しかし天津飯との戦いは原作でも悟空の方が強かったにもかかわらず、その上でのルールと運で敗北したので同様の結末を迎えたとしています。
『では3年後にまたお会いしましょう!
さようならーーーーっ!』
「……ほんとに賞金の半分、いらないのか?
オレが勝てたのは運だ……実力では負けていた……」
「負けは負けさ。いらねぇって。
それにオラ、結構金持ちらしいし」
「そうそう、こう見えてボクたち億万長者なんですから!」
「そ、そうなのか……?」
「それに実力で言うなら……優勝してたのはばあちゃんだっただろうしさ」
「……そうだな」
「でも突然どうしたのかしらね?」
「わからんが、よほどの理由があったのじゃろう。
悟空との約束を簡単に投げ出すような奴ではないからな」
第22回天下一武道会の優勝は、天津飯に決まった。
しかしそれは彼の言う通り悟空の運が悪かったから。実力は確実に悟空の方が上だった。
鶴仙人の弟子として亀仙人とその弟子たちを敵視していた天津飯だったが、ヤムチャやクリリンの人柄に絆され、何より準決勝で対戦したジャッキーこと亀仙人に諭され、鶴仙人とたもとを分かち武闘家として生きていくことを決めた。
チャオズも敬愛する天津飯に倣うことを選び、逆上してチャオズを殺そうとした鶴仙人は亀仙人のかめはめ波でどこかへ飛ばされていった。
「あっ、いけねぇ。
じいちゃんのドラゴンボールと如意棒!」
「お前くたくただろ?オレが取ってきてやるよ」
悟空が選手控室に置きっぱなしだった荷物を、代わりにクリリンが取りに行くという。
怪我と疲労は仙豆により既に取り除かれているが、精神的な疲労はあるので任せた。
「ぎゃあ~~~~~っ!!」
「「「!?」」」
そして響いてきたクリリンの悲鳴に驚き、全員が一斉に控室へと走る。
「どうしたんだクリリン!?」
「あ、あわ、あわわ。死体、死体が……!」
「何事ですかっ!?」
叫び声が聞こえてまだ会場に残っていたアナウンサーも駆けつけて来た。
震えながらクリリンが指さす先、控室の隅の暗がりには、壁に背を預け床に座り俯く血まみれの人影があった。
足元には血だまりが広がっている。どう見ても致死量だ。
「……まだ生きとるぞぉー……」
「「「ひぃぃぃっ!?」」」
クリリンたちは死体が動いたことに怯えるが、誰よりもその声に聞き覚えがある悟空は慌てて駆け寄る。
「ばあちゃん!?」
「「「!?」」」
「おぉー……すまんなぁ、突然出て行って……」
「ヒノカミ!?」
「病院!いや、仙豆!仙豆を早く!!」
「儂のコレは、病院でも仙豆でも直らぬ。
じゃが死にもせんから、安心せい」
「安心って……!」
「なんでその怪我で、生きてんのよ……!?」
右腕が引きちぎれている。
左目付近がごっそりと抉れている。
そして何より、腹に大穴が開いている。
生きているはずがない。人間ならば。
……これで人間ではないということを知られてしまったが、仕方あるまい。
できれば隠しておきたかったが、端末の核である『霊界の至宝』が損傷してしまった。
天界でオーバーホールしないとどうしようもないが、今はその時間の余裕がない。
「直す方法に、宛はある。
じゃがその前に、話を聞いてもらえぬか?
……お主らに、頼みがある」
「何があった……お主ほどの戦士が……!」
「……ピッコロ大魔王が復活した」
「なんじゃとっ!?」
「「「ピ……ピッコロ大魔王……!?」」」
ヒノカミの予想通り、長寿な亀仙人以外は知らなかったようだ。
それどころか彼は当事者であり、若い頃に鶴仙人や師匠と共に戦ったこともあるらしい。
だがまるで太刀打ちできなかった。
「しかし突如この世界に降臨された天女さまが魔族たちを一蹴し人々をお救い下さった。
そして儂の師匠である武泰斗さまが『魔封波』という技で大魔王を封印し、世界に平和が訪れたのじゃ」
「はぁっ!?武た……げぶっ!?」
「ばあちゃん!!」
「しっかりしてください!落ち着いて!」
「す、すまん……」
聞き捨てならない単語に思わず反応し盛大に吐血したヒノカミ。
悟空たちに心配させてしまったことを謝りながら、頭の中で慌てていた。
(……コイツ、『スケベブラザーズ』の片割れかぁ!!)
武泰斗とは直接話をしたこともあるし、その傍にいた二人の弟子のことも覚えている。
印象に残ってはいるが会ったのはたったの数度で名前も知らないので、勝手にあだ名をつけていた。
神霊の方のヒノカミはスタイル抜群の美女。
服装も露出が多く、膨らんだ胸が強調されている。
コソコソと胸をチラ見していた方が『ムッツリスケベ』。
目を皿にして鼻血垂らしていた方が『ガッツリスケベ』。
言うまでもないが、亀仙人は後者である。前者は鶴仙人。
「大魔王を封じ込めた電子ジャーは儂らで海の底深くに沈めたはず……」
「まさか、鶴仙人さまが……」
「ピラフじゃよ」
「「「!?」」」
亀仙人の話が進んでいたのでヒノカミが割り込む。
「ピラフって……確か……!」
「またアイツらかっ!!」
「真っ先にぶっ飛ばしておいたが……大魔王との戦いの前だったのでな。
生死の確認まではできておらぬ」
「なるほど、お主は大魔王の気配を察知して試合を飛び出したわけじゃな」
「結果は、この有様じゃがの」
「そ、そんな……本気のヒノカミさんが負けちゃうような相手だなんて……!?」
ヒノカミの全力を見たことがあるクリリンたちはようやくその脅威を理解し怯えている。
だが誤解を解いておかねばならない。
「……殺そうと思えば、殺せたとは思う」
「「「え!?」」」
「しかしピッコロ大魔王を殺してはならぬ理由がある。
そういう意味では魔封波はうってつけなんじゃが……。
こうして容易に封印が解かれてしまうようでは、またそれに頼るのもな……」
「……どういう意味じゃ。
お主は何を知っておる……?」
「それは……」
彼らの助力を得るなら秘密にするわけにはいかないが、勝手に明かして良い物かとヒノカミは言葉を詰まらせる。
「それはピッコロ大魔王が、私の半身であるからだ」
「「「!?」」」
「馬鹿な……貴様は……!」
いつの間にか部屋の隅に、一人の老人が立っていた。
緑の肌で額に触角を持ち、杖を突いた謎の老人が。
「……ピッコロ大魔王!!」
「「「えぇっ!?」」」
3年早いネタバレとなります。
ついでに捕捉説明。
復活直後にピラフたちがぶっ飛ばされたため、大魔王はドラゴンボールのことを知りません。