『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第61話

 

「『戦闘力』とやらの基準はだいたいわかった。その上で結論を言うか。

 『まともな方法』では1年で5000から1万8000に引き上げるのは無理じゃな」

 

精々今の倍がいいところだろう。『まともな方法』なら。

 

「なんで『まともではない方法』で行く。

 ……悟空には『界王さま』の所に行ってもらう」

 

「「「カイオウサマ?」」」

 

「地球の所属する北の銀河を治めておられる方じゃ。

 惑星の神ごときが気軽にお会い出来る相手ではないのじゃが……儂はそれなりに交流がある。

 頭を下げてお願いしてみよう」

 

ヒノカミはわずか100年足らず、地球の所属する辺境に限定してだが、北の銀河の治安維持に大きく貢献している。

直接顔を合わせたことも、依頼を受けて行動したことも多い。

 

「そのカイオウサマってのは強ぇのか?」

 

「戦闘力という点では否じゃ。

 だがあの方の開発した技は凄まじい。

 この短期間で3倍以上の戦力差を覆そうとすればそれに頼るしかあるまい」

 

「おい、ならばオレたちも……」

 

「大人数で押しかけてもご迷惑となろう。修行の質も落ちる。

 故に最も適性が高いと思われる悟空だけを向かわせる」

 

『界王拳』と『元気玉』。どちらもとんでもない技だ。

かつてヒノカミも少しだけ手ほどきを受けたことがあるが、適性がないのかほとんど習得できなかった。

開発者である界王本人でも使いこなせておらず、界王も自身の技を受け継ぐ者を探している。

だからこそ技の後継者候補という立場であれば悟空の修行を引き受けてくださるはずだ。

 

「そもそもお主らが戦う必要もない。悟空は今回の責任を取ってもらうがの。

 ベジータとやらの力量もおおよそ分かった。

 もう一人が4000程度なら儂一人でどうとでもなる。

 地球の危機じゃから力を制限する理由もないしな。

 ……と言っても、やはり悟空だけが強くなることに納得がいかぬか?」

 

「「「当然だ!」」」

 

「じゃろうな。お主らは儂が鍛えてやる。

 以前のように片手間ではない、付きっきりでじゃ。

 これも『まともではない方法』になるが、覚悟は良いな?」

 

「「「お願いします!!」」」

 

何しろ母星の危機だ。

星の神が優先すべきは自分の担当する母星であり、他の惑星からの救援要請があっても断らねばならない。

ヒノカミの力を当てにしている神もいるかもしれないが、そもそも神なら母星は地力で守るのが当たり前だ。

 

「ラディッツ、貴様は強制参加じゃ。

 貴様もまた悟空と同じく事の発端であるからな。

 文字通り『死ぬ』気で取り組んでもらう。

 その代わり、戦闘力1万までは保証してやる」

 

「1万……!?

 あぁ!やってやろうじゃないか!」

 

途端、ヤムチャたちの視線が生暖かい物に変わった。

『コイツもすぐに死んだ眼になるだろう』と。

それは新人の後輩を見守る先輩のようであり、生者を同じ地獄に引きずり込んで逃がすまいとする亡者のようであった。

 

「ただし条件がある。

 お主らの仕事はちゃんと続けること。

 ピッコロとラディッツには悟空の畑仕事を引き継いでもらう。

 修行はそれらの合間に行う」

 

「「「はぁっ!?」」」

 

「当たり前じゃろう。

 これは地球の平和、人々の日常を守る為の戦いじゃ。

 お前たちもまた地球に生きる者。その日常を犠牲にしてどうする」

 

「待て、オレはもう十分稼いでいる!

 今すぐ俳優を辞めても問題ない!」

 

「ボクだってまだ財宝の残りが……!」

 

「たわけ、お前たちが仕事で得たのは金だけか?

 親しくなった者、世話になった者たちがいるはずじゃ。

 彼らとの繋がりはそんな簡単に手放して良いものか?」

 

「「……」」

 

「おい、畑仕事だと!?サイヤ人のこのオレがか!?」

 

「諦めろ、コイツはこうと決めたら絶対に譲らん」

 

ピッコロは悟空と組手をする過程で仕事を手伝わされることも多いため、やり方はわかっている。

完全に孫家に馴染んでおり悟飯もピッコロにはなついている。

何しろ、彼らの中で悟飯と一番年が近いのはピッコロなので。

誰がなんと言おうと、彼は7歳児。悟飯が4歳なので年齢差はわずか3。

悟飯にとっては『ピッコロお兄ちゃん』なのだ。

身長差2メートル近いけど。

 

「……おとうさん、いなくなっちゃうの?」

 

「う”っ……すまぬ、悟飯よ。

 今回は悟空が悪いんじゃ……罰を受けねばならんのじゃ……!」

 

(悟空より悟飯の方が罰を受けてるよな?)

 

(いや、一番ダメージ受けてるのはヒノカミだろ)

 

「……悟飯、とうちゃんはちょっと頑張ってくる。

 だからオラが帰ってくるまで、かあちゃんを守ってやるんだぞ?

 ピッコロと兄ちゃん……叔父さんと仲良くな?」

 

「……うん」

 

「『叔父さん』……オレが……」

 

(こっちも随分ダメージ受けてんな)

 

ヒノカミが悟飯の泣き落としで揺らぎそうになるが、悟空が息子を説得したことで踏みとどまった。

父親らしく振舞っているが、内心では修行と聞いて子供のようにワクワクしていることは言うまでもない。

それを察する仲間たちは彼らのやり取りをジト目で見つめ、隅ではいまだ『叔父さん』呼びを受け入れられないラディッツが項垂れていた。

 

「と、ともかく。

 お主らはそれぞれの日常を維持しつつ、それ以外の時間は神殿で儂の指導を受けてもらう。

 亀仙人やランチたちにもサポートを頼みたい。人数が多いからな。

 ……という訳で先代さま、神殿に転移カプセルを設置したいのですが……」

 

「……やむを得まい」

 

「ブルマはスカウターと宇宙船、ついでにラディッツのプロテクターの解析を頼めるか?

 連中の技術力がどれほどか把握しておきたい

 ラディッツの船は回収済みじゃ。

 後ほどパオズ山の悟空の物と併せてカプセルコーポレーションへと送る」

 

「任せて!こっちからお願いしようと思ってたくらいよ!

 面白そうだと思ってたのよね~、とうさんにも手伝ってもらおうかしら」

 

「んで、悟空は儂が界王さまの下へ連れていく。

 先に各所に話を通さねばならんから、明日じゃな。

 今日は家で悟飯らと過ごせ」

 

「わかった。そうだ、兄ちゃんもこいよ。

 チチのメシはうめぇんだぜ?」

 

「いや、オレは……」

 

「……ちなみにこの地球は全宇宙規模で見ても美食の宝庫らしいでの。

 近隣の星の神からちょいちょいお土産を頼まれる」

 

「そ、そうなのか……?」

 

「義兄さんも悟空さと同じでたらふく食うんだべ?

 精一杯おもてなしさせてもらうだよ」

 

「……世話になる」

 




予想できたかもしれませんが、サイヤ人との戦いに悟飯は不参加です。
ヒノカミは子供を無理やり戦わせることに絶対反対するし、そもそも悟空たちの戦力が充実しているので子供に頼る理由がありません。
チチの理解があることからこの時点の悟飯も原作より鍛えられていますが、戦闘力100が精々です。

以降の戦いでも悟飯が活躍する機会は大幅に減ります。
本作での悟飯は『原作に比べて弱くなる』予定です。
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