『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第27話 トゥワイス

リ・デストロをベストジーニストに任せたミルコたちはついに地下議事堂への扉の前に辿り着いた。

 

「邪魔だぁ!ぶち抜く!!」

 

「うぇぇっ!?は、はいぃ!!」

 

扉を開ける手間すら惜しんだミルコが蹴りを入れると、壁ごと崩れ落ちる。

向こう側には開けた空間があり、大勢のヴィランがひしめいていた。

 

「来たぞぉ!ヒーローだ!!」

 

「迎え撃てぇっ!!」

 

即座に全方位から攻撃が集中するが、ミルコは柱を足場にしながら敵集団上空を飛び越え、ウラビティは迫る攻撃を全て躱しながら移動し柱の陰に隠れる。

 

「議事堂到着です!先生!!」

 

「お待ちどぉっ!」

 

「任せろ!!」

 

「アンコール行くぜぇ!!」

 

『YAーーーーーーHAーーーーーー!!!』

 

ウラビティからの通信で、敵集団背後に着地したミルコを起点にワープゲートで参戦した元A組3バカトリオ。

即座にマイクが再び悪魔の雄叫びを上げる。

密閉された空間だからか、音が反響し攻撃がより強力に作用しているようだ。

霊力修行を受けた『ワン・モア・タイム』メンバーはこの程度の霊力波で気絶したりはしないが、ヴィランたちは耐え切れずバタバタと倒れていく。

 

「くっ!『皆さん!今こそ解放を為す時』……!」

 

「お前かぁ!!」

 

「がっ……!」

 

咄嗟に自分の個性『煽動』で信者たちをまとめ上げようとした幹部『トランペット』は、その行動によりイレイザーの目に止まった。

即座に接近してきた彼に全力の『眼魔』を叩きこまれ深い眠りに落ちた。

 

「……ん?」

 

崩れ落ちるトランペットの周囲にはマイクの精神攻撃を受けたヴィランたちが倒れているが、その中の一人の顔に見覚えがあった。

 

「こいつは確か……『スケプティック』?」

 

情報工作担当の幹部だが、どうやらマイクの攻撃にすら耐えられないほど脆弱な精神だったらしい。

 

「クラウド!この二人は幹部だ!」

 

「わぁった!別のところだな!?」

 

イレイザーは捕縛布を操って二人を縛り上げ、気絶したヴィランを回収していたクラウドに投げ渡す。

クラウドは腕でなく、黒い靄でそれを受け止め飲み込んだ。

幹部連中はちゃんと別の場所に送り込んで隔離せねば、監獄内で指揮を執って妙な行動を起こしかねない。

 

『YEAHHHHHHHHH……HHHHH!!?』

 

「「「「うぉぉぉぉおおおおお!!!!」」」」

 

マイクは音波攻撃を続けながらヴィランが多い方へと移動していたが、奥から大勢の人間が一丸となって突っ込んでくることに気付いて思わず攻撃を中断。

それは全身タイツを身に着けた全く同じ姿の男たち……『二倍』の個性により自分を増殖させ続けて生み出された、たった一人の大軍団『哀れな行進(サッドマンズパレード)』だ。

 

「「「「俺の仲間はやらせねぇぇぇぇええええ!!!!」」」」

 

「『トゥワイス』!?」

 

「おんなじ奴だらけってマジで怖ぇ!?

 つーかホントにコイツらには効かねぇのな!?」

 

トゥワイスが個性で複製した物はオリジナルよりも遥かに脆くなる。

だが複製した人間にはマイクの『デスボイス』は通用しないだろうと、ヒノカミから伝えられていた。

何故なら『霊力が作用する魂そのものを持っていない』から。

よってマイクが彼らを撃破するなら爆音で物理的に破壊するしかないが、地下の密閉された空間で彼が大声を上げればトゥワイスだけでなくこの地下空間まで崩壊してしまう。

『ワン・モア・タイム』メンバーなら自力で脱出できるが、回収し終えていないヴィランたちは全員まとめて瓦礫の下だ。

ヒーローとしてヴィランを殺す真似は極力避けねばならない。

だからこそ。

 

「アンタの相手はオレだ!トゥワイス!!」

 

「「「「ホークス!?」」」」

 

チームの通信を聞いていたホークスが転移してきて参戦。

翼から射出した羽根を操り、複製体を次々と貫き破壊していく。

 

「トゥワイスの奴ら、上から来てねぇか!?」

 

「ミルコさん!周辺に気配は!?」

 

「……強ぇのはほとんど感じねぇ……ってことは残る幹部は!」

 

「地上の山荘の方!!」

 

ホークスは大量の羽根を引き連れて、迫り来るトゥワイスの軍勢を切り裂きながら、トゥワイスがなだれ込んでくるルートを逆走して地上へと飛翔する。

ウラビティもそれに続くがミルコはその場に残る。

彼女の担当はマキアの警戒と対処。

この状況でもまったく動かずに小さなラジオを掴んでいるマキアを視界に収めつつ、イレイザーたちと協力して地下のヴィランの無力化を継続した。

 

 

「……いた!」

 

「うぉぉっ!来やがった!」

「嘘だろ!?」

「やっぱりな!」

「逃げろォ!」

「待ってたぜ!」

 

ホークスは地上への通路を通り抜け、山荘のとある一室から湧き出るトゥワイスを薙ぎ払い、部屋の中に飛び込んだ。

各々が好き勝手な言葉を話す大量のトゥワイスたちが部屋中に溢れている。

これだけひしめいているとどれかまではわからないが、霊圧が感じられる。

オリジナルのトゥワイスはこの中にいるはずだ

 

「ビビんじゃねーよオレら!!

 ナンバー2だか何だか知らねーが、仲間のピンチに立ちあがらねーでどーすんだ!!」

 

「そーだそーだ!」

「ヒーローがなんだってんだ!」

「どーせザコだろ!」

「力を合わせりゃなんとかなるって!」

 

一人のトゥワイスの叫びに他のトゥワイスたちも呼応し気勢を上げる。

 

「仲間、か……」

 

トゥワイス……分倍河原仁の過去は調査した。

彼がヴィランに落ちた経緯は同情に値する。

仲間を大切にするその人格も人間として非常に好ましい。

だがその個性と戦闘能力は脅威。加減できる相手ではない。

 

「オレは超常解放戦線、開闢行動人海戦術隊『BLACK』隊長、トゥワイスだぁーー!!」

 

「じゃあこっちも名乗りますよ。

 オレはチーム『ワン・モア・タイム』ナンバー2、ホークス。

 アンタは……オレが止める!」




分かりづらいと思うので補足説明。

原作と違いホークスという潜入工作員がおらずヒノカミも病院側なので、襲撃のタイミングで誰がどこにいるかわからず、誰をどこに誘導するといったこともできません。
なのでまずは最も危険で地下から動かないギガントマキアの元に向かいました。
途中で各々の担当する相手が出てきたら転移で呼び出して相手をしてもらい、到着時点でマキアが動き出したら参加できる全員で即座に対処、マキアが動かなかったら足止め役のミルコを残して散開という作戦です。
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