『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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1日2回投稿は今度こそここまで。
一応まだ15話くらいストックあるんですが、年末は書ける時間がぐっと減るのでそちらに備えさせてください。


第31話

『ラッシュラッシュラーーッシュ!!!

 爆豪、怒涛のキックの嵐で轟を滅多打ちだぁあああ!!』

 

爆豪の肩の表面は焦げ、出血もしている。それでも攻撃を止めない。

対して轟。自分から空中戦に誘っておきながら、爆豪が攻撃する瞬間に炎で移動して直撃を避けようとするばかりで、攻撃する気配が感じられない。

 

(何狙ってるか知らねぇが、その前に潰してやる!!)

 

緑谷だって、今までの自分の限界を超えて見せたのだ。

負けるわけにはいかないと、爆豪は腕の痛みに耐えて舞い続ける。

すると目の前で轟の姿勢が崩れた。氷の足場から飛び上がってきたが先ほどまでより高さがない。

 

「くたばれぇ!」

 

「っ!」

 

その隙を逃さず爆豪は渾身のかかと落としを決める。

氷の鎧の防御を貫いて、轟は眼下の氷の城へと落下。

城壁を砕きながら舞台の上に叩きつけられ、雪崩れてきた氷の瓦礫に飲み込まれた。

 

『決まったぁー!!爆豪の強烈な一撃ー!!

 これは轟、立ち上がれるかーー!?』

 

(違う、攻撃する直前に芯をずらしてきやがった。

 まだ倒せてねぇ!)

 

爆豪は肩の爆発を一時止め、掌だけで対空する。

しかししばらく待っても轟に動きがない。

 

『……轟、出てこねぇぞ?

 本当に無事かぁ?』

 

「だったらあぶり出してやらぁ!!」

 

爆豪は両手を舞台へと向け、氷の城全体を粉砕する威力の爆発を放つ。

同時に肩から上に向けて爆発を放ち逆噴射にしたが、掌から放つ爆発の方がはるかに大きいため、反動で爆豪の体はかなり上空まで昇ってしまった。

 

『城壁、崩れたぁ!!

 轟は……いたぁ!まだ立っている!

 しかし……なんだあれはぁ!?』

 

轟は自分の胸の前で両腕を組んでいる。

炎と冷気、赤と青のエネルギーが彼の胸元から左右にあふれだし、クロスしている。

 

「っ!チィ!」

 

あれは不味いと察した爆豪は両手と両肩を同時に後ろに向けて爆発させ、錐揉み回転しながら遥か下の轟へと向けて急降下。

 

「ハウザァアアアッ!インパクトォッ!」

 

凄まじい速さの人間榴弾。

この速度ならば轟が何かをしでかす前に激突し、倒すことができるはずだった。

 

(っ!なんだ!アイツの姿が!?)

 

舞台を横から見ていた舞火は、爆豪の軌道が焦凍からずれていることに気づいた。

彼が土壇場でこんなミスをするはずがない。

 

「……っ!!蜃気楼か!!!」

 

地面は氷の城で冷やされ、上空は爆豪の爆破と焦凍の回避運動により熱されていた。

意図的に冷気と暖気の層が舞台の上に作り出されていた。

そして遥か上空にいた爆豪は、光の屈折により焦凍の位置がずれて見えていたのだ。

ここまでの焦凍の行動はすべて時間稼ぎ。

己の必殺技を発動するまでの1分という時間を、爆豪からかすめ取るための。

 

(しかしここまで博打を打つか!?)

 

確かにまともにやりあえば勝率は高くなかっただろうが、賭けが成功する可能性も高くはなかった。

が、考えてみれば焦凍は爆豪の全力を知らない。

こう言ってはなんだが、ここまでの爆豪の相手は彼に比べて実力が劣る者たちばかりだった。

相手の強さがわからなければ勝率もわかるはずがない。

だから試合開始前に舞火に尋ねた。

そして緑谷以上、もしかしたら自分以上かもしれないと見積もった。

故にまともな方法では勝てないかもしれないと判断し自分の最高の技をぶつけるための策を考えた。

 

急降下する爆豪は舞台の中心の轟から大きくずれ、舞台の端に墜落した。

直前の逆噴射と氷の城の残骸にぶつかったおかげで場外にまで飛び出さずに済んだが、すでに轟は技を完成させていた。

 

「『赫灼熱拳”燐”(かくしゃくねっけん”りん”)』!」

 

「ヒノカミ!」

 

「おうさ!」

 

エンデヴァーの呼びかけに応え、二人はヒーローとして飛び出す。

二人で舞台を挟む位置に移動し、ミッドナイトとセメントスより前に出て両手を広げ立ちはだかる。

 

「っらぁあああ!!」

 

振り返って突撃する爆豪を正面に見据えて、左の拳を構える焦凍。

エンデヴァーが自分の両側に炎を放出。

それをヒノカミが操作し会場を包む。

舞台が完全に炎で隠されてしまったが、二人は構うことなく更に炎のドームの壁を厚くする。

 

「『大氷海嘯』!」

 

炎の向こう側から焦凍の声が聞こえた。

瞬間、炎のドームをかき消す強烈な冷気が放たれ、一瞬で会場全体が真冬のような寒さになった。

 

『さっっっむ!なんだこりゃ!一体何が起きたんだぁ!?』

 

舞台の一番傍にいたエンデヴァーとヒノカミは、炎を操っていながら体の節々に霜が降りていた。

エンデヴァーがもう一度炎を放出しヒノカミが操作を奪う。

彼女は急いで炎を会場全体へと広げ気温を上げ始めた。

舞台中央、冷気の靄が晴れた先にあったのは、拳を地面へと叩きつけた姿勢で佇む焦凍と、彼に襲い掛かろうとする姿のまま凍り付いた爆豪の姿だった。

 

「……あぶないところだった……やりすぎだぞ焦凍!!」

 

「わりぃ。でも親父たちならなんとかしてくれると信じてた」

 

親子の会話もミッドナイトの制止も無視して、舞火は舞台の上へと走る。

 

「勝己!無事か!!」

 

明らかに過剰攻撃。爆豪の全力を知らなかったからこそ、焦凍は爆豪を高く見積もりすぎていたのかもしれない。

まだ試合中であることなど頭になかった。手元に残していた炎を操り、急いで爆豪を温める。

 

「……チ……ウ……」

 

「勝己!?」

 

「……チ……クショ……ウ、チク、ショウ……!」

 

「……」

 

舞火は爆豪の泣く声が漏れないよう、彼の頭を胸元に抱きかかえた。

 

「……爆豪くん!戦闘不能!

 優勝は……1-A轟焦凍!!」

 

ミッドナイトにより、雄英体育祭1年生の部の全種目終了が宣言された。




爆豪と轟の実力は原作の最終決戦、死柄木・AFOに挑む一歩か二歩手前くらいです。
コスチュームとサポートアイテムが無いから強さは劣るけど。
そして緑谷は歴代個性がないからさらにもう少し手前。
そしてそれ以外の生徒は原作通り。
……他の1年に混ぜちゃいかんでしょこいつら。
自分でそう書いといてなんですが。
何はともあれ、雄英体育祭決着です。
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