『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第11話

教師たちはまだ雄英での仕事が残っており、生徒たちもこの後反省会を予定している。

今は互いに時間がないからと、背景に証拠映像を垂れ流すだけで説明は口頭で行った。

 

ヒノカミはこことよく似た平行世界にてOFAを継承した人物の生まれ変わりであり、彼女の世界はこの世界と似た流れになっているがすでに敵連合は壊滅しAFOも撃破していること。

生まれ変わりにより平行世界を旅し続けた彼女は、もはやAFOや全盛期のオールマイトすら容易く撃破できる圧倒的強者であること。

旅の果てに故郷に辿り着いたかと思えば、別の世界であったこと。

この世界の惨状を知り、助力を申し出たこと。

彼女一人でも何とかできるがいずれこの世界を去る彼女が全てを解決するべきではないと判断し、あくまでサポートに徹していること。

 

「……デクくん。ウチも~ついていけんので後でまとめを教えてください。グゥ」

 

「起きろクソ丸顔!

 ……で!サポートってのは具体的になんだ?

 この状況、どうやって覆そうってんだ?」

 

(脱線しそうになる度にきっちり話を戻して進行させてる……すごいやかっちゃん!)

 

「かかか。簡単じゃよ。

 戦力が足りなければ足せばよい。

 数で補えないなら質で補えばよい。

 ……つまり、儂が主らを鍛え上げる。

 トップヒーロー4名と、主ら3名をな」

 

「……たった7人で、何ができるってんだ?」

 

「それが全盛期のオールマイトをも上回る7人であればどうじゃ?」

 

「「「!?」」」

 

緑谷と麗日だけでなく、爆豪すらも勢いよく立ち上がる。

 

「無論、まともな手段では短期間での劇的な成長は見込めぬ。

 故に邪道……主らには本来この世界の者には扱えぬ力、『霊力』を身に着けてもらう」

 

霊子の薄いヒーローの世界で霊力に目覚めることは、普通はできない。

だが彼らがいるこの島はヒノカミがテリトリーで霊力を注ぎ生み出したもの。

流石にこの規模の物体となれば具現化の維持が難しく霊力の霧散が激しいので、だからこそこの島は常に霊力が満ちている。

代償として施設の維持のためにヒノカミが定期的に大量の霊力を注がねばならず……具体的には24時間以上ここを離れることはできないが。

 

「儂が過去に訪れた世界には、力を開放すれば大地を揺らし、戦いの余波で嵐を引き起こし、自在に空を飛び次元を切り裂く霊能力者すらいた。

 授業やヒーロー活動の合間を縫う形となるから彼らのような強さに至るのは無理じゃが、それでも主らはこの世界において、他と隔絶した強さを手に入れることになる」

 

「隔絶した……強さ……!」

 

「故に、力を与える者を厳選せねばならんのじゃ。

 そして儂はここにいる者たちを選んだ。

 ……改めて聞く。

 主らは邪道に手を染めてまで力を手にし、巨悪と戦う覚悟はあるか?」

 

「「……お願い、します!!」」

 

緑谷と爆豪が力強く答える。

しかし麗日だけは言葉に詰まっていた。

 

「その……本当に私なんかでいいんでしょうか?

 もちろん修行とか、命かけて戦うのが嫌と言うとるんじゃないです。

 ただ、私よりももっと相応しい人が、いるんじゃないでしょうか……?」

 

「……」

 

ヒノカミは座席を立ち上がり、麗日の前に移動して肩を掴む。

 

「お主が、ナイトアイを看取ったと聞いた」

 

「!?」

 

「試合も見ていた。誰かを助けるために真っ先に飛び出せるお主だからこそじゃ。

 ……今の儂から見れば多少の素質や才能の有無なぞ誤差でしかない。

 爆豪よりもお主を買っておるのよ、儂は」

 

「んだとコラァ!?」

 

「霊能力には他者を治療する術もある。

 個性でない力だからこそ気軽に人前では使えんが、救える者もきっと増えるはずじゃ。

 すまんが返答を待ってやれる時間の余裕もない。

 卑怯だとは思うが、頑張ってみんか?」

 

「……お願いします!」

 

「……よし」

 

「んで、これからアタシらは何すりゃいいんだ?」

 

これで7人全員の同意を得られたことになるが、具体的な修行方法は何も告げていない。

それを今から説明する。

 

まずは7人に六角形のタブレットのような物と、小さな金属板を配る。

テリトリーで作り出したものではない。

この世界に来て、研究所の設備を利用し製作したものだ。

 

「大きい方は転移装置じゃ。この島との行き来に使用せい。

 まず主らには霊子の濃い空間に体を慣らしてもらう。

 他の者に見つからぬよう、可能な限り頻繁にこの島を訪れてくれ。

 転移装置の使い方とこの島の施設の説明は後で冊子を用意する。

 そして小さい方は治療用核鉄。

 怪我や疲労の回復が劇的に早まる。常に身に着けておけ」

 

そしてヒノカミはミルコの方に近寄り、両手を前に出すように指示する。

 

「ある程度霊力に慣れてきたと判断したら……これを使う」

 

するとミルコの両手が光る手枷で拘束された。

 

「んだコレ!?手首がくっついて離れねぇ!?」

 

「呪霊錠。霊力用の強制ギプスじゃよ。

 最初はもっと弱く、成長に合わせて少しずつ強くしていく。

 この状態で訓練すれば効果は倍増しよう。

 先ほど言ったが期間は半年の予定じゃ。他に何か質問は?」

 

そこで今まで黙っていたエンデヴァーが手を上げる。

 

「……肝心の敵連合の情報収集はどうする?」

 

本来はホークスが敵連合に接触し潜入捜査を行う予定だったのだ。

その彼は既に公安から離反し、これから修行に専念する。

 

「問題ない。そちらも儂が担当する。

 奴らには見えず、奴らには捕まえられず、24時間365日活動できるとっておきのスパイがおるからの」

 

『カァ~』

『シャ~』

 

数日後、ヒノカミが遣わせた2体の霊から敵連合を発見したという報告があった。




・簡易ヘルメスドライブ

ヒノカミが量産した簡易武装錬金。
誰でも使用できるが対象は所有者のみで、転移対象の登録数や最大転移距離などでも劣る。
奪われる危険もあるので数を減らしているが、貴重な材料を使っているのでそもそも大量生産できない。

・治療用核鉄

ヒノカミが量産した特殊な核鉄。
武装錬金への変形機構はなく、その治癒能力のみを再現したもの。
こちらも大量生産は不可。

・呪霊錠

霊光波動拳の使い手が修行に用いる霊気で作られた枷。
霊力を放出し続けなければ枷同士がくっついて離れない。
「開(アンテ)」と宣言すると解除される。
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