西の都から飛び立った悟空とヒノカミ。
ヒノカミ一人なら転移で行けるが、折角なので悟空と一緒に飛んでいくことにした。
ついでに、目的であるドラゴンボールがある場所を確認しておく。
「ボールはこの下じゃな」
「うへぇ……ホントに海の中だったんか」
「この辺りは水深も非常に深い。
素潜りで行くのは無理じゃろう」
呼吸が不要なヒノカミなら行けるが、これは悟空のボール探しだ。
協力はするが、代行はしない。
「では予定通り、このまま亀仙人の家に向かおう」
「わかった」
そのまま更に進み、亀ハウスに到着。
早速亀仙人に用件を伝える。
「なぬ?転移装置?」
「あぁ、ブルマの発明でな。
公にはできぬが、お主の家ならば問題なかろう」
西の都との行き来が容易になれば亀仙人にとっても非常に助かる。
望んで孤島に住んではいるが、生活必需品を購入するために遠方の大きな島へと移動するのはなかなか手間だからだ。
「そういうことなら、儂からお願いしようかの」
「ありがたい。では設置して良い場所を教えてくれ。
装置の大きさは電話ボックスくらいじゃな」
「屋外でも問題ないなら、家の裏にでも繋げてくれ。
家の中はそう広くないのでな。
……ちなみに、どこと繋がるんじゃ?」
「カプセルコーポレーションの敷地にある小屋の中。
……ブルマの家には入れぬぞ?」
「ちっ」
カプセルから出した機材を組み立てる。
人間一人が入れるほどの半透明の筒状の装置だ。
台座と屋根は六角形。これはヒノカミの意見を反映した結果である。
亀ハウスはカプセルに出来るタイプなので、一緒に収納できるように調整するのは容易ではない。
ヒノカミはカプセルの技術も学ばせてもらったのでなんとか可能だが、ブルマならそれこそ一瞬で済ませるだろう。
「な、なんか緊張しますね……」
「お買い物が楽になるわぁー」
「西の都で暴れるなよ?
もしもし、ブルマか?設置が終わったぞ?」
設置している間にクリリンとランチが買い物から戻って来た。
ランチはくしゃみをすると性格が入れ替わる二重人格で、今の彼女は清楚で穏やかな女性だが、くしゃみをすると凶暴な悪人に変貌する。
天下一武道会の後で一度顔を合わせた際に本気で叱りつけたので、多少は自制するようになったはずだが……。
『オッケー、接続を確認したわ!
んじゃ早速……』
透明な筒の表面が光り、やがて収まると中にはブルマの姿が。
「やっほー、亀仙人さん!」
「こりゃあたまげたわい……」
「す、すげーっ!ホントに一瞬で現れた!
ばあちゃんみたいだ!!」
「ヒノカミほどどこでも自由にとは行かないけどね。
でもこれで各地のウチの施設に取り付ければいろんなところに気軽に行けるわ!
一応登録してる人以外は使えないようにセキュリティつけるけど、悪用されたら厄介だからくれぐれも内緒にしてよね?」
「わかっとるわい」
武術の達人である亀仙人そのものが最大のセキュリティではあるが、完全には信用できない。
度を越したスケベなので、色香に惑わされて余計なことをペラペラしゃべったり……あり得る。
「ボールはやはり海の底じゃった。潜水艇は用意してきたか?」
「バッチリ!」
「面白そうだな~、オレもついていこうかな?
そのあたりの海なんだったら、海賊の宝も見つかったりして!」
「え!?何よそれ!?」
「昔あの一帯の海を荒らしまわっておった海賊の溜め込んだ宝物が、海のどこかに隠されておるらしいぞい」
「ロマンね、ステキ!
それを探すのもいいわね!」
「これからは気軽に来れるんじゃし、ボール探しの後で挑戦するのも良いかもしれんな」
クリリンとブルマとヒノカミが同行し、一時的な4人旅となる。
飛行能力を持った潜水艇でボールのあった場所まで一気に飛び、そこから潜水。
海の底にまで辿り着く。
「ここよここ!この真下だわ!」
「おかしいな、ドラゴンボールが見つからないぞ?」
「そんなはずないわ!絶対にこの真下よ!」
「オラ外に出て探してくる」
潜水服と水中マスクを着けた悟空が調べると、海底と思われた場所は巨大な岩の表面であり、その上に出来ていた溝の中に入り込んだ可能性が高いとわかった。
とても小さな隙間で、人間が入れる大きさではない。
どこか別の場所から侵入できないかとレーダーで調べると、どうやら巨大な海底洞窟があり、そちらから回り込めるようだとわかった。
悟空を船に戻してその入り口へと移動する。
そして巨大な横穴を見つけた。
「っ!速度を上げろ!耳を塞げ!!」
水中であったから察知が遅れたが、こちらに向かって近づいてきた音で気付いた。
潜水艇の近くに迫っていた魚雷を能力で誘爆させ、衝撃を可能な限り逃がす。
「なっ、なんだっ!?」
「見て、潜水艦よ!!
あいつが撃ったんだわっ!!」
「またレッドリボンのやつらかなぁ」
「「へ!?」」
それは今この世界を荒らしまわるならず者の組織。
世界最悪の軍隊とも呼ばれる連中の名前だ。
「どういうことじゃ?悟空」
「あいつらもドラゴンボール探してるらしいんだ。
だからオラが邪魔らしくていつも喧嘩仕掛けてくるんだぜ?」
「お前そんな奴に狙われてるのかっ!?」
「わっ!また撃って来た!」
「ちっ……洞窟の中に逃げ込め!!」
魚雷を迎撃しつつ穴に入ったところで、ヒノカミが叫ぶ。
「このまま先に進め!後で追いかける!!」
「えっ!?ちょっ……えぇっ!!」
ヒノカミが船の外、海の中に身一つで転移してそのまま離れていく。
「そっか!ばあちゃんは息止めても死なねぇんだった!!」
「ホントに何なんだよあの人!?」
「ともかく、アイツが大丈夫ってんなら大丈夫よね!
言われた通り先に進んで!!」
やがてレッドリボン軍の潜水艦も洞窟へと侵入してきた。
ヒノカミはそれを、岩陰に隠れて見つめる。
(……よし!)
十分に入り込んだと判断したところで、鬼の仮面を顔に着ける。
『ウォォォォォ……!』
仮面が海の熱を急激に奪っていく。
洞窟の中の水が、一気に凍り付いていく。
やがて洞窟の入り口は完全に氷でふさがれた。
その中には、レッドリボン軍の潜水艦も閉じ込められている。
(これでもはやどうすることもできまい。
……そのまま海の藻屑となるがいい)
レッドリボン軍の悪行を知っているヒノカミは一切容赦をしなかった。
後は悟空たちの所へ向かうだけだが、あの小さな潜水艇の中にピンポイントに転移するのは難易度が高い。
まだそう離れていないはずだと、泳いで向かうことにした。
『炎と熱を支配する』能力持ちのヒノカミに銃火器は一切通用しません。
レッドリボン軍は『世界最悪の軍隊』なんでしょうが、機械頼りな時点でヒノカミの敵ではないです。
よってブルー将軍、名前が出ることもなく、ここでリタイアとなります。