あまり大きな情報・進展はありません。
覚えている方は飛ばしてくださっても結構。
――――……
彼を逆恨みしていたヴィラン集団からの襲撃により、リンネの祖父は死んだ。
彼は無個性ながら剣の達人で、何より自分の信念に殉ずる覚悟を持った人だった。
物心ついて間もなくヴィランに家族を殺され彼に引き取られたリンネは、彼のような人間を目指していた。
しかし当時の彼女はまだ幼く、弱かった。
だからある日家を襲撃してきたヴィラン集団の内の2,3人しか受け持つ力が無く、彼女がそいつらを斬り殺している間に、祖父は他のヴィラン連中と相打ちになっていた。
もう少し、もう少し自分に力があれば祖父は殺されずに済んだはずだ。
だから彼女は力を求めた。生きるために。
祖父の葬儀に訪れる人はいなかった。
義侠心溢れる祖父に助けられた者は大勢いたはずだが、ヴィランに目をつけられることを恐れて皆目を背けた。
家族を二度失い、リンネはまた一人になった。
田舎のはずれにある、古くて広いだけの屋敷は襲撃で燃え落ちた。
こうなる可能性を予測していた祖父のお陰で、しばらく一人で生きていけるだけの財産は隠されていた。
祖父の使っていた名刀を握り、リンネは行く当てのない修行の旅に出た。
戦う機会には困らなかった。
金目の物を持った小娘一人、ヴィランにとっては格好の獲物だったから。
連中を返り討ちにして身ぐるみを剥げば金にも困らなかった。
ただ奴らの返り血を拭うのが億劫になり、気づけば彼女の外套は真っ赤に染まっていた。
――――……
やがて、リンネはとあるヒーローたちの保護下に置かれることになった。
正当防衛を理由に次々と人を斬り殺す少女の噂は、彼女の知らないうちに広く伝わっていたらしい。
このヒーローたちは当時の時代には珍しく真っ当な人間で、リンネの事情にも理解を示したうえで保護を名乗り出てきた。
小柄で弱そうな彼女をヴィランと決めつけて点数稼ぎに襲ってくるヒーローもいたので、面倒が減るならとその提案を受けた。
連中は『救いようのない極悪ヴィラン』とやらを殺す気で襲い掛かっておきながら、自分が殺されそうになると国家権力を持ち出して命乞いをしてくる。
見逃しても背を向けた瞬間襲ってきたり、軍勢を連れて戻ってくるのが何度か続いてからは、リンネは殺す気で来た相手は全員始末するようになっていた。
……処理が本当に面倒だったのだ。
――――……
当時の彼女は無個性と思われていた。
実力はともかく、その経歴もあってヒーローになれるはずはない。
なので保護下にはあったが、ヒーローたちとは常に少し距離を取って行動していた。
……だから彼らがAFOに襲われたときに攻撃範囲から外れており、即死を免れた。
彼らには少なからず恩があった。
リンネはせめて仇をとAFOに斬りかかったが、AFOは無個性の小娘に何の興味も示さなかった。
羽虫を払うかのように返り討ちにあい、生死の境をさまよった。
負傷した彼女を拾い後継として見出したのが、5代目OFA継承者である万縄大悟郎だった。
――――……
5代目がAFOに敗れ、6代目OFA継承者となったリンネは個性を鍛え上げ、AFOに再戦を挑んだ。
それでも遠く遠く及ばなかった。
死ぬ間際にあらかじめ見つけていた後継候補である志村菜奈にOFAを託し、彼女の盟友だった酉野空彦に彼女の支えを頼み、息絶えた。
しかし彼女にも個性があったことが発覚した。
『死後生まれ変わる』個性だ。
そして大貝令という少女が前世の記憶を完全に思い出したのは15歳になってのことだった。
またも目の前で家族を失い、その衝撃でようやくだ。
記憶と同時に戦闘技術も思い出した令は、強盗に押し入ったヴィランたちを全員殺した後そのまま失踪した。
六道リンネが死んだ後、AFOとOFAの戦いがどうなったのかを確かめるために。
そして後を託した菜奈がすでに死亡し、しかしAFOは未だ健在であることを知った。
故に8代目の後継者と合流し協力できないかと考えたが、どれだけ探しても8代目らしき人物がどこにもいない。
令はOFAが菜奈で途絶えた可能性に思い至った。
実際には8代目……八木俊典は修行と安全確保のため渡米していたのだが、そうと知らぬ令は単身でAFOへと挑んだ。
生まれ変わったことで新たな個性を手に入れたがOFAを失っている。
まともに戦って勝ち目などあるはずがなかった。
故に服の中に大量に爆弾を仕込み、自爆し巻き込もうとした。
AFOの体を多少汚すくらいしかできなかったようだが。
――――……
そして二度目の転生が発動した。
個性が発現すると同時に、轟舞火は二度の前世の記憶を取り戻した。
この作品においては、リンネを拾ったヒーローたちの一人が本来の六代目OFA継承者である煙さんです。
AFOの襲撃を受けた際に生き残ったのがどちらかで、原作と分岐しました。