『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第20話 西の都

 

「……んあ?」

 

「どしたのヒノカミ?」

 

「この気配……近くに悟空が来とるな」

 

「へ?」

 

「ちと行ってくる」

 

「あ!もう……」

 

カプセルコーポレーションでブルマと一緒に新たな発明品の実験を行っていたヒノカミは、悟空の気配を辿って彼の傍に転移する。

悟空は道の真ん中で、人垣に囲まれた状況で武闘家らしい青年と戦っていた。

 

「失礼、これはなんの集まりじゃ?」

 

「あ?あぁ、ストリートファイトだよ。

 アイツに勝ったら賞金出すってんだけど、今参加したガキがとんでもなく……」

 

ドゴッ!!

 

決着はついたようだ。

悟空が壁を蹴り砕き、武闘家の青年は降参した。

 

「これ悟空」

 

「あれ?ばあちゃん!?

 なんでここに!?」

 

「ブルマのとこに邪魔しておったんじゃ。

 ……そこの青年、多少は腕が立つようじゃがもう少し世界の広さを知ることじゃな。

 こ奴は前回の天下一武道会の準優勝者じゃぞ?」

 

「「「いぃぃぃっ!?」」」

 

「悟空、お主ファイトマネーは支払ったか?」

 

「1万ゼニーだっけ?特別にいらないって」

 

「だったら賞金は辞退しておけ」

 

「そっか、ばあちゃんが来てくれたならいらねぇや」

 

「では失礼する。精進せよ、青年」

 

「は、はい……」

 

「また強くなったら戦おうなっ!」

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

割れた人垣の間を通り抜けてその場を離れる。

なぜ西の都に来てあんなことをしていたのかと尋ねると、ドラゴンレーダーが壊れたとのこと。

それでブルマに直してもらおうと彼女の家を探しに来て、行きたいところに連れて行ってくれるという車に乗せてもらったが、お金がなきゃダメと下ろされたらしい。おそらくタクシーだろう。

そこで人に道を聞くにはお金が必要と誤解し、お金をもらえると聞いてあの青年に挑んだそうだ。

 

「はぁ……今度時間ができた時、数日都で過ごしてみるか?

 都会での生き方も覚えておかねば面倒も増えるぞ?」

 

「ん-……考えとく」

 

悟空を連れ歩き、戻って来たのはカプセルコーポレーションの研究所兼自宅。

西の都の中でも特に巨大なドーム状の施設で、庭も含めるとそこらの公共施設よりも敷地は広大だ。

都会の一等地にこれほどの土地を構えることが出来るというだけで、カプセルコーポレーションが如何に巨大な起業かが伝わるだろう。

 

「ブルマーーーーっ!

 オラが来たぞーーーーっ!!」

 

「叫ぶでない。

 この柱にボタンがあるじゃろ?

 ここを押すと、この建物の中の部屋と声が通じるんじゃ」

 

「へぇー」

 

「今回は儂がおるから勝手に入っても問題ないが、今後人の家に入るときはこのインターホンがないか探すようにな?」

 

中には警備ロボットや侵入者を感知するセンサーが取り付けられているが、ヒノカミは何度か訪れているためすでに身内として登録されている。

その彼女が引き連れる悟空もすんなりと中に入ることができた。

そして先ほどまでいた研究室に戻ってくる。

 

「戻ったぞー」

 

「もうっ、突然消えないでよ!

 そんでいらっしゃい、孫くん!

 今日はどうしたの?」

 

「レーダーが壊れちゃってさ。直してほしいんだ」

 

「そういうことか。いいわ、ちゃちゃっと直してあげる!」

 

そしてホントにちゃちゃっと直してしまうあたり、ブルマは流石である。

未だにヒノカミでも完全に構造を把握できていない超精密機械なのに。

ちゃんと直ったか確認するために彼女がレーダーを起動すると、この場にあるボールは二つ。

 

「あれ?まだ二つしか集まってないじゃない。

 のんびりしてるわね~」

 

「へへ~。結構見つけるの厄介なんだ」

 

「次のボールは……ここは海ではなかったか?」

 

「南東8千キロ……確かにそうね」

 

周辺には大きな島も無かったはず。

もし海の底に沈んでいたとしたら、筋斗雲を持つ悟空でも取りにいけないかもしれない。

 

「潜水艇はあるか?」

 

「あるけど、孫くんじゃ使えないでしょ?

 明日は日曜日だし、久しぶりにわたしも付き合ってあげる!」

 

「ホントか!?

 ……でもそこまでどうやって行くんだ?

 ブルマは筋斗雲乗れねぇし……」

 

「ふっふっふ……ねぇヒノカミ、この場所って亀仙人さんの島から結構近いわよね?」

 

「そうじゃが……まさかアレを?」

 

「そう!なんだかんだ長い付き合いだし、試しにアレを置くには丁度いい場所だと思わない!?」

 

「アレ?」

 

それはここしばらくかけて、ヒノカミとブルマと、彼女の父であるブリーフ博士が共同開発した発明品だ。

ちなみにヒノカミはアイディアとほんの少しの知識を提供しただけだが……それでこの短期間で完成させてしまうあたり、ブルマはもちろんブリーフ博士もとんでもない天才である。

ただしこの技術を公に広めるつもりはない。

今の世の在り方を、大きく変えすぎてしまう。

 

「確かに亀仙人の家なら秘匿の面で問題はないか……。

 わかった。儂と悟空が先に向かい設置して良いか交渉してくる」

 

「よろしくぅ。

 その間に潜水艇やら何やら、カプセルの用意をしておくわ。

 準備できたら連絡してね」

 

「???

 なぁばあちゃん、結局ブルマはどうやって行くつもりなんだ?

 アレっていったいなんだ?」

 

「ブルマはな、儂の妖術の一つを再現した機械を発明したんじゃ。

 ……設置型の『転移装置』じゃよ」

 




簡易武装錬金『ヘルメスドライブ』を自力で製作したヒノカミなら、本当はもっと性能の良い転移装置を作れるんですが……流石に異界の知識を簡単に広めるのは良くないと、アイディアと触りだけ。
それだけで完成させるだろうと確信してしまえるのがこの親子。
頭脳面でなら悟空なんかよりもよっぽどチートです。
ホントにどうなってんだコイツら。
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