『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第40話

 

人知れずピッコロ大魔王が蘇り、そして人知れずその脅威が取り除かれ、早1週間。

 

「カリンさま!もういっかい修行させてくれ!

 オラたち、どうしても強くなりてぇ!!」

 

「「「「お願いします!!」」」」

 

「むぅ……」

 

悟空、ヤムチャ、クリリン、天津飯、チャオズの5人はカリン塔の頂上にいた。

もはや大魔王の脅威はない。

急ぎ強くならねばならない理由もない。

だが彼らは一瞬であろうとも弱いままでいたくなかった。

受け入れがたい敗北を拭い、心と体の弱さを克服したかった。

故に武術の神と呼ばれるカリンのもとへ再び足を運んだのだが。

 

「残念じゃが……これ以上お主らに教えることは無いのじゃ」

 

「え!?」

 

「悟空は既にワシすらも凌ぐ力を手に入れておる。

 ヤムチャとクリリンも時間の問題じゃ。

 初めて来てくれた天津飯らには、悪いと思うておるが……」

 

「そ、そんな……」

 

「そう……ですか……」

 

突き放された悟空らは消沈するが、カリンは続ける。

 

「まぁ待て。強くなる方法が無いとは言っておらぬ。

 ワシよりも遥かに師に相応しい方がおるからの」

 

「ほ、ホントかっ!カリンさまよりすげぇ人って誰だっ!?」

 

「もしや先代さま……いや、待て!まさか……!」

 

「そう……『今の』神さまじゃよ」

 

「「「!?」」」

 

「神さまって……ばあちゃんの!?」

 

「ヒノカミを巫女として下界に遣わしていたという天女……!」

 

「うむ。あの方は彼女を通じてお主らを見ておった。

 そしてもしお主らが強さを求めて再びここにくるようなことがあれば、自分のもとへ通せとワシに言いつけられたのじゃ」

 

本来は来訪者が神に会えるのかを判断するのはカリンの役目。

だがその神自身が認めているのなら逆にカリンは一切口出しできない。

 

「そしてお主らの知るヒノカミも今は神殿におる。

 戦いの傷を直しておるはずじゃ」

 

「!?そっか、ばあちゃんもいんのか!」

 

大魔王と戦う直前に別れて以来、ヒノカミは一度も彼らの前に姿を見せていない。

理由はわかっていても、大丈夫だと聞かされていても、不安をぬぐえずにいた悟空は久しぶりの笑顔を浮かべた。

 

「悟空、如意棒は持っておるな?」

 

「あぁ」

 

「それは本来この塔と、塔の遥か上空に浮かぶ神殿を繋ぐものなのじゃ」

 

カリンの先導に従い、5人は塔の屋根に上る。

先端には小さな穴が開いており、悟空は言われるがままに如意棒を突き刺した。

 

「よし、後は棒を伸ばしていけば勝手に神殿につく」

 

「うん!」

 

「ついに神さま……伝説の天女さまとご対面か……」

 

「き、緊張しますね……」

 

「へっへっへ、心配いらんわい。

 まぁ面食らうじゃろうがの」

 

「「「?」」」

 

何しろ、知っている顔なので。

 

「とにかく、行こうぜ!」

 

早く祖母とも会いたい悟空がみんなを急かす。

5人が如意棒の先端付近を掴む。

 

「よし!伸びろ、如意棒ーーーーっ!!」

 

すさまじい速さで棒が伸び、5人は天へと運ばれていく。

 

「もうかなり登って来たぞ?」

 

「なかなか見えませんね……」

 

「……む!?あれか!?」

 

「でけえ!これが神殿ってとこか!?」

 

目がいい天津飯が真っ先に気付き、やがて彼らの前に巨大な建造物が迫る。

大きなお椀のような形をしており、底にある小さな穴に如意棒の先端が収まった。

 

「くっついた……」

 

「梯子があるな。これを登ればいいのか?」

 

5人で1列となって登っていくと、上は広い平坦な広場のようになっていた。

奥には建物があり、その前でターバンを巻いた黒い肌の男性が待ち構えていた。

 

「お前たち、よく来た」

 

「あ、あなたは……?」

 

「わたし、ミスター・ポポ。神様の付き人。

 神様、お前たちが来るのを待っていた」

 

「そ、そうですか……」

 

「なぁっ!ばあちゃんもここにいんだよな!?会わせてくれよっ!」

 

「おい悟空っ!?」

 

「構わない。だが少し待て」

 

ポポは片手に持っていた筒のようなものを広げる。

それは空飛ぶ絨毯だった。

ポポは彼の目の前に浮かぶそれに飛び乗る。

 

「へ?えっと……」

 

「すぐ戻る」

 

「っ!?消えた!?」

 

乗っていた絨毯ごと一瞬で姿が消えた。

 

「……ど、どうする?」

 

「しばらく待っていよう……オレたちは、お願いをしに来た立場だしな」

 

置き去りにされた悟空たちが待つこと1時間足らず。

 

「うわっ!?」

 

「ついたぞ、降りろ」

 

ポポだけではなく、この場にいないはずの者の声が聞こえ一斉に振り返る。

 

「ブルマ!?ウーロン、プーアル!?」

 

「武天老師さままで!?」

 

ポポの絨毯の上には彼らの良く知る者たちが乗っていた。

ランチにウミガメまでいる。

 

「お前たち、これは一体……」

 

「ねぇ、ここどこよ!?」

 

「ここは神様の神殿。

 孫悟空たちが神殿に辿り着くことがあれば、お前たち全員を連れてくるよう、神様から言いつけられていた」

 

「えぇっ!?」

 

「な、なんでオレたちまで!?」

 

ポポは絨毯を仕舞い、彼らを無視して奥の建物の方へと歩いていく。

そして入り口の前で立ち止まった。

 

「神様、全員揃った」

 

『ご苦労』

 

「「「「「!!?」」」」」

 

その場にいた者たちの頭に声が響いた。

女の声……どこか聞き覚えがあるような。

 

「い、今の声って……」

 

「天女……神様の!?」

 

「お前たち、ここで止まれ」

 

ポポに制止させられ、全員がその場で止まり整列、姿勢を正す。

足音が聞こえる。音が大きくなっていく。

暗い建物の入り口の奥に一つの炎が浮かび近づいてくる。

そしてついにこの神殿の主が、その姿を現した。

 

 

「……へ?え?あれ!?」

 

「な、なんで……?」

 

 

赤い布を纏い、長い黒髪を一つに束ねた美女。

右肩に烏を乗せ、左腕に白蛇を巻きつけ、背中に炎の輪を背負っている。

だが彼らにはそんなものは目に入っていない。

全員の視線はただ一点、天女の顔に注がれている。

 

 

「……よく来てくれたな、お前たち」

 

「ば、ばあちゃん!?」

 

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