『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第10話

合同訓練終了後、緑谷はオールマイトから生徒指導室に呼び出された。

ヒノカミという人も一緒だと聞いている。

何故彼女が過去のOFA継承者とその個性を知っているのか、ぜひ教えてほしいと思っていたので渡りに船だ。

しかし扉を開けるとそこにいたのはオールマイトとヒノカミだけではなく。

 

「かっちゃん!……麗日さん!?」

 

「はよ座れやクソデク」

 

「な、なんで麗日さんも!?」

 

「私もようわからんのやけど、なんか『おいでー』って……」

 

爆豪は既にOFAのことを知っている。

だから彼がいるのは辛うじて理解できるが、事情を知らない麗日がいるのは完全に予想外だ。

 

「集まってもらってすまんの。

 単刀直入に言うと、儂は主ら3人を勧誘するために呼んだんじゃ」

 

「勧誘?」

 

「んだテメェ、怪しい宗教団体かなんかか?」

 

「かっかっか!威勢がいいのぅ!

 昔のあ奴を思い出す……躾のし甲斐がありそうじゃ……!」

 

「「ヒィッ!?」」

 

ヒノカミの笑みを見て緑谷と麗日は思わず咄嗟に抱き合った。

爆豪は無言だが、一筋の汗を流した。

 

「まぁまぁ落ち着いて。

 生徒たちは夜に交流会を予定しているらしいし、彼らも待たせている。

 まずは一緒に来てもらおうよ」

 

「……そうじゃな」

 

「一緒に?」「来て?」

 

「あァ?俺らをどこに連れてこうってんだ?」

 

「それはついてからの……お楽しみじゃ!」

 

そう言ってヒノカミは掌を叩く。

一瞬だけ発動したテリトリーで、ヒノカミはオールマイトと3人の生徒を捕捉した。

直後、彼女も含めた5人の姿が生徒指導室から消える。

 

 

――――……

 

 

「「……え?」」

 

気付けば、緑谷たちは見知らぬ部屋にいた。

先ほどまでいた指導室よりも明らかに広く、構造も大きく異なる。

 

「……転移個性か!?

 おいテメェ、個性は炎じゃなかったのか!?」

 

「かっかっか。そこも含めて全部話してやる。

 今は黙ってついてこい」

 

そしてヒノカミは部屋の扉を開けて外に出てしまう。

オールマイトに促され、生徒たちも彼らの後を追う。

何故か妙に六角形の意匠が多い建物の廊下を抜け、突き当りの大扉を開いた。

 

「……やぁ、待っていたよ!

 緑谷くん、爆豪くん、麗日くん!」

 

「疲れてるところ悪いね。ハリボーをお食べ、ハリボー」

 

「久しぶりだなぁ、小僧」

 

「……フン」

 

「や。初めまして緑谷くん」

 

「試合映像は見せてもらったぞ、バクゴー。

 まだまだキッチリとは行かないが、一歩前進したようでうれしく思う」

 

「よぉ、麗日っつったか?気合入ってたぜ、オマエも!」

 

「「「……!!?」」」

 

会議卓に座る面々を見て、緑谷たちは思わず息を呑む。

根津校長、リカバリーガール、グラントリノ。

エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、ミルコ。

OFA関係者とトップヒーローたちが勢ぞろいしているのだから。

 

「え、えええええぇぇぇえ、えぇと!?

 こ、ここここれは一体何の集まりなんでせうか!?」

 

「わぁ、デクくんめっちゃ震えとる。

 逆になんか落ち着くわ」

 

「クソジーパン……テメェ意識不明の重体じゃなかったのか?」

 

「まぁまぁ、それも今から説明するよ。

 まずは君達も座ってくれたまえ」

 

ヒノカミ、オールマイトも気付けば奥の席に座っている。

緑谷たちは互いに無言で見つめ合い、頷いて空席に座った。

 

「コホン……実は先日ここにいる僕たちで『トップヒーロー連合』なるものを結成したのさ!

 ただこれは仮称だから、良い名前の案があったら採用するよ!」

 

「『トップヒーロー連合』……!」

 

「……『敵連合』に対抗する組織ってことか」

 

「いかにも。

 僕らは敵連合、そして連中の背後にいるオール・フォー・ワンとその協力者たちに対抗するために組織を結成したのさ。

 人格も実力も信頼できる、少数精鋭でね。

 ……目の前にある冊子に目を通してくれないかい?」

 

促されて、3人は目の前にあった冊子をパラパラとめくる。

そこに記されていたのは、大勢の人間の情報。

 

「ヒーローと、政治家と、警察の幹部と、資産家と、雄英の生徒と……?」

 

「……青山くん?」

 

「まとまりがねぇな、コイツらが一体なんだってんだ?」

 

「……彼らは現時点で確定している、『オール・フォー・ワンの協力者』なのさ」

 

「「「!!?」」」

 

「信じたくないとは思うが、事実だよ。

 ……情報の裏付けは既に済んでいる」

 

書類をよく読めば、青山の経歴についても記されている。

情報は隠蔽されていたが彼もまた『無個性』であり、突如個性が発現したとある。

更に彼の両親がAFOに捕捉され、脅迫されているらしいということも。

 

「そんな……!?」

 

「なるほどな。こんだけ根ぇ張られてたら下手に勢力拡大もできねぇか。

 ……つーかコレ、詰んでねぇか?」

 

「HAHAHAHAHA!痛いところをつくね!

 ……その通りだ。もはやヒーロー社会は風前の灯火と言っていい」

 

「「「!?」」」

 

「ヒーローも、公安も、警察だって残念ながら当てにできない。

 だから僕たちは集結したのさ!

 この流れを断ち切り、未来を変えるために。

 敵連合を……その背後にいるオール・フォー・ワンを完全に倒すために!!」

 

「そして、その一員として主らを迎え入れたいわけじゃ」

 

「ぼ、僕らが!?」「なんで私なんかを!?」

 

「……オレと丸顔はデクのオマケってことかよ」

 

「……我らはオール・フォー・ワンとの再戦があると見越している。

 故に奴に個性を奪われぬ、ワン・フォー・オール継承者である出久の参戦は不可避。

 そして出久と連携できるサポーター候補として主らを見初めたのじゃ」

 

この場で唯一OFAのことを知らない麗日が首を傾げるが、無視して爆豪が詰め寄る。

 

「納得はできねぇが、理屈はわかった。

 このメンツの理由もな。

 ……だが唯一わかんねぇのがテメェだクソアマ」

 

ヒノカミの正体が何者なのか、緑谷たちも気になっていた。

 

「……彼女は我々の協力者さ。

 敵連合に対抗する術と、この場所を提供してくれる、ね」

 

「この場所……そういえば、ここは一体どこなんですか!?」

 

「……ここは洋上に浮かぶ孤島。

 儂がテリトリー……個性のようなもので一時的に作り出した、我ら『トップヒーロー連合』の秘密基地」

 

 

 

「人工島『錬金戦団亜細亜支部研究所』じゃ」




・錬金戦団亜細亜支部研究所

ヒノカミが錬金術の世界で過ごした記憶を元にテリトリーで再現された秘密研究所。
大勢の錬金の戦士と研究者たちが不自由なく暮らせるよう、居住区・医務室・武装開発設備・訓練施設など様々な設備が充実している。
ただ甘いコーヒーが好きなホークスからは『自販機がブラックばかり』と不満の声が上がっている。
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