『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ヒノカミの試合以外は飛ばしていきます。
以前書いた通りヤムチャとクリリンは既にカリン塔に登っています。


第32話

 

『それでは第1試合を始めます!

 ヤムチャ選手対天津飯選手です!どうぞーーーー!』

 

二人が奥から姿を現す。

天津飯はまだ表情に侮りがあるが、ヤムチャの方は一切の油断なく引き締まっている。

 

『ヤムチャ選手は前回大会でも本戦に参加した実力者であり、今回は亀仙人こと武天老師さまより教えを受けて帰ってまいりました!

 ちなみに今大会の8名の内3名は亀仙人のお弟子さんとなります!

 そして天津飯選手は亀仙人と双璧をなす鶴仙人のお弟子さんであり、こちらも2名の選手が参加されています!』

 

「すげぇな……ほとんどが亀仙人と鶴仙人の弟子かよ」

 

観客の一人の呟きに、それが聞こえた周囲が内心で同意する。

彼らは今大会の優勝は彼ら5名のいずれかだと考えただろう。

その可能性が高いのだが、残念ながら今回はダークホースがいる。

参加者ですら予想していなかったとんでもないのが。

 

『では第1試合、始めてくださいっ!』

 

「……はっ!!」

 

試合はヤムチャの飛び蹴りから始まった。

 

第一試合ではあったが、はっきり言って前回決勝よりも凄まじい攻防であった。

ヤムチャはやはりヒノカミの言う通り強敵だったと痛感し、天津飯もまた相手が自分に匹敵する強者と認めざるを得なかった。

そして亀仙人の弟子で最も弱いのは、この男だと言う。

体術はほぼ互角、しかし勝負を焦ったヤムチャが未熟な『かめはめ波』に頼ってしまった隙を突かれ惜敗した。

 

「いつつ……負けちまったぜ」

 

「ヤムチャさん、はい」

 

「悪いな……よし!」

 

「!?」

 

控室にて謎の豆を食べた瞬間にヤムチャの怪我が消え去った。

仙豆のことを知らない天津飯は驚きを隠せていない。

 

「……おい!」

 

「っ!?これは……」

 

「お前に勝ち進んでもらった方が負けたオレの顔も立つってもんだからな。

 頑張れよ」

 

「……」

 

投げ渡された謎の豆を、天津飯は疑いを抱きつつも頬張った。

すると今の戦いで受けた疲労が消えた。

何かを言おうとしたが、すでにヤムチャは背を向け歩き去っていく。

 

(武闘家……あれが、武闘家か……)

 

次の第2試合、ジャッキー・チュンという男もまた見事であった。

明らかに格が劣るパンプットに対し、まるで指導するような見事な試合運び。

最終的に敗北した彼も、どこかすっきりとした表情で結果を受け入れていた。

気持ちのいい試合だった。

 

(……オレは、何をしている……?)

 

あの高潔な男たちに、自分はどれほどの暴言を吐いてきた?

実力ならば自分の方が上だと思う。

しかし残念ながら心で負けている。

それを認めざるを得なかった。

 

 

ちなみにヤムチャもクリリンも天津飯の暴言など全く気にしていない。

言葉なんかじゃ鍛え上げられた彼らのハートには響かない。

何しろ『あの人(ヒノカミ)』は物理的に『心臓(ハート)』を揺さぶってくるので。

彼女相手の組手では、生死の境をさまよい始めてからが本番なのだ。

『けがを治す』という行為があそこまで相手に絶望を与えることがあるのだと、彼らは初めて知った。

 

そしてジャッキーこと亀仙人。

彼もまた予選でのヒノカミの振る舞いに触発され、正体を隠しているとはいえ武術を教える立場として自分もそれっぽく振る舞わなければと思っただけだ。

前回大会にて『ぎゃるのパンティ』で敗北しかけた姿を見ていればこのような感想には至らなかっただろう。

そんな手を使ったクリリンについても同様である。

亀仙人の弟子の活躍が面白くないと自分の弟子を参加させた鶴仙人だが、せめて前回大会の試合映像くらいは見せておくべきだった。

 

 

第3試合の途中に亀仙人の弟子である悟空が鶴仙人の弟の『桃白白』を倒したと聞き一度は敵意をあらわにしたが、彼は金のために多くの人間を手に掛けた殺し屋。

戦いで命の取り合いをしていたのだ。負ければ殺されるのは当たり前。

そして天津飯も彼のような殺し屋になることを目指してきたが。

 

(……どこかで負けて殺されて、兄や弟弟子にすら気づかれないような結末が、オレの望みなのか……?)

 

悟空から桃白白の最期が『命乞いしてきたので困惑していたら爆弾を投げつけてきたので、跳ね返したら爆発に巻き込まれた』だと聞いていたら、さらに大きく揺らいでいたことだろう。

チャオズもまたクリリンに敗れたが、しかし気絶させられただけで命に別状はない。

もちろん試合だからそれが当然なのだが、先程から念話で『亀仙人の弟子を殺せ』と叫び続ける師匠と比べてしまう。

試合後にチャオズの分まで不思議な豆を貰ってしまったからなおさらだ。

 

天津飯は迷いを抱えたまま、進む試合を観戦する。

 

『それでは第4試合、ヒノカミ選手対孫悟空選手です!どうぞーーーー!』

 

舞台に出てくるのは、小柄な女と幼い子供。

二人の素性を知らぬ者は『なんと場違いな』と声を上げる。

 

『孫選手は亀仙人の弟子であり、前回大会にて準優勝しております!

 そして対するヒノカミ選手、彼女はなんと孫選手の育ての親であるとのこと!

 つまりこの試合はある意味親子対決!

 親が威厳を見せることができるのか!?

 それともついに子が親を超える時がきたのか!?

 結末に期待が高まります!!』

 

「なんだと?そうなのか?」

 

「あぁ。育ての親はもう一人いたんだが、そっちは亡くなってるんだ」

 

「……ヤムチャさん、ヒノカミさんはどこまで使ってくるんでしょうか……?」

 

「わからん……流石に炎の剣と鬼の鎧までは出してこないとは思うが……」

 

「剣?鎧?」

 

「「……」」

 

ヤムチャとクリリンは、揃って恨みがましい目をチャオズに向ける。

彼があそこまで露骨に超能力を使って戦わなければこんな心配しなくて済んだのにと。

当のチャオズは何もわかっていないようだが。

ちなみに敵対関係は続いているが、天津飯たちはすっかりヤムチャたちになじんでいた。

『こちらが何を言ってもとぼけた反応しかしないので喧嘩腰でいるのも馬鹿らしくなった』というのが本人の言い訳だ。

 

 

「胸を貸してやる。……殺す気で来い」

 

「うん!試合用じゃねぇ……戦闘用の本気でやる!!」

 

 

『それでは第4試合、はじめーーーっ!!』

 




二人が原作より善戦したくらいで物語に大差はないです。
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