『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第7話

映像はその後も続く。

 

ナイトアイが加わり、オールマイト達4人はAFOを撃破。

事情を聴いたエンデヴァーが負傷したオールマイトを休養させ、一時ナンバーワンとして社会の安定に努めた。

同時にヒノカミの病と、個性複数所持による負担が発覚。

病状を遅らせることしかできないならと3年後にヒノカミは治療を中断。

彼女の未来を予知したことでAFOの生存と、OFA後継者候補を見つける。

ヒノカミは2年間かけて9代目である緑谷出久と彼の幼馴染の爆豪勝己を育て上げ、オールマイトと共に雄英に就任。

予知に従い敵連合の襲撃を悉く退け、神野市にてAFOと再戦。

AFOを追い詰め、諸共自爆。ここでヒノカミがテリトリーを解除し映像が途切れた。

 

「これが儂の……轟舞火としての一生じゃ」

 

「「「「……」」」」

 

オールマイト、グラントリノ、根津、リカバリーガールはあまりの衝撃で言葉を発することもできずにいる。

 

「おおよそ聞いちゃいましたが……こうして見せてもらうととんでもない生涯送ってますね」

 

「マジで気合入ってんなぁ、オマエ」

 

「…………」

 

『作り物の映像』というには、あまりに真に迫りすぎていた。

もはや誰もヒノカミの経歴を疑ってはいなかった。

 

「荼毘……燈矢って子とトガヒミコは、ヒーローになる道もあったってことかい……」

 

「内通者は誰かと議論になっていましたが、こちらでも同じとするならば……青山少年が……」

 

「泣いていたね……僕達は生徒のSOSに気付くことすらできていなかったのさ」

 

「儂がもう一度転生するとしたら、丁度今頃と考えておった。

 しかし生まれ変わった先はなぜか全くの別世界であった。

 その後も儂は転生を繰り返し、やがて平行世界を超える手段を手に入れ、故郷を目指し様々な世界を転々と渡り歩いた。

 そしてついに見覚えのある光景を見て故郷に辿り着いたと確信しておったのだが……」

 

「似て非なるこの世界だったということか。

 ……確かに、こうして証拠を見せてもらわなければ信じることはできなかっただろうね」

 

「大筋は似ちゃあいるが、その実全くの別モンだぜこりゃ。

 敵連合は全員捕らえてる、オール・フォー・ワンも結末はわかんねぇが死んだも同然、9代目の実力も申し分ねぇ。

 ……コイツの世界、もうゴタゴタが全部解決してるじゃねぇか」

 

「たった一人でここまで変わるとは……」

 

「『バタフライエフェクト』というものかしらね」

 

ヒノカミが掌を叩いて彼らの会話を中断させる。

 

「さてこれで儂の身の上は明かした。

 そして儂が尋ねたいのは、お主らはこれからどうするつもりかということじゃ」

 

「どう、とは?」

 

「儂なりにこの二日間、この世界について調べていた。

 敵連合の捕縛に動いているのはわかるが、具体的にどのように対策を取っておる?」

 

「あー……ヒノカミさん、念のためテリトリーってのもっかい使ってもらっていい?」

 

「……構わん」

 

絶対に聞かれたくない情報なのだろうと、ヒノカミはホークスの要請に応える。

 

「……今オレは、公安の指示で動いています。

 『敵連合に取り入れ』と」

 

「「「!?」」」

 

「『闇組織を根絶する為に多くの情報がいる。その間に奴らが出す被害は目を瞑れ』。

 ……先日の福岡の事件も、敵連合の荼毘と結託して起こしたものです。

 せめて被害を少なくするためにエンデヴァーさんを呼んで……すいませんでした」

 

「結託……連絡は取れるのか!?居場所は!?」

 

「残念ですが……連絡は向こうから一方的にです。

 本当は事件後に一回会う予定だったんですが、予定の場所には時間になっても現れませんでした。

 改めての連絡もありません。自分の正体がバレたことから荼毘は挙動を変えたようです」

 

「そう、か……」

 

エンデヴァーは掴んでいたホークスの肩を力無く放した。

 

「……理屈はわかるが、被害に目を瞑ってまでだと!?

 その間にどれほどの市民が傷つくと思っている!?」

 

「これだからアイツら嫌いなんだよアタシは。

 まだるっこしぃ~……」

 

「今の言葉で確信した。

 このままでは、ヒーロー社会は崩壊する」

 

「「「!?」」」

 

ヒノカミは指を動かし、掌を合わせテリトリーを維持したまま指を組む。

 

「『闇組織を根絶する』……『勝ち方』を考えて動いている時点で連中の見通しは甘すぎる。

 先日の脳無……AFOが捕まっている状況でもあんなものが生み出せると発覚した時点で、すでに敗色濃厚だと気付かんのか!」

 

「……確かにヒノカミさんがいなかったらオレらだって無事では済まなかったかもしれません。

 たった1体とトップヒーロー二人が互角だってんなら、5体もいりゃあ戦力差は逆転しますね」

 

「先日の事件がホークスくんへの試金石のつもりだったのなら、虎の子の一体を使うとは思えない。

 間違いなく同等以上の脳無が複数いるだろう。

 おまけに相手には転送能力がある。

 日本の各都市に分散して同時攻撃すれば……」

 

「……考えたくねぇが、そりゃ確かにマジで終わるな」

 

ようやく自分たちがあまりに劣勢であることを理解したヒーローたちは、沈痛な面持ちで頭を抱える。

 

「……倒すだけなら、儂一人で事足りる」

 

「「「!?」」」

 

「多くの世界を渡り歩いて来たと言ったな?

 今の儂なら脳無も敵連合もオール・フォー・ワンすらも雑兵よ。

 乗りかかった船じゃ、手を貸してやろう。

 望むなら今すぐ全てを処理してやっても良い。

 ……だが貴様らはそれでいいのか?

 ことが終われば儂は去るぞ?

 儂一人に丸投げして今の苦難を乗り切り、この世界の未来を守っていけると胸を張って言えるのか?」

 

「……言えるわけねぇよ。ここはアタシらの世界だ。

 アンタがどれほどかスゲェか知らねーが、おんぶにだっこで平気な顔できるような奴はここにはいねぇよ!!」

 

ミルコの宣言に、ヒーローたちは力強く頷く。

 

「……ホークス、公安と手を切れ。

 お主にはこっちについてもらう。

 あとベストジーニストは負傷中なだけじゃよな?

 儂が治療する。アイツも引き込むぞ」

 

「一体どうするつもりだい、ヒノカミ?」

 

「どこにどんだけ内通者がおるかもわからん以上、量より質で行く。少数精鋭じゃ。

 連中が『敵連合』だというのなら……こちらは『トップヒーロー連合』を結成する!」

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