『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第60話

 

ヒノカミの本体の能力により、悟空たちが神殿に転移させられてきた。

ヒノカミの宣言通りラディッツも一緒だ。

彼も転移直後は驚いたが、すぐに再び絶望の表情となりその場にへたり込む。

だからヒノカミの姿が消えていることには気付いていなかった。

 

「無駄だ……確かにカカロットの戦闘力はナッパに匹敵する。

 だがベジータの戦闘力は『1万8000』だぞ……!?

 勝てるはずがない……!」

 

「いぃっ!?悟空が5000っつってたよな!?

 ちなみにアンタはいくつなんだ!?」

 

「オレは……1500だ……」

 

「なるほどな……確かに今の『オレたち』じゃあ勝ち目はなさそうだ」

 

「はっ!わかったら残り少ない命でも噛み締めるんだな!」

 

「……なぁ兄ちゃん、その『戦闘力』ってのは目に着けてる機械で測ってんだよな?

 じゃあばぁちゃんを測ってみてくれよ。

 さっきの端末じゃなくて、今から来る神さまの方をさ」

 

「何を……!?」

 

ラディッツのスカウターが神殿の奥から近づいてくる何かに反応する。

表示される戦闘力の数値がとんでもない勢いで上昇していく。

 

「なんだ!?1万7000、1万9000、2万1000……!?」

 

「「「うわっ!?」」」

 

そして計測できる限界値を超えたスカウターが音を立てて爆発した。

 

 

「……そんな感じに儂の本体を見たら、大体爆発するんじゃよなぁ、それ。

 なんで通信機能があることを失念しておったわ……そこは儂の失態じゃの」

 

ラディッツの視線の先には先ほどまで一緒にいた『カカロットの育ての親』とよく似た女がいた。

 

「ベジータ以上の戦闘力……まさか『魔女』!?

 この近隣の宙域に赴いた兵士たちを皆殺しにするという!

 与太話ではなかったのかっ!?」

 

「儂はそんな風に呼ばれとるのか。初耳じゃの」

 

「割と的確だと思いますよ~?

 少なくとも『天女』よりはよっぽど……」

 

「うっさい」

 

「あいてっ」

 

ヒノカミはからかってきたクリリンの額を小突きつつ、内心でクリリンに同意しニヤニヤと笑っているヤムチャたちをひと睨み。

 

「でもやっぱばあちゃんのが高かったかぁ」

 

「今も思いっきり力を抑えておるがな。

 全力出したらどのくらいかは儂も気にはなっておる」

 

「……ってわけで、オレたちが呑気にしてられる理由がアレさ。

 とんでもないだろ、ウチの神さま」

 

「は、ははは……」

 

ラディッツは先ほどまでとは別の意味で呆然としていた。

戦闘力1万を超える戦士はフリーザ軍全体でも数えるほどしかいない。

2万となればフリーザの両脇を固めるドドリア、ザーボンと同格だ。

それすらも大きく力を抑えての数値だというならあのギニュー特戦隊すら超えているかもしれない。

 

(……負けるはずがない!ベジータが大猿になろうと勝てる!

 こんな化物がこんな辺境の星にいるなど想像できるはずがない!)

 

ラディッツの眼に光が戻って来た。

そして魔女と完全に敵対する前にこちら側に投降できた自分の幸運を喜んだ。

 

「今先代さまとミスターポポにこちら側の関係者を集めてもらっておる。

 儂が呼び寄せても良かったが、お主に関して事前の説明も必要じゃろうからな。

 集合次第、色々と聞かせてもらう。よいか?」

 

「あぁ」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

「ほれ悟飯ちゃん、伯父さんに挨拶するだよ」

 

「初めまして、孫悟飯です!」

 

「伯父さん!?オレがか!?」

 

「揃ったか~、揃ったなら始めるぞ~。

 その辺の挨拶は後にせい後に。忙しい者もおるんじゃから」

 

チチと悟飯、パオズ山に来ていたブルマと一度呼び寄せた亀仙人。

カプセルコーポレーションからウーロンとプーアル。

亀ハウスからランチちゃん。

突然天津飯たちに置いていかれてむくれてたランチさん。

彼らと共に戻って来た先代とミスターポポ。おまけにカリン塔からカリン。

ヒノカミと悟空たち6人、そしてラディッツ。

これが現時点での関係者全員だ。ウミガメは自分では何の力にもなれないからせめて留守を守るとのこと。

 

「悟空が宇宙人であり、フリーザ軍に所属しとる兄が尋ねてきた。

 こやつは懲らしめたが残る二人のサイヤ人がおよそ1年後に襲来する。

 ここまではよいな?」

 

「その二人とはどれほどの強さなのじゃ?」

 

「一人は今の悟空らと同格じゃが、もう一人は飛びぬけておるらしい」

 

「でもヒノカミよりは弱いのよね?」

 

「あぁ、じゃが此度の事態は悟空の不用意な発言がきっかけじゃ。

 よってまずは悟空に相手をさせる。無論敗れれば儂が出るが」

 

「それ悟空にとっちゃ罰じゃなくてご褒美じゃねぇの?」

 

「……儂もそんな気はするが、まぁ、体裁としてな」

 

とは言え現状では悟空に勝ち目はない。

スカウターの計測する戦闘力とやらしか情報は無いが、3倍以上となれば覆すことはできないだろう。

 

「あ、ねぇ!スカウターってもしかしてこれ!?」

 

「「「あ!」」」

 

「孫くんの宇宙船の中に入ってたのよ。

 まだ解析中なんだけど……」

 

「スカウターもポッドと同じく軍の標準装備だからな。

 スペアが備え付けられていてもおかしくはない。

 オレの物と同じ旧式だろうが、戦闘力2万程度までなら計測できる」

 

「ちょうどいい、それで悟空以外も計測してみてくれるか?

 数値のサンプルが増えれば『1万8000』という強さがイメージしやすい。

 あ、通信は切っておけ。ラディッツ、使い方を」

 

「あぁ、側面のボタンを……」

 

説明を聞いたブルマは早速自分の頭に取り付けスカウターを起動する。

また壊れないようにヒノカミが自分の気を完全に消し、ピッコロたちが一斉に呪霊錠を解除した。

 

「ふむふむ……孫くんが5000ならこれが『5』の字で……わかったわ!」

 

「促した儂が言うのもなんじゃが、さらりと別言語解読しおったぞコイツ」

 

ある意味でヒノカミすら超えるぶっ壊れ具合。

知力と学力を含めれば、地球人最強はブルマかもしれない。

 

計測結果はピッコロが悟空と同じくほぼ5000。

天津飯、クリリン、ヤムチャと続き、一番低いチャオズが4500だ。

ちなみに亀仙人は139。

 

「……あら?ラディッツさん、戦闘力は1500って話だったわよね?

 1700くらいあるんだけど?」

 

「む?……サイヤ人は死の淵から蘇るほど強くなるのだ」

 

たったパンチ一発で死にかけたなどと恥だが、ここで魔女の不興を買うよりは良いと正直に告白した。

 

「えぇっ!?なんだよそれ!

 ずるっ!?…………」

 

「?」

 

思わず抗議の声をあげようとしたクリリンだが、ラディッツの後ろに見えた光景に息を呑む。

同様に気付いた地球の者たちが一斉に視線を逸らす。

 

 

 

『生と死』を支配する『女神』の口が、まるで三日月のような大きな弧を描いていた。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

後に平和になった時代で、ラディッツはこう語る。

 

「見逃してもらったこと、強くなれたこと、今こうして生きていること。

 全て感謝している。あぁ感謝しているとも。

 ……だが、時折考えてしまうのだ」

 

 

「『あの時カカロットに殺されていた方がマシだったかもしれない』と」

 




ヒノカミ「可愛い悟空や悟飯に酷いことはせんぞ?
   可愛くない小悪党なら良し!」
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