『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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兎人参化は丸ごとカットします。
ブルマが普通の服装で、ヒノカミには人参変化も人質も通用しないので。
とりあえず『あっさりぶっ飛ばされた』とでも思っていただければ。


第12話

 

最後のドラゴンボールを求めて西へ西へと進む一行。

今は巨大なキノコのような岩が群立する平地を走り抜けている。

 

「……ふむ」

 

離れてヤムチャとプーアルが追走してくるのは知っている。

しかし岩の上にも一つ気配があり、こちらに視線を向けていることにも気付いた。

そして彼女の地獄耳が遠方から迫る音を捉える。

 

「全員、車に掴まれ」

 

「「「へ?」」」

 

「来るぞ!」

 

ヒノカミは炎の壁を作り出し、飛んできたミサイルを迎撃する。

炎は全て逸らしたが、爆風で車体が少し揺れた。

 

「なっ!?なになに!?」

 

「襲撃じゃ!岩陰に隠れるように蛇行しろ!」

 

「わ、わかった!」

 

ウーロンが指示の通りに車を動かすと、奇妙な形のロボットが飛び出し襲い掛かってきた。

卵のような胴体から手足が生えており、右手は砲口と一体化している。

先ほどのミサイルはそこから発射されたのだろう。

 

「ばあちゃん、敵か!?」

 

「あぁ、儂は車とブルマらの防衛に回る。

 悟空は奴を追い払え!」

 

「わかった!筋斗雲ーーー!」

 

悟空は車から飛び移り、ロボットへと向かっていく。

車はそのまま少し離れたところで停車した。

 

「なっ、なんなのよアイツ!」

 

「明らかにこちらを狙っていた。

 あのような兵器を持つ者が、物取り目的とは考えにくい……」

 

しばらくすると悟空が戻ってきた。

ロボットは倒したというが、念のため案内してもらう。

コクピットは空で、どうやら悟空に追いつかれる前に逃げ出したようだ。

 

「悟空、この中の匂いがどっちに続いているかわかるか?」

 

「くんくん……あっち!」

 

「……最後のドラゴンボールがある方角だわ」

 

「やはりか」

 

つまりドラゴンボールを狙う明確な敵勢力。

先ほどまで岩の上にいた誰かの気配も消えている。

おそらく敵もレーダーを開発しており、こちらがボールを集めてやってくるのを待っていたというわけだ。

 

「そうよね……文献だってあるんだもの。

 ヒノカミだって知ってたし、他にもドラゴンボールを知ってる奴がいてもおかしくないわ」

 

「さっきみたいなロボットがまた襲ってくるってことか!?

 今度こそヤバそうだし、もう諦めようぜ!?」

 

「引き返せば追ってくるじゃろう。

 ためらいなく兵器を差し向けてくるような奴の願いが、碌な物だと思うか?」

 

「……確かに」

 

ヒノカミの危惧が現実となった。

ここでボールを奪われそいつらに願いを使われてしまったら大変なことになるだろう。

衝突は必至。

しかし問題は敵の戦力がわからないこと。

 

正面からぶつかれば、自分一人ならばまず負けない。

炎を操る彼女に銃火器は通用しないのだから、銃口をこちらに向け引き金を引いた瞬間に暴発させれば良い。

兵器に頼る相手などどれほどいようが物の数ではない。

正面からぶつかれば悟空も問題はないだろうが、搦め手に弱いので不安が残る。

そしてブルマとウーロンは非戦闘員。彼らを狙われると不味いので別れて行動するのも危険。

 

「……人手がほしいな」

 

「え?」

 

「ちと待っとれ」

 

そしてヒノカミは転移で姿を消し。

 

 

 

「「うわっ!?」」

 

「よう、奇遇じゃな?」

 

岩陰に隠れて様子を伺っていたヤムチャらの前に現れた。

 

「え、え~~と……こりゃまた偶然だなーーー?」

 

「……とぼけんでもいい。発信機も追跡もずっと気付いておった。

 お主らの実力を見込んで頼みがある」

 

「「へ?」」

 

困惑するヤムチャとプーアルを引きずってブルマらに合流する。

『何故こんなところに』という彼らの疑念を押し切り、悟空に外の警戒を任せてカプセルハウスの中で作戦会議を開始する。

 

「へ……へぇ~~~~っ、ドラゴンボールかぁ~~~。

 そんなものがあったんだねぇ~~~?」

 

(……なるほど、こ奴らの狙いもそれだったか)

 

あまりに白々しいヤムチャの様子から、ようやく彼らもまた自分たちのドラゴンボールを狙っていたのだと気付く。

牛魔王からもらった財宝で手を打てないかと考えていたが失敗だったかもしれない。

 

「ほおずりほおずり♡」

 

「ぐわわわわわ~~~っ!!」

 

「ヤムチャさましっかり!!」

 

(……?)

 

しかしブルマに迫られるヤムチャの挙動がやたらとおかしい。

少し距離を取り彼の相棒のプーアルを呼び寄せる。

 

(アレはどうしたんじゃ?)

 

(……その、ヤムチャさまは女の人を前にすると緊張してしまうらしくて。

 女の子のことが好きではあるから、どうにかしたいそうなんですが……)

 

(……もしやヤムチャの願いは『それ』?)

 

(えぇぇっ!?えと、その……はい)

 

(……なんちゅーお似合いカップルじゃ)

 

『ステキな恋人』が欲しいブルマと『女の子とお付き合いしたい』ヤムチャ。

ブルマの様子からヤムチャがストライクゾーンど真ん中であることは間違いなく、お金持ちで美人のブルマをヤムチャが断る理由もないだろう。

ヤムチャのあがり症が治れば円満解決。さっさとくっつけ。

 

(ヤムチャの願いを叶えさせるか……)

 

(ホントですかっ!?)

 

(儂は嘘はつかん。じゃから全面的に協力してもらいたい。

 ……尤も、予定がちと狂ってしもうたがな)

 

ヒノカミの考えていた最良の作戦は『彼らにボールを守ってもらっている間に自分が単身潜入し、敵のボールを奪ってくる』というもの。

敵勢力がどれほどかわからないが、悟空とヤムチャがいれば自分が戻ってくるまで間くらいならブルマたちも含めて守り抜けると考えていたのだ。

しかしブルマの隣にいてはヤムチャは役立たず……とまでは行かないが、明確に戦闘力が低下するようだ。

 

なので次点、自分がやることは変わらないが『自分が潜入する際にボールを一つ預かっておく』。

これでどちらかがやられても敵の元にボールが揃うことは無い。

だが敵もレーダーを持っているだろうから、自分の潜入は確実にバレてしまう。

 

よって分担だ。

自分が隠れて潜入すると同時に悟空たちにも陽動として敵拠点に突入してもらう。

これなら悟空たちがボールを全部持ってやってきたように見えるだろう。

ブルマたちは置いていくことも考えたが、どうやらヤムチャもポンコツっぽいのでブレインとして一緒にいてもらった方がいいだろう。

彼の戦力半減よりもまだマシだ。

 

「……という作戦でどうじゃろうか?」

 

「大丈夫なの?アンタが一番大変そうだけど……」

 

「儂の妖術の数々は知っておろう。

 何を隠そう、儂は隠密行動の達人じゃぞ?」

 

「確かに、転移があるだけで全然違うわね。

 いざとなれば飛んで逃げることもできる……任せるわ」

 

(ヤムチャさま!協力したら願いを叶えてくれるそうですよ!)

 

(ホントか!?なんだあの小僧、いい奴じゃないか!)

 

ヤムチャはここまでストーキングしておきながら、未だにヒノカミの性別に気付いていなかった。

無意識で忌避反応を起こし、女性だと思い込まないようにしているのかもしれないが。

勿論プーアルは気付いている。

気付いていて敢えて伝えていなかった。

 

当然地獄耳のヒノカミには全て聞こえている。

ことが終わったらヤムチャを一発シバくと心に決めた。

 

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