『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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戦闘力5のおっさんも、守るべき大切な地球の住民です。


第58話 彼方からの来訪者

 

悟空たちが転移した先は長閑な草原地帯。

いつの間にか入れ替わったようで、ヒノカミは端末になっていた。

 

「……くるぞ」

 

「っ!?アレか!!」

 

空高くから何かが落ちてくる。

一般人では隕石か何かにしか見えないだろうが、悟空たちの視力はそれが先ほどみた宇宙船と同じ形をしていることを見抜いていた。

 

「向こうに落ちたぞ!」

 

「では行くか……む?」

 

ヒノカミが何かに気付いて全く別の方角に腕を振るう。

 

「どうしたんだ?」

 

「いや、なんでもない」

 

ピッコロとチャオズは気付いていただろうが、どうやらこの付近にいた一般人が宇宙船に近付こうとしていたようだ。

やむなく念を叩きつけて気絶させる。

意図的に脳震盪を起こしたようなものだが、命には代えられないと我慢してほしい。

 

飛んで移動した一行は直径十数メートルほどのクレーターの淵に降り立ち、中央の宇宙船を固唾をのんで見つめる。

そしてハッチが開いた。

 

「「「……!」」」

 

中から這い出して来たのはフリーザ軍の一般的な戦闘スーツを身に着けた、長髪の男性。

腰に巻き付いているのは毛むくじゃらの紐ではなく、おそらく尻尾。

男は悟空たちの存在に気付くと小ばかにしたように笑い、彼らの前の空中で静止する。

 

「ふっふっふ……成長したな、カカロットよ。

 父親にそっくりだ……。

 わざわざ出迎えに来るとは感心だが、この星の有様はどういうことだ?」

 

「『カカロット』……?もしかしてオラのことか?」

 

「何?」

 

「悟空、下がれ」

 

ヒノカミが男と悟空の間に割り込む。

 

「なんだ貴様は?」

 

「お主が『カカロット』と呼ぶ者の育ての親じゃ。

 こ奴は幼い頃に頭を強打し、おそらく全ての記憶を失っている」

 

「なんだと!?……ちぃ、手間のかかる野郎だ」

 

「次はこちらから尋ねたい。そちらは何者か?

 悟空……カカロットとはどのような関係か?」

 

「ふん、いいだろう。教えてやる。

 生まれは惑星ベジータ、我らは誇り高き戦闘民族サイヤ人!

 そしてオレはカカロットの兄、ラディッツだ!!」

 

 

「「「兄!?」」」

 

「っ!?そうか、サイヤ人か!!」

 

ヒノカミは別の惑星でその種族の名を聞いたことがあったが、悟空がそうだとは思っていなかった。

凶暴で残忍な性格は頭を打った際に変貌したとしても、非常に好戦的で黒髪と尾を持つヒューマンタイプの宇宙人。

こうしてはっきり断言されて考察すると、その種族の特徴は確かに悟空に当てはまる。

 

「ほぅ、サイヤ人を知っているのか」

 

「あぁ……まさか生き残りがいたとはな」

 

「生き残り……?」

 

「サイヤ人は絶滅しとるんじゃよ。二十年近く前にな」

 

「「「!?」」」

 

「その通りだ。サイヤ人は元々少数民族だった上に惑星ベジータが巨大隕石の衝突で爆発してしまったのだ。

 ほとんどのサイヤ人は宇宙のチリと消えた。

 ……オレたちの父親と母親もな」

 

「……」

 

記憶にないとはいえ、自分の同族どころか両親すらもすでにいないと聞かされ流石の悟空も衝撃を受ける。

 

「生き残ったサイヤ人は、オレとお前を含めても4人しかいないのだ」

 

「だというのに、未だにフリーザ軍の下で死の危険を犯してまで戦い続けておるのか?」

 

「!?……フフフ、フリーザ軍の名はこんな辺境の惑星にまで轟いているか。ならば話が早い。

 非常に高値で売れそうな星を見つけてな、3人では少し苦戦しそうだと考えていたところでお前のことを思い出したのだ。

 カカロットよ、オレと来い!思うままに戦い、奪い、殺す!

 楽しいぞ!サイヤ人の血が騒がんか!?」

 

 

 

「……わりぃ、みんな。

 コイツはオラ一人でやらせてくれ」

 

「悟空!?」

 

「ほぅ……まさか兄に逆らうつもりではあるまいな?」

 

悟空にはすでに家族がいる。

敬愛する親がいて、愛する妻がいて、息子がいる。

肩を並べて競い合う仲間たちがいる。

それでも自分に近しい人間が来るかもしれないと聞いて、目の前の男が兄だと聞いて、本当は少し期待していたのだ。

だがその結果がこれだというなら。

 

「おめぇがオラの兄ちゃんだってんなら、オラが懲らしめてやんなきゃな!」

 

「……ふんっ、身の程知らずが!」

 

ラディッツはカカロットを嘲笑う。

彼の左目に取り付けられた機械『スカウター』が示すカカロットの戦闘力はおよそ『1000』。

緑の肌の男と先ほど話しかけてきた女もほぼ同等で、周囲の連中も僅かに劣るもそれに匹敵している。

カカロットはともかく、こんな辺境の惑星にこれほどの戦力が揃っていたのははっきり言って予想外だ。

ラディッツの戦闘力は『1500』。

連中が一斉にかかって来れば危ういと考え彼なりに下手に出ていたが、まさか一人で挑もうとしてくるとは。

しかも周りの奴らもそれを受け入れ距離を取り始める。

 

「……む?」

 

「はぁぁ……!」

 

しかしカカロットは『戦う』と言いながら構えるでなく全身に力を込め始める。

すると彼の手足に巻き付く光が見えた。

 

 

「……『(アンテ)』!!」

 

 

そして霊力の枷が解き放たれた。

 

 

「……っ!?馬鹿な!!」

 

「さぁ……やろうぜ、兄ちゃん!」

 

 

「戦闘力……『5000』だと!?」

 




ぶっ壊れた物語のしわ寄せが、今ラディッツに襲い掛かる!
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