『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第24話

 

何度か大勢の気配……レッドリボン軍であろう者たちが近づいてきたが、すぐに引き返していった。

何しろ溶岩の中を泳いでこなければ辿り着けない場所だ。

耐火性のスーツを着ていても限度がある。

一度無人機が来たことがあったがそれはヒノカミが容赦なく溶岩を操って飲み込み火口の底へと沈めた。

何もかも機械任せというのは彼女の好みではないので。理不尽。

 

結局何も起きず、待つことおよそ一週間。

 

「ん?これは……悟空か?」

 

良く知る気配を感じ取ったが、先日別れて間もないのに遥かに気が大きくなっている。

火口から上空を見上げると丁度筋斗雲が旋回していた。

自分に用があるのだろうと思い、転移で目の前に移動する。

 

「悟空」

 

「おわっ!ばあちゃん!!

 よかった、探してたんだ!」

 

慌てているようだが困っている様子ではない。

落ち着かせて話を聞く。

 

別れた後に向かった4つ目のドラゴンボール、それは探し求めていた四星球だったのだが、それを拾い守っていた現地の男性がレッドリボン軍の雇った殺し屋に殺されてしまったらしい。

彼の息子であるウパという子に『父を生き返らせる』と約束し、7つのボール全てを集めることにしたという。

この場にはボールが4つ。

そして残る3つの内2つはレッドリボン軍の本拠地にある。

 

「それはつまり、レッドリボン軍と本気でやり合う覚悟ができたということか?」

 

「あぁ!酷いことばっかしやがって、アイツら全部やっつけてやるんだ!」

 

なぜかは知らないが悟空は急激に強くなっていた。

今の彼なら一人でも成し遂げてしまうかもしれないが、万全を期すべきだろう。約束もある。

 

「わかった。しかし一度亀仙人らに連絡し合流しよう。

 敵の数は多い。負けぬよう、逃がさぬよう、確実にじゃ」

 

「うん!!」

 

 

二人は揃って亀ハウスまで飛んだ。

到着後、連絡を受けたヤムチャとブルマも転移装置で西の都からやってくる。

 

「なぬっ!?お前登ったのか!?カリン塔に!?」

 

「うん!カリン様にも会ったぞ!

 不思議な水も飲めた!!」

 

「短期間の成長はそれか……」

 

「「「?」」」

 

この場には知らない人間の方が多いので説明しておく。

雲を貫き、天にまで届くほどの長い長い塔、その頂上には『武術の神』と呼ばれる『カリン』が済んでいる。

彼の持つ『超聖水』を飲めば、強大な力が手に入るという。

 

(あんのドラ猫め、誰か来れば儂に連絡を寄越せと言っといたじゃろうが!)

 

しかし神であるヒノカミの立場からすれば、あれは怠け者でいたずら好きの困った奴だ。

超聖水だってそれをカリンから奪うのが修行になるというだけで、中身はただの水でしかない。

何よりカリン塔の頂上は頂上ではなく、その遥か頭上に浮かぶ神の宮殿への玄関口。

そして来訪者が神に面会するに相応しいかを判断するのがカリンの本来の役目なのだ。

だと言うのに相手がそれを知らないからと何も明かさずに帰し、『神に会う資格を持つ者など現れないだろう』と決めつけてカリン塔と神の宮殿をつなぐ如意棒すら勝手に手放す始末。

ヒノカミが神に就任する前の話だが。

ちなみにその如意棒を欲したのが昔の亀仙人らしく、弟子の孫悟飯を経由し悟空に引き継がれたという経緯がある。

 

「……ま、決戦を前に戦力が増強したのはいいことじゃ。

 んじゃ突入作戦を考えようかの」

 

「へっ……腕が鳴るぜ……!」

 

「ほ、ホントに行くんですかぁ……!?」

 

突入するのは悟空、ヒノカミ、亀仙人、クリリン、ヤムチャの5名。

他は亀ハウスで留守番だ。ランチはかなり乗り気だったがやはり危険すぎる。

 

「これが敵拠点の空撮写真じゃ。

 総帥がいるのはここ、ボールもおそらくこの周辺じゃろうな」

 

「じゃあ逃がさねぇようにしねぇとな!」

 

「追って捕らえることもできるんだから、無理は禁物だぞ?」

 

「悟空、『仙豆』はもらってきてないか?」

 

「「仙豆?」」

 

「いや、ねぇけど……」

 

「そうか……では我らは一丸となって行動するべきじゃろう」

 

あれは一粒食べれば腹が膨れるだけでなく、どんな怪我でも瞬時に癒してくれるという素晴らしい豆だ。

もしカリンからいくつかもらっていたのなら皆に預けて別れて行動することも視野に入れたのだが、無い以上はヒノカミがメンバーの治療役を務めるべきだろう。

ドラゴンボールを集める目的は死者の蘇生。そのために新たな死者を出しては本末転倒だ。

 

「儂の妖術の中には『炎や熱の遠隔操作』と『癒しの炎』がある。

 今回はこれを用いて敵の銃火器の無力化や負傷時の治療に専念する。

 即死にさえ気を付けてもらえば手足がもげようと即座に治してみせよう」

 

「手足がもげるとか怖いこと言わないでくださいよぉ……」

 

「だが兵器を処理してもらえるならあとは肉弾戦だな。

 だったらどれだけの敵が襲ってこようが負ける気がしないぜ!」

 

「みんなはどうやって突っ込むんだ?

 オラ一人だったら筋斗雲で行けるけど」

 

「空にも防衛網がある。

 更に上空から飛び降りて奇襲をしかけるのはどうじゃ?

 飛行機で近づけば迎撃されるじゃろうから、そこまでは悟空とヒノカミに運んでもらわねばならぬが」

 

「なるほど、であれば着陸までは儂の帯でお主らを包もう。

 ミサイルを撃ち込まれようが防いでやる。乗り心地は保証せんがな」

 

「近くまでは飛行機で行くんですよね?

 ちょっとくらいなら我慢しますよ」

 

「あとは、ボールか……これを持っていってはこちらの接近を察知されてしまうな」

 

「だったらアタシらが預かっとくぜ」

 

ここで会議に割り込んだのはランチだった。

 

「この島はもうレッドリボン軍に知られてんだ。

 ボールがあろうがなかろうが、狙われる可能性がたけぇんだろ?

 襲ってきたらアタシがぶっ殺してやるさ!」

 

「無理そうなら転移装置で即座にウチに逃げるわ!

 アンタたちなら連中が西の都にまで攻めてくる前にはやっつけちゃえるでしょ!?」

 

「……わかった」

 

「じいちゃんの形見、頼むぞブルマ」

 

「任せて」

 

「では決行に移る。

 言った通り儂は補助に専念する。

 突入後の指揮は亀仙人に」

 

「よかろう」

 

「よっし!じゃあ行くぞ、みんな!」

 

「「「「応!」」」」

 

 

「頑張ってね、みんな!」

 

「アタシの分までぶちかましてこいよ!」

 

「ご武運を……」

 

ブルマやウミガメの声援を受けて、筋斗雲と飛行機が亀ハウスから飛び立っていく。

 




ヒノカミが悟空と他の皆の繋ぎとなり、足並みを揃えて動く。これが本作の特徴です。
原作だと悟空が一人でどんどん走って行っちゃうので、彼に慕われているヒノカミが積極的に仲間たちと連携を取ろうとします。
今後もこの傾向が強くなります。
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