『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第45話

 

個室にて先代から天界での修行の様子などを聞きながら時間を潰すこと暫く。

予選が終わったとアナウンスがあり、亀仙人たちは悟空たちと一度合流しようと外に出る。

 

「……鶴仙人」

 

「くっくっく……3年ぶりだな、亀仙人」

 

そこで前回大会にて亀仙人が吹き飛ばした、鶴仙人と鉢合わせた。

 

「何をしに来た?まさか今更貴様が大会に参加しにきたわけではなかろう」

 

「無論儂ではない。

 我が弟、桃白白が参加しておるのだよ……貴様らへの復讐のために!」

 

「桃白白じゃと!?」

 

鶴仙人の弟であり天津飯とチャオズの兄弟子。

およそ6年前にレッドリボン軍に雇われ、悟空を殺そうとした凄腕の殺し屋。

しかし戦いに敗れ命乞いをした挙句、自分の使った爆弾に巻き込まれるという無様な最期を晒したはずだ。

 

「桃白白はサイボーグとなって蘇ったのだ!

 そして想像を絶する強さを手に入れた!

 貴様の弟子や天津飯らにほんの僅かにでも勝ち目があればいいがな!」

 

「くぅ……」

 

「はーーーーっはっはっは!!」

 

既に随分と昔の話であるが、一度は悟空すらも打ち破った相手。

どれほどかは知らないが強大な力を手に入れて蘇ったとあれば、少なくとももはや自分では敵うまいと亀仙人はたじろぐ。

 

 

 

「なぁなぁ、もう話終わったか?」

 

「!?」

 

「悟空!?」

 

気付けば亀仙人たちの後ろに、試合を終えた悟空たちが集まっていた。

 

「鶴仙人さま……」

 

「ふん、良くも顔を出せたものだな裏切者め」

 

気まずそうな顔で鶴仙人を見つめる天津飯とチャオズ。

鶴仙人は彼らの顔ぶれを見て気付く。

 

「ほう、全員無事か。どうやら予選では桃白白とぶつからなかったようだな。

 むしろ好都合だ!大衆の面前で貴様らを処刑できるのだからな!」

 

「つ、鶴仙人さま……それが……」

 

「もういい天津飯。見せてやった方が早い」

 

悟空や天津飯、ヤムチャなどを押しのけて小柄なヒノカミが前に出る。

彼女の左手の帯は更に後ろに伸びていて。

 

 

ドチャ。

 

 

「……は?」

 

「お届け物でーす」

 

帯の先に結ばれていた桃白白が、鶴仙人の目の前に叩きつけられた。

サイボーグになった影響で目元がゴーグルになっているのでわかりづらいが、アホみたいに開かれたままの口を見れば気絶しているのは間違いあるまい。

 

「たっ、桃白白!?一体何が……!」

 

「桃白白さまは……初戦でチャオズと当たって、敗れました……」

 

「ごめんなさい……」

 

「……なんだとぉっ!?」

 

天津飯はいたたまれない表情で言葉を絞り出し、チャオズは申し訳なさそうに頭を下げる。

そして落ち込むチャオズをヤムチャとクリリンが慰めていた。

 

「しょうがないさ、あんだけ偉そうなこと言ってたんだ。

 それがまさか様子見の一撃で気絶するなんて思わないだろ」

 

「オレたちだって開いた口が塞がらなかったからなぁ。

 でかい口叩いてたのはコイツだけど」

 

桃白白は『以前の数倍のパワーを手に入れた』と豪語していた。

しかし元の数字が小さければ数倍になったところでたかが知れている。

飛躍を続ける彼らには届かなかった。たったそれだけの話だ。

 

 

「無様だな、鶴仙人よ」

 

「……っ!?ば、馬鹿な!貴様は……!?」

 

ここでようやく先代に気付いた鶴仙人が、怯え切った表情で後退りする。

彼を誰と見間違えているのかは説明するまでもないだろう。

 

「なぜそのような愚か者となってしまったのだ。

 あの世で武泰斗が嘆いておったぞ?」

 

「ピ……ピッコ……がっ!?」

 

「余計な騒ぎを起こすな、馬鹿者が」

 

叫び声を上げそうになっていた鶴仙人の首を、ヒノカミが掴んで黙らせる。

そして彼女の体の表面にノイズのようなものが走り、その姿が変化していく。

端末の表面に本体の姿を投影したのだ。

 

「……!……!?」

 

「ようやく儂が誰かに気付いたかこのムッツリスケベめ。

 どうせ貴様も儂の胸ばかり見て、儂の顔を覚えておらんかったんじゃろう?」

 

「鶴仙人よ……この方こそ『天女』さま、そして今の地球の神であらせられるのだぞ?」

 

「!?」

 

「長年顔を突き合わせて全く気付かなかった貴様が偉そうに言うな。ガッツリスケベ」

 

「「「ぷっ!」」」

 

「ガッツリ!?」

 

二人揃って『スケベブラザーズ』。

ただしそれは彼らがまだ若かった頃のヒノカミの中での呼び名だ。

こうして年を経て老人になったため、ヒノカミは彼らに新たなコンビ名を付けていた。

 

その名も『鶴亀エロガッパ』。

今日も頭頂部がキラリと光る。

サングラスはむしろ彼らと応対する相手にこそ必要だ。

 

 

『まもなく試合が始まります。

 選手の方は集合してください』

 

「っと、時間か。命拾いしたな」

 

ヒノカミは鶴仙人の首から手を離し、投影を解除して元の姿に戻った。

 

「先代さま、申し訳ありませんがそ奴らが逃げ出さぬよう見張っておいてくだされ。

 亀仙人は儂と先代さまの諸事情をそ奴らに説明しておけ」

 

「分かった。席から応援しているぞ。

 ヒノカミ、悟空……ピッコロよ」

 

「……フン!」

 

「素直じゃねぇなぁ」

 

「うるさいっ!」

 

ピッコロが肩を怒らせて進んでいくので、呆れつつ悟空たちも続く。

 

「ピ、ピッコロ……?

 いや、たしかに……だが……!?」

 

「全て話してやる……じゃから今は黙ってついてこい」

 

「……ぐぅ……」

 

亀仙人が未だ目を覚まさないサイボーグ桃白白を背負い、ブルマたちと一緒に特別観覧席へと戻っていく。

先代にもう一度無言で睨まれ、鶴仙人はやむを得ず彼らの後ろに続いた。

 




この時点での悟空たち6人とヒノカミの端末の戦闘力は『1000』前後。

5年後に襲来するラディッツが1500。
そして原作にてラディッツと相対した時の悟空とピッコロが平時400ちょい。
さーて、壊れてきたぞぉー。
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