『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第30話 第22回天下一武道会

 

この3年ほどでブルマは世界各地に別荘を建設し、極秘裏に転移装置を設置していた。

これらの費用はブルマのポケットマネーに加え、全員が海賊の財宝の資金をちょっとずつ出し合っている。

なので関係者全員の共有財産となっており、当然悟空にも使用する権利がある。

彼のためにと大量の食料を備蓄してあるので旅先で悟空が立ち寄ることもあり、時間があえばみんなで集まり馬鹿騒ぎもした。

天下一武道会の開かれる都市にも一つあり、ここも十人くらいは余裕で過ごせる大きさだ。

全員で大会前日にそこに転移して一泊、そして余裕を持って会場に徒歩で到着した。

 

「でも悟空は来なかったなぁ」

 

「ちゃんと前日の内にって伝えたんでしょ?」

 

「1か月ほど前、最後に会った時にな。

 ……まぁ気配は近くに感じるから遅刻はせずに済みそうじゃが……」

 

すでにヤムチャとクリリンと、こっそり亀仙人ことジャッキー・チュンも受付にて参加登録済み。

 

「……ん?これは……」

 

「どうしたんです?」

 

「悟空の他にも、悟空並みのでかい気配がこの場におるな。

 小さいがそれに匹敵するものも二つ……ちと濁っておるが」

 

「えぇっ!?」

 

「悟空並みだと!?」

 

この3年間、悟空と顔を合わせる度に成長に驚かされヤムチャたちは奮起していたが、残念ながら追いつけたとは思えない。

もちろん勝負は時の運でもあるし、彼らもすんなりと負けるつもりはないが。

だからこそその悟空と同格の参加者がいるとなると気が気ではない。

 

「どこにおる?」

 

「あっちじゃ。悟空が来るにも少し時間があるし、敵情視察と行こうか」

 

ヒノカミの先導に従い移動する一行。

 

「あの三つ目の男じゃな。隣の老人と子供が残る二つじゃ」

 

彼女が指さした先にいたのは。

 

「げっ」

 

「誰かと思えば亀仙人ではないか」

 

嫌そうな亀仙人の声に反応したのは、鶴を模した帽子を付けた老人だった。

彼と隣の二人の着る中華風の道着の胸には『鶴』の文字。

 

「なんじゃ鶴仙人か。お主まだ生きておったのか」

 

「ヒッヒッヒ、相変わらず口も顔も悪いのぅ」

 

「……誰?知ってる?」

 

「なるほど鶴仙人か。亀仙人のかつての同門らしい。

 彼もまた名のある武闘家じゃが……亀仙人とはすこぶる仲が悪いとか」

 

鶴仙人はどうやら前回大会で亀仙人の弟子が活躍したと聞き、自分の方が優れていると証明するために弟子を参戦させることにしたとのこと。

 

「優勝はワシの弟子がいただきじゃよ。

 恥をかかんうちに帰った方がいいんじゃないか?」

 

「はっはっは!それはギャグのつもりかな?

 相変わらずセンスのないやつじゃ!」

 

 

「なにを!この『つるっぱげ』!!」

 

「黙れこの『中途半端はげ』!!」

 

 

「……『不毛』な争いじゃの」

 

「「なにおぅ!?」」

 

「「「ぷぷーーーーーっ!!?」」」

 

ヒノカミの呟きにブルマたちだけでなく、鶴仙人側の三つ目の男も吹き出してしまっていた。

白い肌の小さな少年は言葉の意味がよくわかっていないらしいが。

 

「武闘家なら口ではなく拳で語らぬか。

 というか貴様らのつまらん仲たがいに弟子を巻き込むな。

 白黒つけたいなら貴様ら自身がその名を懸けて参加し競わんかい」

 

「ふ、ふんっ!ゆくぞっ!

 アホの相手はしておれんわい!」

 

嫌味な男だが、そこは流石の鶴仙人。

見た目は小柄な女に過ぎないヒノカミがただものではないと雰囲気で察したようだ。

旗色が悪いと会話を打ち切り、二人の弟子を連れてその場を離れていく。

 

「……イヤなクソジジイだな」

 

「しかし弟子の方の強さは本物じゃ。

 侮るなよ、勝ちたいならな」

 

「もちろんですよ!そのために修行してきたんですから!!」

 

亀仙人の下でだけではない。

彼らは悟空に負けていられないとカリン塔にも挑戦した。

亀仙人とヒノカミもそれに付き添っている。

ジャッキーとして参戦する亀仙人も修行のやり直しだと揃ってカリンに手ほどきを受けた。

……カリンとしては無言でジト目を向けてくるヒノカミに、気が気ではなかったのだが。

 

「……っと、どうやら悟空が来たぞ」

 

「あっ、ホントだ!悟空ーーーーっ!!」

 

「おーーーい!みんなーーーー!!」

 

約束通り今日まで一度も筋斗雲を使うこともなく、悟空は走ってやってきた。

受付を済ませ、揃って予選に参加。

幸い予選ではみんな別々のブロックに配置された。

ジャッキーも、鶴仙人の弟子たちもだ。

 

「手刀が4発、蹴りが2発か……」

 

「あれくらいなら大した事はないですが……もっと底があるのかもしれませんね」

 

(……ほぅ、それくらいはわかるか。

 ただの雑魚ではないらしいな)

 

鶴仙人の弟子の三つ目の青年『天津飯』の試合を見たヤムチャたちはヒノカミが言うならばと警戒し、彼らの呟きを聞いた天津飯もまた亀仙人の弟子たちへの評価を一段上げた。

 

「へへっ!強いやつばっかでワクワクすんなぁ!

 オラも負けてられねぇ!」

 

自身の優勝を阻む強敵の出現に、悟空はどこまでも嬉しそうに笑う。

彼の目的は優勝すること以上に強い相手と戦うことだから仕方ないのかもしれない。

その点、今回の天下一武道会はとんでもない強者が勢ぞろいしており実に彼好みの状況。

 

ヤムチャ、クリリン、ジャッキー・チュン。

鶴仙人の弟子である天津飯とチャオズ。

そして極めつけが。

 

「……あ!」

 

「お、おい!どこ行くんだよ悟空!?」

 

突如会場隅の舞台に駆け寄る悟空をクリリンたちとジャッキーが追いかけ、天津飯もそれを目で追う。

 

「それでは次の試合を開始します。

 選手は舞台の上へ」

 

審判に促され姿を現したのは。

 

 

 

「がんばれーー!ばあちゃーーーん!」

 

「「「いぃぃぃぃーーーーーっ!!?」」」

 

赤い着物を纏い鬼の仮面をつけた、小柄な女だった。

 




というわけで2回目の天下一武道会、ヒノカミ参戦となります。

ちなみにヤムチャたちはヒノカミに何度か鍛えてもらっており、すでにカリン塔にも上っているので原作より少し強いです。
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