『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第50話 悟空VS天津飯

 

1回戦の終了後の会場整備兼休憩時間。

これもまた会場が大型化すると同時に採用された変更点だ。

というのも悟空たちが参加するようになってからは会場が壊されることが当たり前になってしまい、加えて彼らは本当に死力を尽くして戦うので、2回戦開始時点で1回戦の疲労が抜けていないのではと危惧されたからだ。

勝負は時の運であるとは言え、出来る限り選手たちには万全の状態で試合に臨んでもらいたいという運営側の粋な計らいではある。

その当人たちは仙豆などという不思議アイテムを持っているので、肉体的な疲労はすぐに消えてしまうのだが。

 

ともあれこれで第4試合を終えたヒノカミにも時間の余裕ができた。

先代に任せていた鶴仙人と桃白白の処遇を決めようと二階の観覧席に顔を出したのだが。

 

「……放り出した?何故ですか?」

 

「お前たちの試合を見せた反応から、更生の余地ありと判断した」

 

「私欲のために殺戮を繰り返した者たちですぞ?

 本当に反省しておったのですか?」

 

「反省したかは怪しいが、お前が始末しに来るぞと散々脅しておいたからな。

 それに……いかな悪党であろうと地球の神がそこに住まう民を手にかけるのはやはり好ましくない」

 

「……そこを突かれると、反論できませんな」

 

亀仙人からの嘆願もあったらしい。

鶴仙人には彼や武泰斗と共に大魔王に挑んだという功績もある。

これでまた悪事を繰り返すようなら今度こそSOFに食わせてしまえば良いかと、ヒノカミは先代の決定を受け入れた。

 

 

『皆さま!大変長らくお待たせいたしました!

 これより2回戦、第5試合を開始しまーーーす!!』

 

「始まるか。お前もそろそろ行くといい」

 

「もう少しここでも良いかと。長引くでしょうし」

 

「……確かにな」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

『準決勝最初の試合は天津飯選手対孫悟空選手です!

 この二人は前大会ですさまじい決勝戦の末にわずかに天津飯選手が勝り優勝しております!

 はたして、今大会では!?』

 

「あの相手の人、どんくらい強いべか?」

 

「俺たちの6人の中では悟空とピッコロがツートップ、次が天津飯だ。

 確かに悟空の方が白星の数が多いが、可能性は十分にある」

 

「まして、ここは天界と違ってルールがありますからね……それで負けたボクたちが言うのも何ですが」

 

「……悟空さもそんなに強くなっとるだか。

 おら自信あっただに、まるで場違いな気分だべ」

 

事情を知らないチチがヤムチャとクリリンに尋ねて落ち込む。

残念ながら彼女では直接戦っても悟空の強さがまるでわからなかった。

そして天津飯が第1試合でチャオズ相手に激戦を繰り広げたのは見ていた。

当時は悟空への怒りで頭になかったが、思い返せばあの戦いにさっぱりついて行ける気がしない。

 

「しかも今回は相手が『チャオズじゃない』からな。

 悟空相手に温存はしないだろう。いきなり使ってくるはず……」

 

「ですね」

 

「??」

 

「天さん、頑張って!」

 

 

『第5試合、始めてください!!』

 

試合開始の合図と同時に二人が飛び出し、激突する。

二人の体がぶつかり合う。

 

 

 

「「「いぃっ!?」」」

 

 

そして『三人目』……『二人目の天津飯』が悟空の横から奇襲を仕掛けた。

 

「このっ!」

 

予想していた悟空はもう一方の手で攻撃を払いのけるが、その隙を『一人目の天津飯』に突かれそうになった。

しかし悟空はそれも予想し、蹴りを胴体に叩きこむ。

 

すると『一人目の天津飯』が霧のように消えた。

 

「げげっ!?」

 

「つぇあっ!!」

 

『二人目の天津飯』の肘打ちが直撃し、悟空が弾き飛ばされる。

舞台端で踏みとどまり身構えた悟空を見て、天津飯は追撃を止めた。

 

 

「いちち……まさか『一人目』の方が『影』だなんて思いもしなかったぞ」

 

「ふん、情けない話だがお前相手に真っ向からぶつかるのは分が悪いんでな」

 

 

「な、なぁ!今あの人増えたべ!?」

 

「あれは天津飯の『分身』だ。

 あいつは自分の気で一時的に『自分と同じ強さの分身』を作り出すことができるんだ」

 

空を飛ぶ『舞空術』や腕を増やす『四妖拳』など、亀仙流と比較して鶴仙流はいわゆる『妖術』寄りの技が多い。

その中の一つに『四身の拳』というものがあり、自分を四分割して4人に増えるというとんでもない技があった。

しかし『強さも四分割される』ため『弱い集団を効率よく倒す』には便利であるが、強敵相手では初見殺しの手品にしかならない。

それでも手数が増えるならとこの術を習得しようとした天津飯を見て、ヒノカミが興味を持ちちょっかいを出した。

 

天津飯はまだ『天神武装』第一段階をマスターできておらず、全身に気を纏うところまでしかできない。

放出した気を制御できていないので、無理に動こうとすると気の鎧が逆に自分の体の動きを阻害してしまう。

だが動けないだけで発動そのものはできるのだ。

天津飯はヒノカミと協力し、この気の鎧を『四身の拳』の要領で自分の体から引き剥がして『精巧な分身を作り出し使役する技』として昇華した。

 

これが天津飯の『天神武装』、『心身気影(しんしんきえい)』。

彼は第一段階をすっ飛ばして第二段階を発現しているのだ。

 

本物と全く同じ姿・同じ質の気を持ち実体もある分身を瞬時に見分けることができるのは、6人の中でも最も『感知能力に長けている』チャオズだけだ。

 

「一人が二人に……!?

 そんなんアリだべか……!?」

 

「アリなんだよなぁ……鶴仙流は」

 

分身は込めたエネルギーを気弾などで消耗したり、ダメージを受けると消えてしまう。

そして分身を作る度に本人の気を消耗するが、それでも単純に手数が倍。

加えて奇襲に使ったり盾や囮にしたりと応用の幅も非常に広い。

 

「身体能力自体は悟空の方が上だ。

 でも天津飯は分身の使い方がすごく上手いから、悟空も攻めあぐねてまともに攻撃を当てられない。

 天津飯が押し切るか、悟空が耐え抜くか、ギリギリの持久戦になる!」

 

「天さーん!頑張れーーーーーーっ!!」

 

「っ!悟空さ!ファイトーーーーっ!!」

 

 

ヤムチャの解説の通り、舞台の上では悟空と二人の天津飯が超スピードで激突を繰り広げていた。

観客たちも訳が分からずまともに動きも見えないながらに声援を送り続ける。

 

戦い続けること十数分。

最後に舞台に立っていたのは。

 

『天津飯選手、ダウン!

 孫悟空選手の勝利です!!』

 

並外れた悟空のスタミナを削り切れず、遂に天津飯が膝をついた。

そこに悟空の拳が突き刺さり、天津飯は舞台の上に倒れこむ。

 

悟空は前回の雪辱を果たし、決勝への切符を手に入れた。

 




原作でも一度しか使われず、もったいないと思ったので魔改造。
『NARUTO』の『影分身』と『HUNTER X HUNTER』のカストロの『ダブル』を組み合わせたような技にして天津飯の『天神武装』としました。

クリリンとチャオズの武装のお披露目はまだまだ先の予定。
ただクリリンのは決まっているんですがチャオズのはまだ迷っています。
原作でもどどん波と超能力くらいで、代名詞みたいな技がないんですよねチャオズ……どんなのがいいかなぁ。
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