールを変えています。
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