『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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ヒノカミ「正体は秘密じゃ」
ブラボー「本名は秘密だ」

「「なぜなら……『その方がカッコイイ』から!!」」


第42話

 

「ふぅ……すまんな、見苦しいところを見せた」

 

「「「全くです」」」

 

『カァー……』

『シャー……』

 

ようやく平静を取り戻したヒノカミに、一同は冷めた視線を向ける。

彼女の体に乗る烏と蛇までもがどこか咎めるような鳴き声を上げた。どうやら味方はいないらしい。

 

「んじゃ、改めて話をしようか」

 

ヒノカミが掌を一度叩くと大きな円形のテーブルと椅子が現れ、もう一度叩くとテーブルの上に食べ物が現れる。

真っ先にヒノカミが座り、その隣に座った悟空が料理を頬張り始めたので他の面々も続く。

強大なオーラを放っていても中身がアレと同じだと分かれば、目の前の天女への恐怖も遠慮も消え去っている。

 

「ご存知の通り、神は気軽に下界に干渉することができん。

 なんで儂は『人間の身体』である『端末』を使って、力を抑えて行動していたんじゃ。

 神になっておよそ百年、そうやって時折下界に足を延ばしていた。

 そして十数年前に端末を悟空のもとへ向かわせ、しばらくその身を寄せていた」

 

「なんで悟空の所へ?」

 

「ん~……これはわかる者にしかわからん話になるんじゃが……」

 

ヒノカミは食べ物にがっついて話を聞いていない悟空をちらりと見た後、一言。

 

「『満月』」

 

「「「「納得した」」」」

 

「「「?」」」

 

理解できたのはブルマとヤムチャとウーロンとプーアル。

理解できなかったのは4人以外。

いずれ悟空にも話さねばならないことだが、今はまだ先延ばしにしている。

 

「悟空と暮らしていた頃はずっと下界の端末に意識を割いておったんじゃが、悟空も独り立ちしたんでな。

 以後は溜まっていた神としての仕事を片付けるために大体ここに引っ込んどった」

 

「たまにしか顔を出さないのは、そういうことだったのね。

 そういや神様ってどんな仕事やってんの?」

 

「地球環境の維持とか、時には人々の祈りに応え奇跡を起こしたりとか。

 しかし一番多いのは他の星の神やあの世のお偉方、より上位の神々とのやり取りじゃの。

 地球は宇宙全体でも相当辺境にある惑星らしく、あんまり立場がなぁ……」

 

「中間管理職みたいね……神様も言う程いいもんじゃなさそう。

 ……ていうかいるんだ、宇宙人とか他の星の神様とか……」

 

今のところ地球外生命体を確認できていないことになっているのにと、ブルマは頭を抱える。

『今お主の隣で飯食っとるぞ』とは、流石に言えなかったが。

 

「じゃあお忙しいんですか?」

 

「出張も頻繁にあるんじゃが、全く時間がないわけでもない。

 ひとまず次の天下一武道会まで、片手間で良ければ面倒見てやるわい。

 あぁ安心せい。それでも今とは比べ物にならんほど強くしてやれる。

 何を隠そう、儂は『指導の達人』じゃからな」

 

「……節操ない達人だと思ってたけど、神様だってんなら妙に納得したわ」

 

「かかかか」

 

「……質問、よろしいでしょうか?」

 

未だにヒノカミとの距離感を掴みかねている天津飯が、慎重に手を挙げた。

 

「ピッコロ大魔王の強さと、それを容易く止めた先代さまの強さ、身に染みています。

 失礼ですがヒノカミさまの強さはどれほどなのでしょうか?」

 

先代は『自分よりよほど神に相応しい』と言っていた。

であれば先代より弱いということは無いだろうが、先ほどまでのおふざけを見ると不安になるのも無理はない。本人は大真面目だったのだが。

 

「……例えが難しいのぅ。

 大人と子供?いやそれでもまるで……」

 

「ばあちゃん?」

 

「ん-……」

 

ヒノカミが握った右の拳を前に出し、小指だけを立てて指先に火の玉を生み出す。

 

「……これがお主らとする。んでこっちが大魔王。これが先代さま」

 

そして薬指、中指と順に立て、その先に一回りずつ大きな火球を生み出していく。

 

「……では、ヒノカミさまは?」

 

「ん」

 

火を消して広げていた指を折り畳み、人差し指だけを立てる。

 

「……?」

 

「アレじゃよ」

 

人差し指の先には何もない。

だから指が向いている更に先を見上げていき……。

 

「「「……は?」」」

 

「だから、『太陽(アレ)』じゃ」

 

「「「はぁぁああっ!?」」」

 

「生意気を言うがの、単純な強さだけなら儂は近隣の宇宙で最上位に位置する。

 端末で振るえる力は本当に極わずかでしかない。儂本体の力は桁が5つは違うぞ?」

 

「な、なんと……!」

 

「嘘……じゃ、ないのよね……アンタが言うんだから……」

 

地球が所属する北の銀河を治める『界王』さまのお墨付き。

先ほど挙げた他の星の神やより上位の神々とのやり取りが多いのも、どうしようもない事態が起きた時に助力を求められるからだ。

担当する惑星の外ではその星の神は著しく弱体化してしまうが、それを差し引いてもヒノカミは圧倒的に強すぎる。

あまりに遠い星だと無理だが、近隣の宇宙なら座標さえわかれば転移できるので呼び出しも簡単。

頼りにされるのも無理はない。

 

「ばあちゃん、そんなに強ぇのか!?」

 

「おー、強いぞー。では儂が師となることに不都合はないな?」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

天津飯たち4人が一斉に頭を下げる。

 

「ん、よし。ただし一つ条件をつけさせてもらう。

 実はもう一人面倒を見る予定の者がおっての。

 そっちとうまくやってくれ」

 

「もう一人?」

 

「ポポ、呼んできてくれ」

 

「はい神様」

 

ポポが神殿の奥に引っ込んで暫くすると。

 

「……放せ、この!」

 

「こ、こら!暴れるな!」

 

「この声……子供?」

 

「と、先代さまだよな……?」

 

ポポが先代を連れてきた。

先代の腕の中には、彼を幼くしたような緑の肌の子供がいる。

ウーロンとさして変わらない大きさで、同じ種族であるのは間違いないだろう。

 

「ご無沙汰しております、先代さま。

 その子は……お孫さまでしょうか?」

 

「あ、あぁ、こ奴は、その……」

 

「ピッコロじゃ」

 

「「「……へ?」」」

 

全員の視線が先代からヒノカミに移り、そして先代の抱える子供に移る。

彼は自分を抱えている先代も、彼を見て目を丸くしている悟空たちも無視してひたすらにヒノカミに牙をむいている。

 

「ピッ……コロ……?」

 

「大……魔王……?」

 

「うむ、一から性根を叩きなおしてやることにしてな」

 

「「「…………」」」

 

 

 

 

「「「「「なんでだぁ~~~~~っ!!!!」」」」」

 




強引にピッコロ誕生。
『生まれ変わり』に関してヒノカミの右に出る者はいません。
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