『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第22話

 

(……水面?)

 

泳ぎ続けて暫く、ここはまだ海面には程遠いはずだが途中で海が途切れている。

 

(なるほど、洞窟の中に空気が溜まっておるのか)

 

悟空たちと乗って来た潜水艇の底が見える。

ヒノカミは水から出た後水面に立つ。

 

「出てきてよいぞ」

 

「ばあちゃん!」

 

「ど、どうなった!?」

 

「氷漬けにして閉じ込めてやったわ。

 もう追ってくることはできまい」

 

悟空たちが周辺に隠れていたことは気付いていたので声をかける。

安堵してブルマも岩陰から出てきた。

 

「よかったぁ~~……ってそれじゃわたしたちも出られないんじゃないの!?」

 

「あ?あー……」

 

自分ひとりなら転移でどこにでもいけるものだから、脱出経路という考えが頭から抜け落ちていた。

 

「……大丈夫じゃ。最悪の場合は、なんとかする」

 

「アンタは嘘言わないから信じるけど……ホントでしょうね?」

 

「誓ってな」

 

幾つか手段はあるが、確実なのは本体から一時的に力の供給を受けて彼ら4人も連れて転移することだろうか。

神としての権能で下界に干渉するのは不味いので、本当に最後の手段にしたいところだが。

 

念のため潜水艇をカプセルに戻し、この水面も熱を奪って氷漬けにしておく。

 

「……っていうか孫くん!

 レッドリボン軍に追われてるなんて聞いてないわよ!?」

 

「危ねぇっつったじゃんか」

 

「落ち着けブルマ。

 ……しかしこれで、ボール探しは他人事ではなくなったな……」

 

「「へ?」」

 

「レッドリボン軍が神龍に何を願うと思う?」

 

「「あ……」」

 

世界中で悪逆の限りを尽くす集団だ。

『世界征服』などと言い出してもおかしくない。

むしろそれが一番可能性が高い。

 

「そっか……そういう意味じゃ、むしろ孫くんに感謝しなくちゃいけないわね……」

 

「だな。悟空がボール探ししてなかったら、オレたちが知らない内にアイツらがボールを揃えて願いを叶えてたかもしれないんだし」

 

とにかく連中は規模と人数が尋常ではない。世界中に支部があり構成員がいる。

レーダーも持っているようだし、放っておけば暴力と人海戦術を駆使して世界中のボールを集めてしまうだろう。

 

「よくわかんねぇけどさぁ、先進もうぜ?」

 

「お前が一番の当事者だろ!?」

 

「でもたしかに今ここで話してても仕方ないわ。

 いつまでもこんなところにいたくないし、先に行きましょ?」

 

 

洞窟は長い長い一本道のようだ。

暗くて道が良く見えない。

光源は彼らの前を先導する人魂のような小さな炎しかないので、一歩一歩慎重に進む。

 

「もうちょっと炎を大きくできませんか?」

 

「できるが、この洞窟の規模がわからぬ内は我慢せい。

 無駄に酸素を消費して酸欠になりたくはあるまい?」

 

「そうだけどさぁ……ん?

 ねぇ、もうちょっと上を照らしてくれない?」

 

「ん?……ん!?」

 

炎を上に浮かべていくと、天井の違和感に気付いた。

 

「あれは……電燈か!?」

 

「な、なんでこんな洞窟に!?」

 

「電線が伸びてる……これね!?」

 

壁に埋め込まれたスイッチを見つけて押すと、洞窟の天井に光が灯る。

 

「電気も生きておるじゃと……!?」

 

「なぁばあちゃん、これこれ」

 

「ぬ!?」

「「……うわぁっ!?」」

 

悟空が見つけたのは白骨化した死体。

しかし問題は、それが身に着けている服の残骸。

髑髏を描いた立派な帽子は、どう見ても……。

 

「……わかった!さっき言っただろ!?

 大昔の海賊の宝がこの辺りのどこかに隠してあるはずだって!

 ここがそうだよ!!」

 

「なるほど……ここなら滅多に見つかりっこないわ!」

 

「まさかこんなところにあったなんて……大発見だ!!」

 

「喜んどるところ悪いが、ボールと脱出経路を先に見つけてからな」

 

「「うっ」」

 

「オラ宝物よりごちそうの方がいいなぁ……」

 

「宝物をお金に換えたら、ごちそうがたくさん買えるんじゃよ」

 

「そっか!よし、オラもやる気出てきた!」

 

しばらく進むと、整備された道になった。

床一面ボタンが敷き詰められ、踏むと槍が襲ってくるという道になっていた。

ヒノカミに槍なんか刺さらないので一人なら普通に進めるが、彼女以外は悟空ですら無理だ。

 

「……あった!多分、これね!」

 

「……隠し通路!?」

 

「でなきゃ海賊も通れないもの」

 

「しかしこの分では他の罠が生きている可能性も高いな」

 

周辺への警戒を最大限にし、戦えないブルマを庇う形で慎重に進む。

さらにもう少し進むと、開けた場所に出た。

港のようだ。巨大な潜水艦も繋がれている。

 

「これで他に出口があるのは確実ね」

 

「え?なんで?」

 

「昔はカプセルなんて無かったもの。

 小さくして運んだりできないじゃない。

 つまり、この港を潜って行けば海のどこかに出るんだわ」

 

「なるほどねぇー……」

 

「お主ら、止まれ。

 ……家主が門番を残していたようじゃ」

 

「「へ?」」

 

「あそこだ!!」

 

悟空が指さした方から向かってきたのは、おそらく海賊が残したセキュリティロボット。

人間よりも一回り大きく、右腕に剣を持ち、左腕は銃と一体化している。

ホバーか何かで地面を滑るように移動してくる。

 

「あぶねぇっ!」

 

悟空がブルマを掴み、クリリンもその場を飛びのいた。

しかしヒノカミは動かず。

 

「脆いの」

 

振り下ろしてきた剣の刀身を炎の剣で斬り落とし。

 

「ふん」

 

こちらに向けた左手の銃を暴発させ。

 

「遅い」

 

すれ違うように移動したかと思うと、ロボットを細切れにしていた。

転がった残骸が地面に散らばり、少し遅れて爆発する。

 

「つ……強い……!」

 

「さっすがぁ!」

 

「……喜ぶ暇はなさそうじゃ。

 相当老朽化していたらしいな……」

 

「「「へ?」」」

 

今のロボットの爆発の衝撃がこの洞窟全体に伝播したようだ。

壁や天井の至る所にヒビが走る。

 

「ちぃっ」

 

再び仮面を被ったヒノカミは地面に手を添え、この洞窟全体を一気に凍結させる。

氷におおわれて一時的に崩壊が止まった。

 

「うわわっ!?すげぇっ!」

 

「しかし応急処置じゃ。あまり時間の余裕はない、走るぞ」

 

「うん!ボールは多分この先よ!!」

 

「……はっくしょぃ!!さみぃ~っ!」

 

港を超え、奥へ奥へと走る。

分かれ道を超えた先には井戸があった。

そして中の水も凍ってしまっている。

 

「潜らなきゃ進めないの!?」

 

「ちっ、なんもかんも凍らせたのは失敗じゃったか。

 儂についてこい」

 

吸い込んでいた熱を体の表面に纏って飛び降りると、ヒノカミが触れた部分の氷が溶けて道ができる。

通り過ぎると同時に再び凍らせて、氷の階段や梯子を作りながら先へと進んでいく。

 

「器用ですね……冷たいのはちょっと辛いけど」

 

「我慢せい。横穴……更に奥か」

 

氷のトンネルを抜けた先には更に空洞があった。

そして中央には巨大な宝箱。

 

「あったーーーーっ!!」

 

「開けてみようぜ!」

 

「なぁボールは?」

 

「あっちの水たまりの底みたいね……氷漬けだけど」

 

「儂と悟空で取りに行く。

 ブルマはその宝箱をカプセルに入れておけ」

 

「空きのカプセルは……あった!」

 

先ほどと同様に氷を溶かして進み、レーダーを頼りにボールを探す。

岩の下に潜り込んでいたのでこれを回収、残念ながら悟飯の形見の四星球ではなかった。

 

「宝は回収したわっ!急ぎましょ!」

 

港まで戻りカプセルから潜水艇を出そうとしたが、今はこの港の水も全部氷漬けになっていた。

 

「氷を溶かすと再び洞窟の崩壊が始まるじゃろう。準備はいいか?」

 

「この港が海に通じてなかったら、わたしたちもアウトね……」

 

「その時は儂が切り開いてやるわい……行くぞ!」

 

ヒノカミが海面に手を当てると、一気に氷が解けていく。

そして洞窟全体が再び揺れ始める。

4人は即座に潜水艇に乗り込み、暗い洞窟の中を進んでいく。

幸いにも道が途切れているということはなく、潜水艇は見事海へと脱出。

彼らが脱出した直後、洞窟は完全に崩れ落ちた。

 




グダグダになってしまいましたが、初めてドラゴンボールを読んだときにこの話が特に記憶に残っていたので、あまり飛ばさず書くことにしました。
ご了承ください。
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