『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第54話

破面から虚圏に出現した正体不明の勢力から攻撃を受けているとの連絡が入り、死神が現場に急行。

敵はその直前に撤収したが、戦闘の痕跡を調査した結果滅却師であると断定。

 

更に数日後、尸魂界にも正体不明の勢力が出現。

『見えざる帝国』を名乗った勢力はやはり滅却師であり、尸魂界に侵攻するとの宣戦布告であった。

この襲撃により一番隊の隊士多数が死亡、副隊長の雀部長次郎も重傷を負う。

連絡を受けて転移してきた隣互により治療され辛うじて命は拾ったが、元通りとはいかなかった。

 

「卍解を、奪われただと……!?」

 

「発動した直後、妙な金属板に吸い込まれたらしい」

 

それ以外はすでに万全の状態に回復してはいるが念のため安静にさせている雀部に代わり、彼から報告を受けた隣互が隊首会に参加し報告する。

彼らの頭上には、隣互が呼び起こした雀部と滅却師の戦闘映像が流されていた。

 

「始解までは問題なくできておるが卍解の力を感じぬと。

 斬魄刀そのものから抜け出たような感覚、封じただけではないようじゃ。

 敵側に渡ったとすれば……『奪われた』という表現が妥当じゃろうな」

 

「滅却師……侮っていたつもりはないが、これほどの実力とは。

 卍解を使わずに戦えというのは苦しいな」

 

隣互の治療を受け持病が消えた浮竹は、今では護廷十三隊でもトップクラスの実力を持つ。

その彼すらも滅却師は脅威であると判断した。

 

「方法はわかりませんが、対策ならすでに見当がついています。

 ただ万が一を考え、効果が実証されるまではこちらが挙げる方以外は卍解の使用を控えてください」

 

「頼むぞ、浦原隊長」

 

山本総隊長、および零番隊の推薦により正式に十二番隊隊長に復帰した浦原が無言で頷く。

 

「全隊長に命ず。これより戦の準備にかかれ」

 

「「「ハッ!」」」

 

予言されていた滅却師との決戦がついに始まる。

瀞霊廷全体が慌ただしく動き始める中で、隣互は浦原と共に人気のない一室に待機していた。

 

「隣互サン、わかってますね?」

 

「『戦場に出るな』、じゃろ?」

 

「貴方は万が一の救護担当として控える、敵勢力に狙われる可能性を下げるため秘匿すると、総隊長からは通達済みです。

 死神たちの訓練相手も含め、すでに貴方は十分以上に貢献している。

 計画だってまだ始まったばかりなんだ。

 貴方にもしものことがあったら、一護サンたちに顔向けできません」

 

「その一護らをけしかけた貴様がいうか?」

 

「……えぇ、そうです」

 

やはりバレていたらしい。

一護たちは既に瀞霊廷に潜んでいる。

浦原が事情を説明した浮竹・京楽と行動を共にしているはずだ。

 

「貴方が皆を危険に晒したくないのはわかっています。

 ですが我々もいい加減、これ以上頼り切るわけにはいかないんですよ」

 

「大勢死ぬぞ?」

 

「今の貴方が参戦しても同じことでしょう?

 死神達も覚悟の上です。

 たとえ死ぬとわかっていても、我々が戦って勝ち取らねば意味が無い」

 

確かに世界の命運をかけた戦いを大した被害も労苦もなく乗り切れてしまえば、死神は慢心し堕落するかもしれない。

それもまた隣互が嫌うことではあるが、家族や友を見殺しにするよりはよほどマシ。

 

「……平行線か」

 

弱体化しているとはいえ彼女の力は浦原よりも遥か上だ。

力尽くで押し通るつもりで霊圧を高め始めた。

 

 

 

「させるかよ」

 

「!?」

 

しかし隣互と同等以上の霊圧を持つ者たちに掴まれ動きが止まる。

その隙に浦原の鬼道が隣互を貫き、彼女を縛り上げた。

 

「元は藍染サンを封じるためのものでしたが……まさか貴方に使うことになるとは思わなかった」

 

「何のつもりじゃ……零番隊!!」

 

二人だけの密室と思われたその場には、零番隊の5人が和尚の隠形で隠れ潜んでいた。

 

「決まってんだろ、オレら零番隊は王族特務。

 アンタを……霊王サマを戦場に送り出したとあっちゃあ零番隊の名が泣くぜ!」

 

「……儂を王とは認めぬのではなかったのか?」

 

「わっはっは!おんしは確かに成し遂げた!

 故に儂だけでなく、我ら零番隊全員が認めたのだ!

 おんしこそ我らの神輿、守るべき主君であると!」

 

「だからアンタはどしっと構えてりゃいいんだよ!

 アンタの剣となり盾となるのが、アタシらの役目さ!」

 

「命じるがいい。

 ……今の其方には、その権利がある」

 

「よけーな事考えなくていーZei?

 ……ちゃんボクたちが負けるなんてアリエネーだLow?」

 

「……」

 

零番隊の使命は霊王に仕え、霊王のために戦うこと。

だから彼らは霊王宮ではなく瀞霊廷にいる。

彼らが新たな霊王と認めた、黒崎隣互がいるここに。

 

 

「……命じる。

 零番隊は護廷十三隊と協力し、滅却師を撃退せよ」

 

「「「「「御意」」」」」

 

 

零番隊五名の戦力は、護廷十三隊総力よりも上。

まして隣互の計画が始まった今ならば『三界への影響を避けるために力を制限する必要すらない』。

 

「総隊長には話を通してあります。

 瀞霊廷への被害は気にせずとも結構。

 ……やむを得ない状況なら、味方を巻き込んでも構いません」

 

「あい分かった。

 じゃが安心せい、人死には可能な限り避ける。

 それが霊王の御心であろうからな」

 

「ふん、最初からこうするつもりだったという訳か。

 ……手早く済ませることじゃな。

 儂が自力でこの封を破壊する前に」

 

「うわっはっはっは!

 それは困る!滅却師共にはさっさと攻めてきてもらわねば!

 ……吉報をお待ちくだされ」

 

兵主部が隣互を封じた建物そのものに結界と隠形をかけた。

そして、零番隊が動き出す。

霊王の敵を排除するために。




補足説明。

涅マユリはやらかしをすべて暴かれ、第三席に落とされました。
そして浦原が引き続き涅ネムを副隊長に指名しています。
よってマユリが副隊長の実権を握っているも同然なのですが、対外的には自分の部下より『下』とされたわけです。
表でネムに対し今までのような態度を取ったらさらに降格されます。
やーいやーい。
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