『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第46話 天津飯VSチャオズ

 

『ご来場の皆さま、大変長らくお待たせいたしました!

 ただいまより第23回天下一武道会を始めます!』

 

広くなった会場の中心で、毎度おなじみの審判が声を張り上げる。

観客は大歓声をもってそれに応えた。

 

『第1試合は前回優勝者の天津飯選手と、その弟弟子であるチャオズ選手の対決です!

 では両選手、どうぞーーーーっ!』

 

「……よく見ておけ、鶴仙人。そして桃白白よ」

 

「「……はい」」

 

先代に睨まれ、ブルマや亀仙人たちと共に特別観覧席から舞台を見下ろす鶴仙人と桃白白。

桃白白は目を覚ました直後に『あいつらを殺してやる』と叫びながらチャオズたちを探し出そうとしたので、即座に先代により叩きのめされた。

どうやらサイボーグ化しても先代にすら遠く及ばない程度の実力しかなかったようだ。

 

そして二人は揃って説明を受ける。

先代の神と大魔王は一つの人間であったこと。

かつて武泰斗と共に戦った天女が次の神となっていたこと。

天女ヒノカミが自分の端末を地上に下ろしていたこと。

ピッコロ大魔王が復活したが、先代により捕らえられたこと。

大魔王はヒノカミの手により生まれ変わったこと。

悟空たちはピッコロと共に、天界でヒノカミの修行を受けていたこと。

……そして彼らの実力は既に先代の神すらも大きく超えていること。

 

『す、すさまじい攻防です!

 天津飯選手とチャオズ選手、空中で彼らと彼らの放つ光が交錯しています!

 わたくし、見上げっぱなしで首が痛くなってまいりましたーーーっ!』

 

「なんだ、これは……!?」

 

「あ、あのチャオズまでもがこれほどに……!」

 

「言った通りだ。

 私にすら敵わぬお前たちでは、もはや彼らをどうすることもできん」

 

「……しかし、凄すぎてワシですらまるで見えませんな」

 

「そーねー。

 『なんかすごいことやってる』ってことくらいしかわかんないわ」

 

強くなりすぎた弊害がこんなところに。

動きが早すぎて目が追いつかない。

亀仙人がこれでは、一般人には何が何だかさっぱりだろう。

僅かながら実況ができているあの審判はやはりただ者ではない。

 

『っ!決着ーーーっ!

 チャオズ選手、場外です!

 勝者、天津飯選手ーーーっ!』

 

空中で上から叩きつけられたチャオズは減速しきれず、舞台の外の地面に接触してしまった。

起き上がったチャオズは天津飯の手を借りて立ち上がる。

その美しい光景に観客も歓声と拍手を送った。

 

「あれがお前の弟子たちだ。

 お前が見出し導いた者たちが、お前や私すら超え遥かな高みへと羽ばたいた」

 

「……」

 

「……不老であろうと死なないわけではない。

 知っておるかもしれぬが、あの世はある。そして地獄もな。

 今のお前たちでは間違いなくそちら行きだ。

 天国にいる武泰斗との再会は叶わぬぞ?」

 

どころか、これでも反省が見えないようならヒノカミが処断するだろう。

彼女の逆鱗に触れれば地獄に落ちることすら許されない。

魂が彼女の従える炎の化身に食われ、燃え尽きるまで焼かれ続けることになる。

 

「ヒノカミは私ほど甘くはない。端末を使い下界にも干渉する。

 そしてあの体も今の天津飯らと並ぶ力を持つ。

 この星にとって害悪でしかないと判断された瞬間から、お前たちは彼女に狙われ続けることになるのだ。永遠にな」

 

「「…………」」

 

私欲のために獲物の命を奪い続けてきた者が、今度は獲物として追い立てられる。

自業自得だ。慈悲はない。

 

「今更お前たちに道徳を説いたところで響くまい。

 だからわかりやすく言ってやる。

 『死にたくなかったら改めろ』」

 

「「……はい」」

 

『続けて第2試合を行いたいと思います!

 前大会で惜しくも優勝を逃した孫悟空選手と、匿名希望選手です!

 彼女は訳あって本名を明かせないそうなのでこう呼ばせていただくことにしました!』

 

「来た来た!孫くーーーん!……ってあら?」

 

「あの女の人、どこかで見たことありませんか?」

 

「おまけに妙に悟空を敵視してるみたいだな……」

 

ブルマ、プーアル、ウーロンが匿名希望の女性を見て呟く。

 

一方、舞台裏でも。

 

「あの女、一体何者なんだ?」

 

「お前も気付いておらんか……」

 

舞台の上に立つ女性の顔を見て唸るヤムチャに、ヒノカミが苦言を漏らす。

 

予選会場にて悟空に声をかけてきた彼女の正体を、ヒノカミは当然気付いていた。

しかしヒノカミが彼女の名前を呼ぶ前に悟空が『誰だ?』と口に出してしまったので、彼女は怒って立ち去ってしまった。

そして未だに悟空は彼女が誰だかわかっていない。

なぜ彼女があそこまで激怒しているのかはヒノカミもわからないが。

……ヒノカミは当時、彼女と悟空が別れ際に何を話していたのかまでは知らないので。

 

「ヒノカミさま、ご存知なのですか?」

 

「儂と悟空は会ったことがあるぞ。

 ヤムチャも見たことがあるはずじゃ。

 もうずっと前の話じゃがの」

 

「オレも?」

 

あの時はヤムチャは隠れて悟空とヒノカミたちの後ろをついてきていた。

だから彼女のことは遠目で見たことがある程度だろう。なので気付かないのも無理はないと思っていた。

実際にはヒノカミが見ていないところで直接顔を合わせ、言葉すら交わしているが。

 

「思い出せないな……誰だ?」

 

「本人が『匿名希望』と言うとるんじゃから、儂が明かすわけにはいくまい。

 ……じゃがヒントはやろう。出会ったのは6年以上前じゃ」

 

「前々回の大会より前?……あぁっ!!」

 

「そんだけ年数経てば子供も大人に成長するわな。

 あそこまで別嬪さんに育つとは思っておらんかったが……」

 

『それでは第2試合……始めてください!』

 

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