『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第33話 トガヒミコ

地上への階段からカタパルトで打ち出されたかのように飛び出したミルコ。

次いで巨大化したギガントマキアが山荘を吹っ飛ばしながら現れる。

 

「ごおぁぁぁぁあああああ!!!」

 

「ハッ!こうして見るとデカさがよくわかんな!!」

 

上空にて空気を蹴り滞空するミルコは、眼下のマキアと周辺の人間たちを比較し叫ぶ。

 

「地上出た!状況は!?」

 

『こちらナンバー8イレイザーヘッド!

 マイクとクラウドと一緒に、周辺ヒーローを退避させてます!

 ヴィラン側もマキアの出現で浮足立ってる!

 救助と平行して、この隙に一気にヴィランの捕獲を進めます!』

 

『こちらナンバー3ベストジーニスト!

 リ・デストロは撃破した!

 居合わせたヒーローに預け、今そちらに向かっている!』

 

『……ふー、こちらナンバー2ホークス。

 トゥワイス、撃破です。

 一旦クラウドさんに合流して専用の牢獄に送ってもらいますんで、参戦は少し遅れます』

 

「エンデヴァーは……!?」

 

残っていた山荘の瓦礫から飛び出す、炎を纏った二つの影。

紅い炎を纏う鎧の鬼人が、蒼い炎を纏うツギハギの青年を掴んでいる。

 

「……お前はバカ息子の相手をしてろ!

 このデカブツはアタシらだけでなんとかする!」

 

『すまん!!』

 

紅い炎と蒼い炎が混ざり合って遠くへと離れていく。

人気の少ない場所へと荼毘を連れていくつもりのようだ。

 

「おいウラビティ!お前は!?」

 

『……すいません、無理です!』

 

「ハァ!?」

 

自在に地中を移動できる個性を持つギガントマキアを地上に置いておくのはあまりに危険だ。

今は上空のミルコへの敵意が集中しているが、地中に潜られると対処ができない。

敵を浮遊させ地面から引き離すことができるウラビティはマキア討伐のピースの一つ。

動く様子がなかったので他のヴィランの対処に向かったが、彼女はミルコと共にマキアを優先して対処するはずだった。

 

『会敵しました!トガヒミコです!

 完全にロックオンされてます!』

 

「ちっ……嫌なタイミングで!

 オイ!他の奴ら代れねぇか!?」

 

ミルコはマキアが投げつけてくる瓦礫を蹴り砕きながら叫ぶ。

避けてもいいが、落下する場所によっては大惨事だ。

 

『わかりました、オレが……』

 

『いえ!イレイザー先生は気を失ってる外典の回収だけお願いします!

 私にやらせてください!!』

 

しかし帰って来たのはメンバーの中でも特に争いを嫌う彼女らしからぬやる気。

 

「……おいおいどうしたウラビティ、うららかじゃねぇな」

 

 

――――……

 

 

衝動のままに飛び出したトガヒミコだが、ウラビティと対峙している彼女は気圧されていた。

通信で誰と何を話しているのかはわからないが、今の彼女から感じるのは圧倒的威圧感。

ヴィランである自分への敵意ではなく、憎しみでもない。

彼女の中にあるのは燃え盛るような熱意と闘志。

 

「……いい加減、ウチも自覚しとるんで」

 

彼の秘密を共有し、支えることができる立場になれて嬉しかった。

彼と足並みを揃えて強くなっていく日々は楽しかった。

そして彼の隣で戦えないとわかって……本当は悔しかった。

 

「負けられへん……負けられへんのやぁっ!!」

 

『「!?」』

 

 

「トガちゃんにも、発目ちゃんにも……爆豪くんにも!

 ぜったい!ぜぇーーーーったい負けられへんのやぁっ!!」

 

「!?!?!?」

 

拳を突き出して宣戦布告するウラビティに、背景を知らないトガはただただ困惑する。

しかし通信越しに聞いたメンバー全員は、彼女の発言の意図を正確に察していた。

 

 

『『『『だぁ~~~~~っはっはっはっは!!!』』』』

 

『ヒューヒュー!青春だねェ!

 ミッナイ先輩にも聞かせてやりたかったZE!

 鼻血出してぶっ倒れてたかもなァ!?』

 

『先輩ってまだ青春青春言ってんのかよ!?』

 

『むしろ悪化してるんだよな……』

 

『……冬美にも……もうそういう相手がいるんだろうか……』

 

『エンデヴァーさんは娘の前に息子をなんとかしてくださいよ!!』

 

『だっはっは……よし行けウラビティ!

 考えてみりゃ大の大人が寄ってたかって子供を頼るなんざ情けねぇ!

 恋する乙女は無敵だって教えてやんな!』

 

「ぅおぉーーーっす!!!」

 

突如雄たけびを上げ、拳を打ち据えながら一歩ずつ迫るウラビティにトガは後退る。

 

「トガちゃぁん……『コイバナ』……しようやぁ……!」

 

「ねぇコイバナ!?ホントにコイバナなの!?ねぇ!?」

 

『ハァ……ダイナマイトたちに通信が繋がっていなくて、本当によかった』

 

 

――――……

 

 

「うごぁぁぁぁぁあああっ!?」

 

「SMAAAASH!

 どうしたのかっちゃん!?攻撃を受けたの!?」

 

「こっちくんな!近寄んな!視界にすら入るなぁ!!」

 

「理不尽!?」

 

「なんだぁ、今の怖気は……クソッ!

 テメェの仕業か!?それともテメェかぁ!

 このクソザコどもがぁーーーっ!!」

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