『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第26話 占いババ

 

これでボールは6つ。

ついに残るは一つなのだが、ここで問題が起きた。

最後の一つがレーダーに反応しない。

ブルマに見てもらうがレーダーは壊れていないとのこと。

考えられるのは、何らかの生物がボールを飲み込んでしまった可能性。

掌大のボールなど簡単に誤飲してしまいそうな巨大生物などこの世界にはいくらでもいる。

そうなってしまうとお手上げだ。

 

そこで亀仙人が提案したのが『占いババ』を頼ることだった。

どんな事でも百発百中で占ってくれる彼女ならば、ボールを見つけ出すことなど容易だろう。

1回につき一千万ゼニーという高額の報酬を要求されるのだが、海賊の財宝を手に入れている今の悟空たちにははした金だ。

庶民の感覚を持つ身としては惜しくもあるが、人の命がかかっている。

一度ブルマの家に戻り現金を用意してもらって、悟空に渡す。

悟空の強さに触発されたヤムチャとクリリンも同行するそうだ。プーアルも敬愛するヤムチャにつき従う。

 

残る面子は6個のボールを預かりつつ亀ハウスで管を巻いていたのだが。

 

「おーーい!」

 

「悟空……だけか?

 ヤムチャたちはどうした?」

 

「クリリンがじいちゃんとブルマを急いで連れてこいって」

 

「わたしたちを?」

 

「何があった?最後のボールは見つかったのか?」

 

「それがさ、お金払うから占ってくれって言ったんだけど、戦わねぇと駄目だって……」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

「クリリーーーン!」

 

「悟空!連れて来てくれたか!?」

 

「おや?……あ、あぁ……!?」

 

筋斗雲に乗り戻って来た悟空ではなく、その隣に並んで飛ぶヒノカミの姿を見て、占いババはたじろいだ。

当然だ。彼女はあの世や天界とも繋がりがある。

ヒノカミが神の現身であることも……約束破りを嫌うこともそれこそ嫌という程理解している。

 

「……ふん」

 

舞台の傍に着地したヒノカミは一目見て状況を察し、湖の一部を瞬時に熱して水蒸気爆発を起こした。

大量の水が舞台の上に降り注ぐ。

 

「ぐっ……あぁっ!」

 

「げげっ!?」

 

ヤムチャと戦っていた透明人間の体の表面に無数の水滴がついていた。

相手の姿が見えればヤムチャにとっては雑魚でしかない。

叩きのめすと白旗を挙げた。

2戦目を勝利したと喜ぶ一行を余所に、ヒノカミは占いババに詰め寄る。

 

「さて……どういうつもりじゃ?」

 

「い、いえ、これは、その……!」

 

鬼の仮面を被って明らかな怒気をはらませたヒノカミを前に、占いババは口を濁らせる。

 

占いババに占いを頼む方法は二つあり、一つは一千万ゼニーを支払うこと。

もう一つは彼女が雇った5人の戦士と勝ち抜き戦を行い、それに勝利すること。

降参は認められているが、命の保証はない。

つまり彼女は、正当な報酬を用意してきた相手に命を懸けることを強要した。

 

「返答によっては……わかっておろうな?」

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

あの世や天界との行き来を禁止されるくらいならまだマシだ。

命を奪われることすらも最悪ではない。

ヒノカミが使役する炎の巨神が悪人を食い殺す姿を、彼女は何度も目にしているのだ。

 

「なんじゃ、ヒノカミ。

 お主は姉ちゃんとも知り合いじゃったんか?」

 

「……姉ちゃん?」

 

「占いババはワシの姉じゃよ」

 

「「「えぇぇっ!?」」」

 

「…………」

 

亀仙人の何気ない一言が占いババの命を繋いだ。

ヒノカミは家族を大切にする。

亀仙人の前で姉を処断するのは憚られた。

 

「……詳しく話せ」

 

「は、はい。ではこちらに……」

 

休息に丁度良いと悟空たちには少し待っていてもらい、二人だけで建物の奥へと進む。

占いババはすぐさま巨大な水晶から飛び降り、額を床に擦り付ける。

 

「ご無礼を致しました。

 まさか神様の知人とはつゆ知らず……愚弟がお世話になっておるようで」

 

「儂の関係者だから特別扱いしろというわけではないがな。

 しかしなぜ金銭での占いを断った?

 まさか悟空らの戦いが見たかったなどと言うまいな?」

 

「それは……白状しましょう。その気持ちがあったのも事実。

 ですが一番の理由は……」

 

「そこからはワシがお話ししましょう」

 

建物の奥から一人の男性……老人が現れ二人の会話に割り込む。

 

「お主は……!」

 

「お久しゅうございます。

 生前はそうと知らぬとは言え、数々のご無礼を……」

 

「いや、良い。

 ……なるほど、お主が願ったのか」

 

「その通りです。占いババさまに『尾を持つ子供が来ることがあればワシを呼んでほしい』とお願いしました」

 

「なのでワシはそれが今日であることを占い……しかしこの者とはどのようなご関係で?」

 

「その子供を育てるために下界に降りていたのじゃ。

 彼が亡くなるまでしばらく共に暮らしていた」

 

「なんと、あの子供は神様が育て導くほどの傑物と……」

 

「始まりは違う理由じゃったがな。

 ……凄んで悪かった。そういう理由であれば儂が阻む理由はない。

 しかし報酬を持ってきた相手に命がけの試合をやらせるのはやりすぎじゃ。

 せめて真っ当な試合をさせい」

 

「は、ははーーーっ!」

 

自分の正体は秘密だと言い含めたうえで、老人と別れて二人は先ほどまでいた舞台へと戻る。

 

「すまんがもう少し待っておれ。次の対戦相手を連れてくるでの」

 

「およ?『悪魔の便所』を使わんのか?」

 

「たった今ヒノカミ殿に叱られたでな。

 確かにワシが勝手な都合で金での占いを断ったんじゃから、そちらを慮るくらいはすべきじゃろ」

 

「……姉ちゃんが意見を曲げるとは、やはりお前さん只者ではないのぅ」

 

「そんな相手にセクハラかました貴様もどっこいどっこいだと思うがな」

 

「!?こんの大馬鹿者が!!

 スケベも大概にせんかぁっ!!!」

 

 

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