『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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時系列が細かくわからないので、合同訓練と泥花市決戦の間隔がおそらく短くなっています。ご了承ください。


第12話 泥花市の戦い

「見つけただと!?どこだ!?」

 

「落ち着いてくださいエンデヴァー!!」

 

敵連合発見の報告を受けた途端、エンデヴァーは研究所に飛んできた。

一足早く訪れていたホークスに宥められている。

 

「新潟の山中じゃ。

 ……だが向かってはならん」

 

「何故だ!?燈矢がそこにいるんだぞ!?」

 

「転移能力持ちの協力者が判らんままだからじゃ。

 ソイツを抑えぬ限り追っても捕らえても意味がない。

 ……今は泳がせるしかなかろう」

 

「……くっそぉぉおお……!」

 

エンデヴァーは今すぐにでも飛び出しそうだったが、ヒーローとしての彼の冷静な部分が勝ったようで、苦渋の表情で押し留まった。

 

「……で、連中はそんなところで何してるんです?」

 

「『マキア』とかいうデカブツと戦っておる。

 おそらくグラントリノが遭遇したというAFOの配下……何故戦っているのかはまるでわからんが」

 

訓練という様子ではない。

少なくともマキアの方は明らかに死柄木を殺す気で襲い掛かっている。

死柄木も満身創痍だ。

 

「……む!?転移で移動したぞ!?」

 

「「!?」」

 

誰かと電話をしていたようだが、その後突如黒い泥に呑まれて連中が姿を消した。

 

「どこに行った!?」

 

「すぐに探し出す!じゃが流石に時間をくれ!」

 

島と一緒に具現化し設備に組み込んだ『スピリット・サーチ・システム』を起動する。

対象は荼毘。一度だけだが彼とはこの世界で直接会っているため、時間をかければ魂の波長を追うことができる。

 

「……愛知?

 赫月!すぐに移動じゃ!!」

 

『カァーッ!!』

 

ヒノカミの念話に答え、白星を掴んだ赫月が新潟から急いで移動する。

彼らが目的地に到着した時には、すでに大規模な戦闘が発生していた。

 

「……なんじゃ、これは……!?」

 

「おい、どうした!何があった!」

 

「待て、今見せる!」

 

ヒノカミはエンデヴァーたちを内側に入れる形でテリトリーを発動。

赫月と白星からヒノカミの頭に直接送られてくる映像を内側に投映する。

 

「燈矢!!」

 

「なんですかコレは……まるで戦争じゃないですか!?」

 

敵連合の連中に対し、一つの街の住民全員が襲い掛かっている。

一部ヒーローらしき者も混ざっているが、大半はどう見ても一般人。

なのにその戦闘力の高さ、そして自らの死をいとわぬ狂気は、どう見ても一般人ではない。

 

「愛知県、泥花市……周辺の通行が一斉に規制されておる。

 ヒーローたちの手によって……!?」

 

「!?つまり、コレは!?」

 

「敵連合側の作戦ではない……住人側が戦いを仕掛けているということか!?」

 

「白星、降りてくれ!音を拾うんじゃ!!」

 

『シャーッ!』

 

上空を飛んでいた赫月が掴んでいた白星を落とす。

着地した後、誰にも察知されないまま戦いの中心部へと向かう。

そして白星の聞いた単語がヒノカミへと届けられる。

 

「……『異能解放軍』じゃと!?」

 

「……最近妙に関連書籍が売れているとは思いましたが……」

 

『異能解放』。

それはようやく超常が日常になり始めた頃に蔓延し始めた思想。

『抑圧ではなく解放を』『異能の自由行使は人間としての当然の権利である』。

即ち、個性使用の自由化を謳う思想だ。

そんな主張を認めれば社会がどれほどの混乱に陥るか、想像に難くない。

当然のように国と反発し激突、主導者は敗北。

彼の結成した『異能解放軍』の幹部もほとんどが逮捕され、組織は解体されたはずだ。

だがこの町の住人全てが『異能解放軍』だとしたら一朝一夕でできる規模ではない。

つまり『異能解放軍』は滅びることなく、今に至るまで力を蓄えつつ潜んでいたということだ。

 

「しかし何故連中が敵連合と衝突を……」

 

「気に食わなかったんでしょうね。

 今まで耐えてきた自分たちを差し置いて、敵連合が名を上げ始めていたことが」

 

「ヴィラン同士の見栄の張り合い……くだらんことだ!」

 

「……っ!?今、死柄木が……!」

 

先頭に触れただけで敵集団をまとめて崩壊させた。

奴の個性で崩壊させられるのは、直接触れた物だけだったはず。

ヒノカミはテリトリーを一旦解除した。

 

「ヒノカミ?」

 

「映像は後で儂がもっぺん流してやる!

 根津を呼べ!可能なら他の連中も!」

 

「あ、はい!」

 

「バクゴーは焦凍と同じく、今日が仮免補講最終日だった!

 オールマイトも同行していたはずだ!」

 

「ちぃ……ならばオールマイトと子供ら以外じゃ!急げ!」

 

関係者が集合した頃には、すでに敵連合と異能解放軍の戦いは終結していた。

……ヒーローたちにとって最悪の形で。

トガヒミコは変身した相手の個性まで使えるようになった。

トゥワイスはトラウマを克服し、自身の複製を生み出せるようになった。

死柄木は直接触れていない物にまで崩壊を伝播させることができるようになった。

一瞬で街一つ壊滅させるほどの崩壊を。

マキアと戦っていたのはAFOを心酔する彼を屈服させるためだったらしい。

そしてマキアは死柄木を新たな主と認めた。

……10万人を超える異能解放軍を傘下に収めた、死柄木の姿を見て。

 

泥花市の戦いはその場にいる全員が口裏を合わせたことで、ヒーローに恨みを持った20人ほどのヴィラングループにより引き起こされ、その全員が死亡したと発表された。




原作では荼毘はホークス勧誘に専念するため別行動ですが、本作ではとっくに縁が切れているので死柄木たちと一緒に行動しています。
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