『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第17話 天下一武道会

 

「ようブルマ」

 

「あ、久しぶり!」

 

「かか、ウーロンは真面目にやっとるか?」

 

「いきなりそれかよ!信用ねぇな!」

 

共に旅をしてから間もなく1年になるが、その間もヒノカミとブルマの交流は細々と続いていた。

時には電話で、時には直接彼女の家に顔を出して。

地球の神としての資格と力を手に入れたヒノカミは『地球』という惑星に限定すれば限りなく全能に近い存在となった。

地球上のあらゆる場所に端末を送り込むことなど朝飯前だ。

……神殿まで電話を引くのは、流石に苦労したが。

 

今日は5年に一度の『天下一武道会』が開かれる日。

ヤムチャが参加するので一緒に応援に行かないかと誘われ、了承したわけだ。

確かに彼の実力なら優勝も難しくないだろう。

……悟空が参戦していなければ。

 

「ねぇ、ホントに孫くんもいるの?」

 

「先ほど予選が終わったようじゃから、探せば見つかるじゃろ」

 

「いたとしてもこんなに人がいるんじゃ見つからないんじゃ……」

 

「ん~~……お、いたぞ。保護者の方じゃがな」

 

「……およ!?ありゃま~~、久しぶりじゃの~~!」

 

ヒノカミの先導で人混みをかき分けて進んだ先には、スーツ姿の亀仙人がいた。

 

「亀仙人さん、一体どこに住んでるのよ?

 孫くんに会おうと思って島を訪ねていったけど何もなかったわよ!?」

 

「悟空たちの修行をするには狭いんで引っ越したんじゃよ。

 しかしお前さんらは何故ここに?」

 

「ヤムチャさまが出場してるんです!」

 

「んで、折角ならってヒノカミを誘ったんだけど……」

 

「悟空とお主の気配があったのでな。あ奴は元気か?」

 

「なるほど、お主なら儂らに気付いてもおかしくはないか。

 元気じゃよ、元気すぎて困っておるくらいじゃ。

 ……ほれ」

 

「ばあちゃん!ブルマ!ウーロン!!」

 

「悟空っ!久しぶりだぜーーー!」

 

『亀』と書かれたオレンジの道着を着た悟空が、同じ服を着た小さな少年と共に駆け寄って来た。

 

「元気そうじゃな。そちらの少年は?」

 

「一緒に修行したクリリンだ!」

 

「はじめまして!

 ……この人がお前のばあちゃん?随分若いけど……」

 

「かかか、このやり取りも懐かしいな」

 

武道会の参加者は137人。

そして本戦に進めるのはわずか8人。

悟空もヤムチャもクリリンも互いにぶつかることなく勝ち進むことが出来たそうだ。

そして間もなく本戦が開始されると放送があり、出場者である悟空とクリリンが声援を受けて立ち去る。

 

「……ヒノカミ、ちとこっちへ」

 

「?」

 

その直前に亀仙人に手招きされ、ヒノカミだけが彼と共に少しその場を離れる。

そしてブルマたちのもとに戻ったのは、ヒノカミだけだった。

 

「ちょっとどこ行ってたのよ。

 あれ?亀仙人さんは?」

 

「儂らとは離れて、後ろの方で観戦するそうじゃ」

 

「はぁ?なんでよ?」

 

「……察してやれ。年寄りはトイレが近いんじゃ。

 仮にもおなごの儂らに対し頻繁に『厠へ行く』と言うのは気恥ずかしかろう?」

 

「あー……仕方ないわよねぇ」

 

彼女らの会話が聞こえていた亀仙人は、今すぐ引き返し『違う』と声高に叫びたかった。

しかし時間がなく、泣く泣く背を向けて立ち去った。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

第21回天下一武道会、第一試合。

クリリンの対戦相手は『生まれてから一度も風呂に入ったことがない』というあらゆる意味で恐ろしい怪力の大男、バクテリアンだった。

大抵の相手はその悪臭に二つの意味で苦しめられるのだが。

 

「クリリン!!クサいのは気のせいだっ!臭うわけないだろっ!!」

 

選手が控える場所と舞台を仕切る壁の上に登った悟空が鼻を摘まみながら声援を送る。

 

 

「お前には『鼻がない』じゃないか!!」

 

 

そして本領を発揮したクリリンは見事バクテリアンを撃破したのだった。

 

「……あ奴鼻が低いんでなくて、物理的に無かったんかい……。

 鼻呼吸ができんのは本来は相当なデメリットなんじゃが……」

 

武闘家同士の戦いではなく、ビックリ人間同士の戦いだったようだ。

ちなみに臭いを嗅がずに済むように試合中ずっと呼吸を止めていたヒノカミも人の事は言えない。

まぁ、人じゃないので。

 

 

そして第二試合。

ヤムチャの対戦相手はジャッキー・チュンという老人だった。

ヤムチャは都会に行ってからも相応に鍛えていたようだが。

 

「そ、そんな……このオレが……」

 

手も足も出ずに敗北してしまった。

ブルマたちも悟空たちも驚愕しているがヒノカミの感想は淡泊なものだった。

 

(ま、今のヤムチャではこんなもんじゃろ)

 

アレが亀仙人の変装だと知らされていれば、当然の帰結である。

 

気配を察知することができるヒノカミには隠し通すことはできまいと、亀仙人は本戦前に彼女に事情を明かした。

悟空とクリリンが強くなりすぎてしまい、ここであっさりと優勝しては調子に乗ってしまうかもしれない。

だから世の中、上には上がいると知らせるために正体を隠して参戦したそうだ。

 

(クリリンの方はわからぬが、悟空の方は杞憂と思うがなぁ)

 

何しろ彼はヒノカミという圧倒的強者の隣で育ったのだ。

確かに強くなったがまだまだ彼女に敵うなどとは思っていないはず。

端末の身であっても、ヒノカミの方が今の悟空よりも亀仙人よりも遥かに強いのだから。

 

続いて第三試合はナムという青年が勝利し、第四試合の悟空の相手は怪獣ギラン。

空を飛ぶ翼と特殊な技で悟空を苦しめたのだが、地力の差が大きく、最後は降参した。

 

これで一回戦は全て終了。二回戦へと移る。

 




こんな感じで、要所要所にふらりと紛れ込むスタンスで話を進めます。
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