『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第28話 ピラフ 再戦

 

「……あれか」

 

目的地付近の上空に転移したヒノカミは、眼下の人気のない道を走る一台の車を見つける。

右手を伸ばし、狙いを定め。そして広げていた掌を握った。

 

ボンッ!

 

「「「ぎゃーーーーーーっ!?」」」

 

直後車のエンジンが爆発した。

ピラフたち3人横転した車の外に投げ出され、野原の上をゴロゴロと転がった。

全員目立った傷はなく無事のようだ。

……ここで意識でも失っておけばよかっただろうに。

 

「あの夜生き残ったことと言い、悪運だけは強いようじゃな」

 

「なっ、なんだ貴様は!?

 今のは貴様の仕業か!?」

 

「ピラフさま、コイツはあの小僧と一緒に行動してたヤツですよ!!」

 

「なんだとっ!?」

 

「……むぅ?」

 

彼らのすぐそばに着地したヒノカミは、彼らの反応に少し思案する。

1年前に連中と衝突した際には背後から強襲したので、自分の姿を見せたことは無かったはずだが。

 

このピラフという男。

見た目も人格も如何にもな小物だが、その頭脳だけは『大王』の名に恥じぬ人物である。

ドラゴンボールがレーダーに映らなくなる箱を発明し。

地上の光景をリアルタイムで観察できる衛星を宇宙に飛ばし。

 

「くっ、だったらコイツを捕えて人質にするぞ!

 それでドラゴンボールを手に入れるのだ!!」

 

「「はっ!!」」

 

強力な戦闘用ロボットを自ら設計し作り上げるほどである。

3人がそれぞれカプセルから呼び出した有人ロボットに乗り込んだ。

 

「がはははっ!どうだっ!

 あの小僧の仲間なら多少は腕は立つのだろうが、このピラフマシンはとんでもないパワーなのだぞ!」

 

ドラゴンボールを奪い取られてからの一件で悟空を監視し、その戦闘力を解析して作り上げたマシンだ。

確かに彼らの前で力を示したのは、最初に卵型ロボットが襲い掛かって来たのを撃退した悟空だけだった。

だから連中は仮想敵として悟空を想定していたのだろう。

 

「……ふ~~ん」

 

「なっ、なんだその反応は!?」

 

レッドリボン軍が最後に出して来たロボットに匹敵する戦闘力と見た。

組織ではなく、個人でこれほどの物を作り上げるとは驚愕に値する。

たしかにヤムチャやクリリンなら多少苦戦するかもしれない。

 

だがヒノカミはどこまでも淡泊で冷静だ。

それも当然だろう。連中は前提から間違っている。

 

 

「……貴様らが警戒しとる悟空より、『今はまだ』儂の方が強いんじゃが?」

 

「「「へ?」」」

 

気付けば目の前にヒノカミの姿はなく、声が聞こえたのはピラフたちの背後から。

ピラフたちが慌ててロボットを振り返らせよう操縦桿を操るが。

 

「どわっ!な、なんだぁ!?」

 

「ピラフさまっ!」

 

「こっちもですぅ!!」

 

3体のロボットの手足が溶断されており、胴体が地面に落下した。

手足が無いと球状になってしまうピラフのロボットがゴロゴロと転がりヒノカミの背中が見えた。

彼女の右手には光り輝く炎の剣が握られている。

 

「ま、まさか……今の一瞬で……!?」

 

「ここで仕留めてしまおうかと考えたが……どうやら悟空が悟飯と再会できたのは、貴様らのおかげらしいからな」

 

そのまま先ほど爆破したピラフたちの車の残骸を漁り、ボールがしまわれていたケースを発掘した。

どうやらこれがボールがレーダーに映らなくなった原因と理解したヒノカミは、剣を納め左腕の帯を膨らませていく。

 

「あ……あぁ……!?」

 

「ブルマにも言われたからな。

 ……ぶん殴るだけで勘弁してやろう……!」

 

膨張した帯を編み上げて作った巨大な左腕『帛手割砕(はくしゅかっさい)』を頭上に掲げる。

逆光で作られた巨大な影がピラフたちを覆い隠した。

拳が正面を向き、思いっきり引き絞られる。

ピラフたちは逃げ出すことも出来ずロボットのコクピットの中でガタガタと震えている。

 

 

 

「……歯ぁ、食いしばれ」

 

「「「ひぃぃぃっ!?」」」

 

 

「DETROIT SMASH!!」

 

「「「ぎえええぇぇーーーーーーーーーーー…………」」」

 

胴体だけのロボットに閉じ込められたまま殴り飛ばされ、3人は真昼の空の星になった。

 

「……まったく。

 その頭脳をもっとマシなことに使えぬものかの。

 ブルマの爪の垢を煎じて飲ませたいわい」

 

出来ればジョッキで。3人分。

『乙女にそんなに爪の垢があるか!』という幻聴が聞こえた気がした。

大丈夫、きっと気のせいだ。

 

「さて、悟空のもとへ……」

 

ボールと、ついでにこのケースも持ち帰ることにした。

ブルマ辺りが喜びそうだ。

占いババの屋敷周辺に転移しようとして気配を探り、まだ悟空の傍に悟飯がいることを確認する。

 

「……のんびり行くか」

 

父の蘇生を待つウパという少年には悪いが。

ヒノカミにとっても悟飯との再会は久しぶりなのだが、彼女も本体の方なら占いババと同様にあの世とこの世を自在に行き来できる。

彼には自分が地球の神だとバレたので、一度天国に会いに行ってもいいだろう。

 

転移ではなく宙を跳ねる。

およそ200キロの空の散歩だった。

 




ピラフ一味ってペンギン村の住人なんじゃないかと思ってます。
完全無敵のギャグキャラで、何やっても死なないタイプ。
多分ヒノカミでも殺せない。なんやかんやで生き残るかと。
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