『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第5話

悟空が筋斗雲を手に入れたことで、彼がブルマと二人乗りをする必要がなくなった。

なのでヒノカミを二人乗りに誘ったが、彼女は構わず自分の足でよいと答えた。

少しでも軽いほうがバイクも運転しやすく速度が出るだろうと添え、ブルマもそれに賛同した。

西に進むこと三日、小さな村が見つかりそこに5つ目のドラゴンボールの反応がある。

聞き込みをしようと中に入ってみたものの、人気が全くない。

 

「人の気配はするんだけどなぁ」

 

「こんなに静かなのに?」

 

「悟空の言う通りじゃ。

 大勢おるが、息を潜めている……殺気立っている?」

 

「え、何それ!?

 もしかしてここって盗賊の村とか!?」

 

「だとしたら普通の村の振りをして油断させようとするはずじゃ。

 ここまで露骨な真似をする意味があるまい」

 

ヒノカミは特にピリついている家を見つけ、二人を後ろに下げて扉を叩く。

 

「……失礼、我らは旅の者である。

 ちとお尋ねしたいことがあるのじゃが?」

 

当然のように反応はない。

続けて何度か叩くが結果は同じ。

 

「……ふむ」

 

「ドアぶっ壊すか?」

 

悟空の今の発言が聞こえていたようで、家の中の人物の警戒心がさらに上がってしまった。

もう強行突破しかなさそうだ。しかし、家を破壊してではない。

ヒノカミは家の周りを歩き始める。

 

「……お、あった」

 

「何してんのよ?」

 

窓の内側からカーテンを閉めているが、わずかな隙間から家の中が見えている。

ヒノカミならこれで十分だ。

 

「お邪魔しまーす」

 

「は?……はぁ!?」

 

「「ぎゃーーーーーっ!!」」

 

隙間から家の中を覗いていたヒノカミが突如消え、直後家の中から悲鳴が響き渡る。

 

「え?何?何!?」

 

「あぁ、多分ばあちゃんが中に入ったんだ」

 

「入った!?どうやって!?」

 

「行き先がはっきりわかってんなら瞬間移動できるんだと。

 ばあちゃんの妖術の一つだ」

 

「妖術!?」

 

「あれ、言ってなかったっけ?

 ばあちゃんは妖術師だぞ?」

 

「はぁあーーーーーーっ!!?」

 

暫く後にヒノカミが住人と一緒に家の外に出てきて、村中に『彼らは無関係』と叫んだ。

その声を聴いた人々が次々に外に出てくる。

 

「いやはや申し訳ない、驚かせてしもうた」

 

「いえ、我々もウーロンかと思い込んでいました。

 アイツはこんな妖術は使えませんからな」

 

「「ウーロン?」」

 

町の人々から聞いた話をまとめると、どんなものにでも変身できるというウーロンという妖怪がこの村の近くに住み着いているらしい。

歯向かえば村人全員を食い殺すといい、今までも何人もの村娘を連れ去ったとか。

そして今日の正午にやってきてこの家の娘も連れていくと言うので、村全体でいない振りをしてやり過ごそうとしていたようだ。

 

「そんなヤツやっつけちゃえばいいじゃんか」

 

「じゃな、そのような外道を許すわけにはいかん。

 我らで退治してくれよう」

 

「おぉっ!?本当ですか妖術師さま!!

 どうかお願いいたしますっ!お礼は我らにできる限りであればっ!!」

 

「報酬をもらえるなら金ではなく……ブルマ、ボールを」

 

「なるほどっ!

 ねぇ、誰かこれと同じもの持ってない?

 あったら報酬代わりに譲ってもらえないかしら?」

 

案の定ボールを持っていた村人が見つかり、ウーロンを倒して攫われた娘らを助け出すことを条件に譲ってもらえることになった。

ヒノカミが言うには村の周辺に大きな気配はないので大した強さではないだろうということだが、倒すだけでは事件は解決しない。

肝心なのはどうやって攫われた娘らを助け出すかだ。

 

「気配でわかるのも妖術ってワケ?

 なんで隠してたのよ!」

 

「すまんすまん、互いを知らぬうちに明かしては怖がらせるかと思うてな。

 なんで信頼関係を築いてからと考えていたが……そのまま忘れていた」

 

「まったくもう!」

 

ヒノカミは確かに記憶力が高いが、すべてを常に覚えているわけではない。

思い出そうとしたら思い出せるだけで、指摘されねば気付かないこともある。

 

「なぁ、ウーロンが攫おうとしてる『娘』ってお前か?」

 

「そうだけど……?」

 

ブルマたちの後ろで悟空は自分と背丈も変わらぬ幼い娘に近づき。

 

 

パンパン

 

「「「!?」」」

 

娘の股を叩いた。

 

「ホントだ、女だ!」

 

「何やっとるか馬鹿者ーーー!」

 

そして即座にヒノカミにゲンコツをくらい倒れた。

 

悟空は祖父の悟飯とヒノカミ以外の人間を見たことがなかった。

だから『男』と『女』の区別が、見ただけでは容易につけられない。

ある程度の差異はヒノカミに教え込まれたので大人ならかろうじてわかるが、体格の差が少ない子供だと判別できない。

よって彼なりに思いついた確認方法が『パンパン』である。

女性は他人から触られるのを嫌がるとも教えているが、ヒノカミは悟空の他人でなくスキンシップも気にしない方なので、どのくらいの接触で嫌がるのかもわかっていないのだ。

 

「苦労したんじゃけどなぁ……骨格とか、関節の動きとか、声の高さとか、のどぼとけの有無とか……。

 確かにそれで判別できるのはある程度成長した相手だけか……盲点じゃった……」

 

「大人だったら胸の有る無しで一発じゃない」

 

「…………」

 

「……ごめん」

 

ヒノカミの瞳から光が消えたため、即座にブルマは謝罪した。

 

ヒノカミはパンチーはつけているがブラはつけていない。

……だって必要性がないから。物理的に。

 




明言してなかった気がするので補足。

ヒノカミの記憶力は『一度覚えたことはいつでも思い出せる』というだけ。
思い出そうとしなければ思い浮かびません。
完全記憶能力とは少し違います。うっかりさんです。
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