『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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お待たせしました。再開します。
藍染との戦いに決着がつくところまでは書きあがっているのでそこまでは毎日投稿します。
ただその後の展開はまだ悩んでいるところでして、途中で一度区切るかもしれません。
ご了承ください。


死神の世界:アフター
第29話 再会


藍染に連れ去られた井上織姫を救い出すために、連中が拠点としている現世と尸魂界の狭間にある世界『虚圏』へと突入した一護たち。

尸魂界からもルキアと恋次、4名の隊長と3名の副隊長が参戦し、藍染の根城である虚夜宮へと突入する。

しかしそれは藍染の罠であり、彼らは虚圏に閉じ込められてしまった。

この隙に藍染は部下を連れ現世へと侵攻、重霊地である空座町を破壊し『王鍵』と呼ばれる物体を作り上げようとする。

現世に戻らねばならないがその手段がない。

ならば今は織姫を助けなければと一護はさらに先へと進み、彼女と共にいた第4十刃ウルキオラに挑む。

しかし刀剣解放第二階層まで発動したウルキオラに圧倒され、宙づりにされる。

 

「……一……護、くん……?」

 

戦い続ける二人を追いかけ虚夜宮の上空、天蓋の上へやって来た織姫と雨竜はその光景に絶句する。

 

「丁度良い。よく見ておけ。

 お前が希望を託した男が命を閉ざす瞬間を」

 

「やめて!!」

 

織姫の叫びに応えず、一護の胸に指を押し当て止めを刺そうとするウルキオラ。

 

 

 

「はいそこまで」

 

 

そこに乱入者が現れ、ウルキオラの腕と一護を持ち上げる尾を切断した。

 

「……なに?」

 

「よっと」

 

そして一護を掴んで即座に織姫と雨竜のもとに転移する。

 

「かかか。覚悟も闘志も十分じゃが、実力が追いついておらぬな。

 まだまだ修行が足りぬぞ」

 

「……姉、貴……?」

 

「隣互さん!?」

 

乱入者とは尸魂界での戦いから消息不明となっていた一護の姉、黒崎隣互だった。

 

「ゲホッ……姉貴、今まで、どこに……?」

 

「……織姫、一護を治してやれ。

 儂がやっても良いが、お主の方がお互い嬉しいじゃろ?」

 

「な、な!何言ってるんですかぁ!?」

 

「頑張っとるようじゃったから手出しは少し待ったが、流石に見殺しにはできぬよ。

 選手交代じゃ。構わんな?ウルキオラとやら」

 

「黒崎隣互……貴様が藍染様を傷付けたと言う人間か……」

 

今のやり取りのうちにウルキオラは切り裂かれた腕と尾を再生し、翼を広げた。

彼の姿はまさしく悪魔のようだった。

 

「いいだろう。貴様は最優先で始末するよう命じられている」

 

「感謝する。雨竜、二人を任せるぞ」

 

「一人で戦う気か!?

 見ていたというならわかるだろう!ヤツは強い!

 ここは協力して……!」

 

「待てよ姉貴!オレだってまだやれる!

 もうアンタに守られっぱなしのオレじゃねぇ!」

 

「かか、確かにお主らは強うなったようじゃな。

 それは認める。じゃが……」

 

隣互が刀を鞘に納め、柏手を打つ。

 

 

「儂の方が強くなった」

 

「「「!?」」」

 

直後、彼女は重厚な鎧を纏った姿となった。

立派な体躯と額の角、恐ろしい憤怒相はまさしく鬼のよう。

 

「なんだその姿は……!

 虚化……?いや帰刃!?」

 

「後で説明する。ともかく下がれ。

 ……巻き込まぬよう戦うのは面倒でな」

 

「巻き込む……!?」

 

隣互に一番近かった雨竜が真っ先に気付き、距離を取る。

鎧姿の彼女の足元が凍り付き始めていた。

 

「寒い……いや、熱い!?」

 

一護たちのところにまで届いたようだ。

足場にしている天蓋が冷気を放ち、鬼の鎧の背中から炎が上がっている。

鬼は一歩ずつ、ウルキオラの方へと歩み寄っていく。

 

「……さて、どうやら貴様は『心』とは何かを知りたいようじゃな」

 

「それがどうした」

 

「何、申し出を聞き入れてくれた礼に儂が教えてやろうと思うてな。

 『心』を……『感情』を……そして」

 

 

 

「『恐怖』をな」

 

「!?」

 

一瞬で目の前にまで迫っていた鬼に驚き、ウルキオラは爪で斬り払おうとする。

 

爪が……いや、腕が『溶けた』。

 

「な……!?」

 

目の前にまで伸ばされた鬼の腕から距離を取ろうと、後ろに飛び退く。

すぐに溶けた腕の再生を始めるが、鬼は追撃してくるでもなく見ているだけだった。

 

個性により制御されているため距離を取れば『熱い』くらいにしか感じないが、鬼の鎧の表面温度は摂氏1万を超えている。

足元から冷気を放っているのは熱を吸い上げているからではなく、足場まで溶かしてしまわないようにするためだった。

 

接近戦は不可能と判断したウルキオラは掌を合わせ、雷を纏う槍を作り出した。

 

「『雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)』」

 

それは対象にぶつける投擲槍。

扱いが難しく狙いをつけるのも困難だが四の五の言う余裕はない。

投げた槍は幸いにも鬼の巨体に直撃し、炸裂した。

 

「姉貴!」

「隣互さん!」

「隣互ちゃん!」

 

天蓋の一部を吹き飛ばす大爆発を目の当たりにし、一護たちが悲鳴を上げる。

しかし煙が晴れると、そこには鬼が腕組みをしたまま宙に立っていた。

 

「なん……だと……!?」

 

まったくの無傷。足場が無くなろうともその座標から1ミリも動いていない。

1ミリも、動かすことができなかった。

目の前の光景が信じられず、しかしウルキオラは再び槍を作り構えを取る。

 

「ふむ……だいたいわかった」

 

鬼はそれを気にすることなく呟くと掌を合わせる。

掌の間から、光が生じた。

 

「『雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)』」

 

「なっ!?」

 

鬼が投げた雷の槍はウルキオラの横を通り過ぎて、遠く離れた場所に着弾。

虚圏の砂漠の一角を吹き飛ばした。

 

(今のは間違いなく俺の技……莫迦な!)

 

「なるほど、これは狙いが難しいな……まぁ」

 

鬼は再び掌を合わせた。

 

 

「数撃ちゃ当たるじゃろ」

 

「「「「!?」」」」

 

鬼の背後に、幾千もの雷の槍が出現した。

そして一つを掴むとウルキオラに向けて投擲する。

 

「くっ!」

 

今度は直撃コースだ。

ウルキオラは手にした槍で咄嗟に迎撃してしまった。

 

「がっ!?」

 

二つの槍が激突し、爆発した。

爆風に煽られ天蓋の上を転がっていくが、爪を立てて力づくで減速する。

 

(同じ、威力……?

 あれが……全て……!?)

 

ウルキオラが作り出せる槍は一度に一つ。

複数回作ることも可能だが、あれほどの数を短時間で揃えるのは流石に無理だ。

 

鬼がゆっくりと歩いてくる。

数えるのも馬鹿らしいほどの数の雷の槍を引き連れて。

 

動かないウルキオラを一瞥し、鬼が呟く。

 

「どうやら理解したようじゃの」

 

「何を、だ……!」

 

 

 

「これが『恐怖』というものよ」

 

ウルキオラの手足は、無意識に震えていた。

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