『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第33話 空座町の決戦

山本総隊長の炎の壁が藍染と東仙と市丸を閉じ込め、3体の十刃とその配下たちとの戦いが始まる。

指揮を執ると宣言したバラガンと名乗る破面は、偽物の街の四方に結界の要があると見抜き、手ごろな虚を送り出した。

しかし虚は配置されていた死神達により斬り殺された。

 

「それがどうした。

 4匹の蟻が守る柱なら4匹の龍で踏みつぶせばいい」

 

そして精鋭である配下の破面4体を柱のもとへと向かわせた。

 

「残念ですが、それは叶いません」

 

しかし彼らは柱の目前にて不可視の膜に阻まれ、それ以上進むことができなかった。

 

「貴様らは……莫迦な!」

 

気付けば死神達の更に後ろに、奇妙な一団の姿があった。

 

虚圏に捕らえていた織姫。彼らを救いに突入した一護、雨竜、茶渡。

尸魂界から彼らの援軍に向かった3人の隊長と4人の死神。

かつて藍染の実験の犠牲となり、奴を倒すために力を蓄えていた『仮面の軍勢』たち。

そして一護の父であり元十番隊隊長の一心。

元隠密機動トップの夜一。

そして藍染が自分以上の頭脳と認め警戒する浦原喜助。

 

「…………」

 

だったもの。

 

「あ、あの、夜一さま!?」

 

「なんじゃ?砕蜂」

 

敬愛する夜一に近付いた砕蜂は、彼女の右手に吊り下げられたうめき声を上げるボロクズを指さして尋ねる。

 

「……それは、一体?」

 

「気にするな。粗大ゴミじゃ」

 

そして彼女は躊躇なく手を離した。

 

 

 

あ”あ”あ”ぁ”ぁぁぁ……

ベチョリ。

 

 

ゴミは彼女の真下にあったビルの屋上に投棄された。

藍染すら警戒する死神達の貴重な戦力が戦う前に召された。

 

「「「……」」」

 

敵も味方も言葉を失う中、一団は前に出て死神達に並ぶ。

 

「っ、貴様らは虚圏に幽閉されたはず!

 どうやって戻って来た!

 この妙な壁はなんだ!?」

 

「フフ……答えるとお思いですか?」

 

真っ先に自分を取り戻したバラガンが叫ぶが、卯ノ花は取り合わない。

 

「……卯ノ花隊長。

 僕と浮竹はあの壁、な~んか見覚えがあるんだけど?」

 

「だぁっとれアホ!

 敵に手の内明かす真似すんなや!」

 

「……アッハッハ、相変わらずリサちゃんは手厳しいねぇ」

 

「オレらはアンタらの仲間のつもりはないが……共闘するゆうてしもうたからな。

 ま、敵の敵は味方ってことで、仲よーしよか?」

 

「……よかろう」

 

「おい、いい加減始めようぜ!」

 

「仕方ありませんね。では、改めて作戦を通達させていただきます」

 

破面たちに伝わることも気にせず、死神たちに伝わるように、卯ノ花は高らかに宣言する。

 

「『加減も配慮も不要……思いのままに暴れなさい』」

 

「「「「っしゃあああああ!!!」」」」

 

更木が飛び出し、仮面の軍勢が続き、一護らも後を追う。

 

「っ!迎え撃てぇ!!」

 

バラガンの叫びに応え彼の配下が飛び出し、他の破面たちも渋々動き出す。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

場面は戻って、まだ一護たちが虚圏にて休息していた頃。

 

「時間指定の転移……なるほど、それが可能ならば是非に」

 

「そいつはありがてぇ。まだ暴れ足りねぇからな」

 

「で、後は藍染らとの戦いじゃが……うーむ……」

 

そこで隣互が言葉を詰まらせる。

掌が塞がっていなければ腕組みをしていただろう。

 

「死神たちに尋ねる。儂はどうしたら良い?」

 

「どう、とは?」

 

「いやな?残る敵戦力は藍染と二人の元隊長、1から3の十刃、それと破面が数人程度なんじゃろ?」

 

「あぁ、先ほどのウルキオラが4だった。

 それより下の数字は全部ここで倒したはずだ」

 

「……儂が動いたら即座に終わるぞ?

 お主らも、他の死神たちも、仮面の軍勢?とやらも、一切出番無く。

 それでもよいのか?」

 

「「「……」」」

 

死神たちは、藍染という強大な敵を倒すためにあらゆる備えをしてきた。

仲間や自分の命を失う覚悟も済ませた。

だから犠牲なく確実に勝利できるならそれが一番だ。

一番で、あるはずなのだが。

 

「ふざけんじゃねぇ。俺にも斬らせろや」

 

「そう……ですね。

 恥をさらすようですが、我々は奴から散々辛酸をなめさせられてきました。

 安全に事態が解決するのは喜ばしいことなのですが……」

 

「この手でルキアを手にかけるところであったのだ……どれだけ凄惨な目にあわされていようと、見ているだけでは溜飲が下がらぬ」

 

「じゃよなぁ……」

 

藍染という外道は許しがたいが、隣互が直接受けた被害は意外に小さい。

対して死神たちが受けた被害と怒りの大きさを思えば、彼らに本懐を遂げさせてやりたいとも思う。

 

「参戦している死神側の人数はいかほどか?

 柱を守る者を除いてじゃ」

 

「……11名となります」

 

「一護、仮面の軍勢とやらは何人じゃ?」

 

「8人だ」

 

「儂を除いてこの場に11名、師匠と父上と浦原合わせても33か。

 作り物の空座町に誰もおらんなら、行けるな」

 

「行ける?」

 

「……この戦い、儂は支援に徹することとしよう」

 

「じゃあ藍染を倒すのはオレたちか?

 死神のみんなは『鏡花水月』とかいうのにかかっちまってんだろ?」

 

「いや、何とかする。

 お主らに鬱憤を晴らす機会を用意しよう。

 ……作戦はこうじゃ」

 

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