合同訓練終了後、緑谷はオールマイトから生徒指導室に呼び出された。
ヒノカミという人も一緒だと聞いている。
何故彼女が過去のOFA継承者とその個性を知っているのか、ぜひ教えてほしいと思っていたので渡りに船だ。
しかし扉を開けるとそこにいたのはオールマイトとヒノカミだけではなく。
「かっちゃん!……麗日さん!?」
「はよ座れやクソデク」
「な、なんで麗日さんも!?」
「私もようわからんのやけど、なんか『おいでー』って……」
爆豪は既にOFAのことを知っている。
だから彼がいるのは辛うじて理解できるが、事情を知らない麗日がいるのは完全に予想外だ。
「集まってもらってすまんの。
単刀直入に言うと、儂は主ら3人を勧誘するために呼んだんじゃ」
「勧誘?」
「んだテメェ、怪しい宗教団体かなんかか?」
「かっかっか!威勢がいいのぅ!
昔のあ奴を思い出す……躾のし甲斐がありそうじゃ……!」
「「ヒィッ!?」」
ヒノカミの笑みを見て緑谷と麗日は思わず咄嗟に抱き合った。
爆豪は無言だが、一筋の汗を流した。
「まぁまぁ落ち着いて。
生徒たちは夜に交流会を予定しているらしいし、彼らも待たせている。
まずは一緒に来てもらおうよ」
「……そうじゃな」
「一緒に?」「来て?」
「あァ?俺らをどこに連れてこうってんだ?」
「それはついてからの……お楽しみじゃ!」
そう言ってヒノカミは掌を叩く。
一瞬だけ発動したテリトリーで、ヒノカミはオールマイトと3人の生徒を捕捉した。
直後、彼女も含めた5人の姿が生徒指導室から消える。
――――……
「「……え?」」
気付けば、緑谷たちは見知らぬ部屋にいた。
先ほどまでいた指導室よりも明らかに広く、構造も大きく異なる。
「……転移個性か!?
おいテメェ、個性は炎じゃなかったのか!?」
「かっかっか。そこも含めて全部話してやる。
今は黙ってついてこい」
そしてヒノカミは部屋の扉を開けて外に出てしまう。
オールマイトに促され、生徒たちも彼らの後を追う。
何故か妙に六角形の意匠が多い建物の廊下を抜け、突き当りの大扉を開いた。
「……やぁ、待っていたよ!
緑谷くん、爆豪くん、麗日くん!」
「疲れてるところ悪いね。ハリボーをお食べ、ハリボー」
「久しぶりだなぁ、小僧」
「……フン」
「や。初めまして緑谷くん」
「試合映像は見せてもらったぞ、バクゴー。
まだまだキッチリとは行かないが、一歩前進したようでうれしく思う」
「よぉ、麗日っつったか?気合入ってたぜ、オマエも!」
「「「……!!?」」」
会議卓に座る面々を見て、緑谷たちは思わず息を呑む。
根津校長、リカバリーガール、グラントリノ。
エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、ミルコ。
OFA関係者とトップヒーローたちが勢ぞろいしているのだから。
「え、えええええぇぇぇえ、えぇと!?
こ、ここここれは一体何の集まりなんでせうか!?」
「わぁ、デクくんめっちゃ震えとる。
逆になんか落ち着くわ」
「クソジーパン……テメェ意識不明の重体じゃなかったのか?」
「まぁまぁ、それも今から説明するよ。
まずは君達も座ってくれたまえ」
ヒノカミ、オールマイトも気付けば奥の席に座っている。
緑谷たちは互いに無言で見つめ合い、頷いて空席に座った。
「コホン……実は先日ここにいる僕たちで『トップヒーロー連合』なるものを結成したのさ!
ただこれは仮称だから、良い名前の案があったら採用するよ!」
「『トップヒーロー連合』……!」
「……『敵連合』に対抗する組織ってことか」
「いかにも。
僕らは敵連合、そして連中の背後にいるオール・フォー・ワンとその協力者たちに対抗するために組織を結成したのさ。
人格も実力も信頼できる、少数精鋭でね。
……目の前にある冊子に目を通してくれないかい?」
促されて、3人は目の前にあった冊子をパラパラとめくる。
そこに記されていたのは、大勢の人間の情報。
「ヒーローと、政治家と、警察の幹部と、資産家と、雄英の生徒と……?」
「……青山くん?」
「まとまりがねぇな、コイツらが一体なんだってんだ?」
「……彼らは現時点で確定している、『オール・フォー・ワンの協力者』なのさ」
「「「!!?」」」
「信じたくないとは思うが、事実だよ。
……情報の裏付けは既に済んでいる」
書類をよく読めば、青山の経歴についても記されている。
情報は隠蔽されていたが彼もまた『無個性』であり、突如個性が発現したとある。
更に彼の両親がAFOに捕捉され、脅迫されているらしいということも。
「そんな……!?」
「なるほどな。こんだけ根ぇ張られてたら下手に勢力拡大もできねぇか。
……つーかコレ、詰んでねぇか?」
「HAHAHAHAHA!痛いところをつくね!
……その通りだ。もはやヒーロー社会は風前の灯火と言っていい」
「「「!?」」」
「ヒーローも、公安も、警察だって残念ながら当てにできない。
だから僕たちは集結したのさ!
この流れを断ち切り、未来を変えるために。
敵連合を……その背後にいるオール・フォー・ワンを完全に倒すために!!」
「そして、その一員として主らを迎え入れたいわけじゃ」
「ぼ、僕らが!?」「なんで私なんかを!?」
「……オレと丸顔はデクのオマケってことかよ」
「……我らはオール・フォー・ワンとの再戦があると見越している。
故に奴に個性を奪われぬ、ワン・フォー・オール継承者である出久の参戦は不可避。
そして出久と連携できるサポーター候補として主らを見初めたのじゃ」
この場で唯一OFAのことを知らない麗日が首を傾げるが、無視して爆豪が詰め寄る。
「納得はできねぇが、理屈はわかった。
このメンツの理由もな。
……だが唯一わかんねぇのがテメェだクソアマ」
ヒノカミの正体が何者なのか、緑谷たちも気になっていた。
「……彼女は我々の協力者さ。
敵連合に対抗する術と、この場所を提供してくれる、ね」
「この場所……そういえば、ここは一体どこなんですか!?」
「……ここは洋上に浮かぶ孤島。
儂がテリトリー……個性のようなもので一時的に作り出した、我ら『トップヒーロー連合』の秘密基地」
「人工島『錬金戦団亜細亜支部研究所』じゃ」
・錬金戦団亜細亜支部研究所
ヒノカミが錬金術の世界で過ごした記憶を元にテリトリーで再現された秘密研究所。
大勢の錬金の戦士と研究者たちが不自由なく暮らせるよう、居住区・医務室・武装開発設備・訓練施設など様々な設備が充実している。
ただ甘いコーヒーが好きなホークスからは『自販機がブラックばかり』と不満の声が上がっている。