『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ヒノカミが別世界を巡り、戻って来てからの話を先に書きます。

会議シーンなので、ほぼ会話だけになります。
どのキャラの台詞かわかるように気を付けているつもりですが、それでもわかりづらいとは思います。
ご了承ください。


第50話

「浦原喜助よ。お主は黒崎隣互が、霊王の座を受け入れると思うか?」

 

「……正直、予想できかねますね。

 一度この世界に生まれたとしても元は異界の人間。

 故郷を捨ててまで尽くす義理はない。

 ですが彼女の頑固さと突拍子の無さを思うと、応じてしまう可能性も否定できない……」

 

「我ら死神の責を人間の彼女も背負わせ犠牲にしようなど……受け入れられるものか!

 直談判しよう!彼女を取り戻す!!」

 

「それができないから参ってるんだろう?

 霊王宮に行くには王鍵が……零番隊の赦しが必要だ。

 こっちから連絡を取ることすらね」

 

「わかっている……だが……!」

 

零番隊の狙いを把握した四人の死神は顔を突き合わせて唸り続ける。

彼らは最初から、零番隊に反対する前提で話を続けている。

 

霊王をも超える隣互が新たな霊王になってくれればこの世界も安泰だ、などと言えやしない。

手放しで喜ぶには、彼女との縁は深くなり過ぎた。

 

「事が事なんで、あまり情報を拡散するわけにもいきません。

 時間もありませんし。

 急いで最低限の信頼できる人員を集め、何とか向こうにアクションを取らせて交渉に持ち込みましょう。

 現世側は一心サンと夜一サンに声を掛けます」

 

「こっちは……卯ノ花隊長と朽木隊長かねぇ。

 更木隊長は信頼できるけど、騒動が大きくなりそうだ」

 

「うむ、儂は狛村に……」

 

 

「なんじゃ揃っておったんか。

 こちらとしては都合が良いが」

 

「「「「!?」」」」

 

そして渦中の人物が侵入不可能な密室に飛び込んできた。

死神達が最善の備えをしても、彼女はそれを素通りしてくる。

 

「というか雁首揃えてどうしたんじゃ?」

 

「いや、キミの話をしてたんだけどね……?」

 

「浦原より、零番隊がお主を連れ去り次の霊王に据えるつもりだと……」

 

「そこまで把握しておるのか。

 ならば話が早い。ついてこい」

 

「ついて?どこへ?」

 

隣互は死神達の狼狽を無視して掌を叩き、結界で彼らを覆い転移した。

 

 

 

「ここは……霊王宮だと!?」

 

「……隣互サン。アナタ、王鍵預かってたりします?」

 

「いやないが?」

 

「……マズイですよぉぉぉお!

 許可なく霊王宮に侵入なんかしたら最悪打ち首に……!」

 

「わっはっは!その心配はいらん!」

 

霊王宮表参道に転移してきた隣互と四人の死神を迎え入れるかのように、兵主部もまた零番隊の面々を連れて歩いてきた。

 

「なんせ黒崎隣互はもはや霊王同然であるからな!

 彼女に導かれたおんしらを捕えるようなことはせぬ!」

 

「オウオウ!俺らはまだ認めちゃいねぇぞ!?」

 

「まさか……引き受けたのか!?隣互くん!!」

 

「断った」

 

「「「はぁ!?」」」

 

「和尚、あまり誤解を招く発言は控えてくれ。

 零番隊の方々も、儂を王と認めずとも構わん。

 しかし皆の協力が必要なのじゃ。

 山本らも、まずは話を聞いてくれ」

 

「……チッ」

 

「……よかろう」

 

長い話になるからと、隣互はゴザを作り座る。

隣互に連れられてきた四人の死神と零番隊の五名が、彼女の両側に並んで座り互いに顔を見合わせる。

 

「あー、ゴホン。

 次の霊王の任。改めて言うが、これは断った。

 しかし今の霊王にこれ以上の負担をかけるのも危険であり、このままでは近い内に世界は崩壊する。

 可及的速やかに何らかの施策を取らねばならぬ。

 そこで儂は『人柱を必要とせずこの世界を維持する方法』を新たに提案させていただく」

 

「「「「!?」」」」

 

「和尚から話は聞いておる……が、我らが今までそれを考えぬとでも?

 詭弁を申すつもりならそっ首斬り落とされる覚悟はできておろうな?」

 

「無論。異界の話も交える故に聞きなれぬ単語も多いとは思うが、しばしご清聴願いたい」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

「……以上じゃ」

 

「…………本気で、言ってるんですか?」

 

「あぁ」

 

「……覚悟は認めるZe。

 Ga、それを差し引いても希望的観測含みすぎだRo。

 それで計画って言えるのKai?」

 

「奇跡を起こすさ。この胸にはそのための力がある」

 

「だがっ、失敗すれば『霊王』になる以上の苦痛を受け続けることになる!

 成功しても、君は!」

 

「ならば儂はそれまでの器だったと言うことよ。

 ……安ずるな、勝算は決して低くない」

 

「……護廷十三隊総隊長、山本元柳斎重國の名において宣言する!

 我ら護廷十三隊は全面的に黒崎隣互を支持する!」

 

「山じい!?」

 

「者共、腹を決めぃ。

 おなご一人にここまで言わせ、世界全ての命運を背負わせて何が護廷十三隊か!

 かつて我ら死神が犯した大罪、その汚名を雪ぐ最後の機会である!」

 

「言うまでもなく儂はおんしに賭けた。

 零番隊頭目、兵主部一兵衛。全身全霊を持って仕えさせていただく。

 ……おんしらはどうする?」

 

「いやだねぇ。こんなに炊きつけられちゃ断れるわけないじゃないのさ!

 曳舟桐生、アタシも乗らせてもらうよ!」

 

「ふむ、貴様が失敗しても世界の崩壊は免れる……ならば不都合はない。

 修多羅千手丸も手を貸してやろう」

 

「……あぁクソ!麒麟寺天示郎、やってやろうじゃねぇか!」

 

「ヒュ~!みんなノリノリだNe~!

 ちゃんボク、二枚屋王悦もノッちゃおうじゃNai!」

 

「皆さん決心は固いようっスね……やりましょう」

 

「では各々に役割を担っていただきたい。

 和尚以外の零番隊の面々と浦原には儂の準備の手伝いを頼む。

 そして和尚はその地位を生かし、護廷十三隊の後ろ盾となってくれ」

 

「承った」

 

「護廷十三隊は霊王に関する情報、物品を可能な限り集めてくれ。

 聞くところによれば当時の五大貴族には霊王にまつわる品が多いとのこと。

 拒絶してこようが王族特務の強権を振りかざしてでも踏みにじれ。

 ……ただし犠牲は出すな。

 完現術者らの『霊王の欠片』を無理やり奪うような真似も厳禁じゃ」

 

「心得た」

 

「総隊長。完現術者と言えば彼……『銀城』との和解も必要かと。

 彼以上に完現術に詳しい者はおりません」

 

「腕利きの完現術者に心当たりがあるのか?

 であれば是非に。

 成功率を上げるためにも、儂自身が完現術とやらに習熟しておきたい」

 

「うぅむ、じゃが……」

 

「まぁまぁ儂に任せよ!

 あれとの和解が出来そうな話なら儂が知っておる!

 五大貴族の件とまとめて、下らぬ禍根はこの機に洗い流してしまおうではないか!」

 

「和尚がそういうなら、任せてみようじゃないの。山じい」

 

「……よかろう」

 

「付け加えておくが、万が一にも情報を漏らしたくはない。

 特に尸魂界の貴族連中が知れば横やりは必至じゃ。

 霊王宮の外ではこの話題は控えてくれ」

 

「……父や弟にも、知らせぬつもりか?」

 

「成功すれば全て丸く収まる。

 必ず成功させる。その決意の表れと思ってくれ」

 

「キミがそう言うならボクらから言うことは無いよ」

 

 

「ではすぐに計画に取り掛かる。

 諸君らの奮闘に期待する!」

 

「「「「応!」」」」

 

「……今しばらくの辛抱じゃ。

 待っとれよ、霊王」




次回より、ヒノカミが各世界を巡った話を少しだけ書きます。
その後死神の世界に戻ります。
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