『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ここから原作と乖離させていきます。
かなり無理のある展開と結末になりますが、ご了承ください。


第35話 ピッコロ大魔王

 

『ピッコロ大魔王』

 

およそ300年前、この世界を恐怖のどん底に叩き落とした残酷非道な魔族。

多くの配下を生み出し、人々を襲い、平和な世界を死の世界へと変えようとした。

 

そして人々の救いを求める声に応え、ヒノカミはこの世界にやって来た。

何故かは知らないがこの世界はとんでもない強度を誇り、本体の神霊で直接降臨することができた。

 

大魔王の名に恥じぬ強力な力を持つピッコロは、人間の範疇に力を抑えている端末では勝てないかもしれないほどの強敵だった。

しかし世界一つを支え、世界一つを作り上げた創造神たるヒノカミ本体の敵ではなかった。

 

ヒノカミは人々を救い癒し、魔族のことごとくを駆逐し、大魔王をあと一歩まで追い詰めた。

しかしそこで奴を殺してはならない理由を知った。

彼女はやむなく、当時この世界にて大魔王に抗っていた武闘家『武泰斗』の編み出した封印術『魔封波』に決着を託した。

 

術は成功し、大魔王は封印された。

ヒノカミは術の反動で命を落とした武泰斗を含めた犠牲者たちを蘇生し、荒廃した世界を能力で復元し、そして神に認められ天界へと導かれた。

魔封波によって封じらた大魔王は武泰斗とその弟子たちにより深海へと沈められた。

 

『大魔王と天女の戦い』は、今や知る者も限られたおとぎ話だ。

 

 

 

 

「……なんだ貴様は?」

 

「それが……今更蘇るとはな」

 

見慣れた顔、しかし明らかに別人と分かる醜悪な表情。

緑の肌をした老人を、鬼のヒノカミが睨みつける。

 

「なっ、なんだお前は!?」

 

大魔王の傍には3人の人間。

小柄な男と、犬の獣人と、人間の女。

 

「……ピラフ」

 

頭脳だけは優秀な小悪党。

鬼の鎧を纏っているからヒノカミだとは気付いていないようだ。

コイツらが大魔王の所在を突き止め、封印を解いた。

どうせろくでもない理由であろう。

……もっと早くに始末しておくべきだった。

 

 

ボンッ!!

 

 

「「「ぎぇぇえーーーッ!?」」」

 

殺意を込めて睨みつけ連中のいた場所を爆破した。

揃って吹き飛ばされていったが、生きているかを確認する時間もこれ以上余計な力を割くのも惜しい。

今は邪魔が無くなれば良いと視線を正面に戻した。

 

「ほう、妙な力を持っているな」

 

「貴様ほどではないさ、ピッコロ大魔王」

 

「かなりの年月が経っているはずだが、わしを知っておるとは感心だ。

 褒美として……大魔王復活を祝う最初の生贄としてやろう」

 

「……」

 

ピッコロも神霊のヒノカミの姿と力は覚えているだろうが、遥かに弱い端末では気付かないのは無理もない。

正直に言って神霊の方でなら雑魚でしかなかったので、当時は鬼相纏鎧を使うまでもなかった。

 

鬼の足元が凍り付き始め、白い帯が巨大な左腕を作り、右手に炎の剣を構える。

 

 

「ずあっ!」

 

「ふん!」

 

伸ばした帛手割砕は弾かれるが、その隙に接近し刃を振り下ろす。

 

「むっ?」

 

「ちぃっ!」

 

直前でこの剣の切断力に気付いたようだ。

受け止めようとせず躱す動きに変えその場を飛び退いた。

 

「はっ!」

 

追撃しようとしたがピッコロは口から怪光線を放ち、脚を止められ距離を取られる。

 

「くっ……『月牙天衝』!!」

 

「!?」

 

炎の剣から飛ばした縦方向の巨大な斬撃がピッコロへと迫り、その特性を理解しているピッコロは側面への回避を選んだ。

 

「『牙霊天晴(がりょうてんせい)』!」

 

「なんだとっ!?」

 

そして回避すると予測していた座標に、遠隔で斬撃を発生させる。

 

(……浅くしすぎた!)

 

「貴様ぁ……この大魔王の腕をよくも……!」

 

「はっ!どうせすぐ生やせるじゃろうが、このトカゲもどきが!!」

 

「おのれぃ!!」

 

ピッコロは肘から先が無くなった右腕を断面から再生させる。

距離を取るのは下策と察したピッコロは鬼に接近し猛攻を加え続けた。

遠距離攻撃はヒノカミも消耗が大きいので、狙い通りではある。

だがパワーとディフェンスはこちらの方が上でもスピードが足りない。

瞬歩と転移があるので大抵の相手はそれで充分だが、こうも接近されると仕切り直しに距離を取るくらいにしか使えない。

 

(くそっ……くそ、くそ!!)

 

そもそも殺すつもりなら先ほどの技で首を落とせていた。

しかしピッコロの正体を知っている彼女はそれができない。

そしてこの端末では手加減して勝ちを拾える相手ではない。

 

「『赫灼熱拳・燐』!『大氷海嘯』!」

 

「ぬっ、かぁあっ!!」

 

一気に熱を奪って周辺一帯ごと氷漬けにしようとしたが、全身に気を纏って防御されてしまった。

今の熱吸収で消耗したエネルギーを少しは補給できたが、すべてが凍り付いた状況ではこれ以上周囲からエネルギーの補給はできない。

そしてこの寒さでもピッコロの動きが鈍っている様子はない。

 

(トカゲなら冬眠でもせんか!

 他に、殺さず動きを止める方法は……)

 

氷輪丸と袖白雪……大氷海嘯が通じないならおそらくこちらでも無理。

侘助……刀の方がへし折られそうだ。一部を重くできたとしてもその部位を引きちぎって再生するだろう。

シルバースキン・リバース……単純に強度が足りない。

魔封環……ピッコロを封じるには端末のエネルギーが足りない。

魔封波……本命だが成功率が低い上に消耗が激しく二度は使えない。確実に成功させるなら著しく弱らせてからでなければ。

 

(ないか……本体なら、こんな奴……!)

 

300年前はただの来訪者だった。

しかし今はこの地球の神という立場と責務がある。

本当にこの世界が窮地に陥らない限り下界で力は使えない。

そして本当に大魔王によりこの世界が窮地に陥ったときは。

 

(先代様が、きっとご自身を……!)

 

「あぁもうっ!!」

 

「!?待てぃ!!」

 

飛翔して距離を取ろうとする。

遠距離戦はさせまいとピッコロが追いかけてくるが、狙いは時間稼ぎだ。

ヒノカミは帯を腕ではなく筒の形にして、付け根に石剣を突き刺し炎を流し込む。

背を向けて逃げ出すと見せかけて、逆にピッコロの背後に転移した。

 

「むっ!?」

 

「『天射矛砲(てんいむほう)』……!」

 

ピッコロに向けられた巨大な筒……砲身の先端から、天を貫く熱線が奔る。

 




実は武泰斗さんも蘇生され生存してました。
ただすでにかなり高齢だったようなので、間もなく老衰で無くなったとしています。
少なくとも亀仙人と鶴仙人が不老になった年齢までは生き残っていないはず。

……というか鶴仙人はまだわかるんですが、桃白白が291歳ってのは違和感ありますよね。
おそらく3人とも同じ時期に不老になったんだと思うんですが。
でなきゃ鶴仙人たちの親がいつまで長生きしたんだって話になりますし。

何より悟空抹殺を請け負った当時、桃白白は『殺し屋さん20周年記念キャンペーン中』……その前はサラリーマンだったとか。
270歳くらいの桃白白に一体何があったんだ。
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