『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第41話 地球の神

 

「ヒノカミと……同じ、顔?声も……!」

 

「どういうことよ、亀仙人さん!?

 アンタ直接見たことあるんでしょ!?」

 

「そ、そういえば……こんなお顔をされていたような……!?」

 

慌てふためく一行を前に天女は実に様になる動きで右手を口元に持っていき、クスクスと笑う。

 

「当然であろう。儂もまた『ヒノカミ』であるのだからな」

 

「え!?それってもしかして、大魔王と先代さまみたいな……」

 

「少し、違う。

 お前たちと接していた『ヒノカミ』は儂の『端末』。

 神霊であり本体である儂が、ここ天界より遠隔で操作していた『人間としての肉体』なのじゃ」

 

「「「えぇっ!?」」」

 

「えっと、つまり……でっかいばあちゃんが、本当のばあちゃん?

 ややこしいな……」

 

「くくく、そうじゃろうな。

 じゃが見た目は違えど中身は同じ。儂の心は常にお前たちと共にいた。

 ……こうしてこの身で直接触れられること、嬉しく思うぞ」

 

「……へへっ」

 

近付いてきた天女に優しく頭を撫でられ、悟空は思わず表情がほころぶ。

 

 

「つまり、ボクたちは、ずっと、神さまと……!?」

 

「お、オレたちは神さま相手に暴言や暴力を……」

 

「なんで言わなかっ……い、いえ、教えてくださらなかったんですか?」

 

思わず端末のヒノカミと接する時と同じ調子で怒鳴りつけようとした寸前で、視線を向けられたブルマは委縮し言葉を正す。

武術など学んでいない彼女でも感じる。目の前にいるのは神を名乗るに相応しい超越者だ。纏っているオーラが違う。

不興を買えばただの人間でしかないブルマなど一瞬で消滅させられるだろう。怯えるのも当然のこと。

 

「神の規則、というのも理由の一つ。

 よほどの事態が起きぬ限りは下界に降りることすら許されぬ身よ。

 神の存在をほのめかすなどできるはずがない。

 ……口にしたところで、信じるはずもなかったろうがな」

 

「う”っ……」

 

「じゃが皆に秘密にしていた一番の理由は……」

 

「り、理由は……!?」

 

全員が息を呑み、天女の言葉を待つ。

一度閉じた目を力強く開き、彼女は声を張り上げた。

 

 

 

 

 

「『その方が……カッコイイから』!!!!」

 

 

 

 

 

「アホかぁーーーーーっ!!!」

 

「へぶっ!?」

 

ブルマの渾身のストレートが、女神の顔面に突き刺さった。

 

「うぐぐ……仮にもおなごじゃぞ!?グーはないじゃろグーは!!」

 

「うっさい!どうせこのくらいじゃ怪我なんかしないでしょアンタは!!

 何よその理由!真面目に聞いてた私たちが馬鹿みたいじゃない!」

 

「何を言う!大事じゃぞ、カッコよさは!

 神様なんて威厳出してナンボじゃろ!?」

 

ちなみにその威厳とやらは今しがた木端微塵となった。

 

「ていうか何よその体!?わたしよりスタイルいいじゃない!

 地雷踏まないようにしてた私の気遣い返しなさいよ!」

 

「っ……」

 

「何でいきなり黙んのよ!?

 ……あれ?もしかしてアンタ……盛って」

「わざとじゃない!!!」

 

力の限り叫ぶと同時に、彼女の背中の炎が燃え上がった。

 

ヒノカミの端末は、彼女のかつての肉体をベースに作り出したもの。

即ち端末が元々のヒノカミの姿である。

肉体から解き放たれ神霊となった後、かつての彼女を知る者に新たな姿を見せた時。

みな一様に……生暖かい視線を彼女に向けた。

兄弟や弟子からは『見栄を張りすぎ』とまで言われた。

 

このような姿になったのは意図的にではない。不可抗力だ。

神霊に進化するにあたりベースにした霊体の影響を大きく受けたから。

そしてベースのスタイルが無駄に良すぎたから。

しかしヒノカミが小柄で起伏が少ない体を疎んでいたという事実を知れば、邪推せざるを得ない。

その気になれば体型など自由に作り替えられる能力を、彼女が持っているばっかりに。

 

「そりゃ最初は嬉しかったさ!儂だって女じゃもの!

 じゃが皆の中では相変わらず儂の身体はあっちのチンチクリンなんじゃよ!

 ならばどんだけ別嬪になったところで意味が無いではないか!!

 この『巨乳』は所詮『虚乳』なんじゃよチクショーーーーー!!!」

 

「うまいこと言うわね」

 

いっそ神霊の体も端末と同じチンチクリンにしてしまえば良いのだが、このスタイルを手放すのはあまりに惜しかったのでそれは憚られた。

逆に端末を神霊に合わせたナイスバディに作り替えることも可能だが、それをやると彼女の心が虚無感であふれかえり決壊するだろう。

精神体である彼女にとって、心の死は存在の消滅にすら直結しかねない。

悲しいジレンマである。

 

「……間違いねぇ、コイツヒノカミだわ」

 

『カァー』

『シャー』

 

膝をつき、地面を叩き、烏と蛇に慰められながらさめざめと泣き崩れる天女の後ろ姿を見て、ウーロンが呆れたように呟いた。

そして彼女と付き合いが長い者たちが一斉に深くうなずいた。

 

「……なぁヤムチャ。ヒノカミさまは……こういう感じなのか?」

 

「あぁ、だいたいこんな感じだ」

 

「……これが、神さま?天女さま?」

 

ヒノカミとの付き合いが浅く彼女のことをまだ理解できていない天津飯とチャオズは困惑しており。

 

「わ、ワシの青春の思い出が……」

 

「武天老師さま!?」

 

かつて抱いていた淡い憧れがガラスのように砕け散り、亀仙人もまた崩れ落ちていた。

身に染みたことだろう。

思い出のままにしておいた方がいいこともあるのだと。

 




兄弟:エンデヴァー・一護・麻倉葉・ハオ
弟子:燈矢・爆豪・幽助・桑原

「「「見栄を張りすぎ」」」
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