『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第74話

 

「ずぁぁああーーーっ!!」

 

「ぐぼぁっ!?」

 

「ドドリア!?」

 

周囲の兵士を吹き飛ばしながら一瞬でドドリアに肉薄したラディッツは、容赦なく彼の顔面に蹴りを叩きこんだ。

吹き飛ばされていくドドリアと、追撃を加えようと追いかけるラディッツ。

 

「!?」

 

ドドリアに加勢しようとしたザーボンだが、目の前にもう一人のサイヤ人が立ちはだかる。

 

「ちっ、どけぇ!」

 

ザーボンが繰り出した拳は容易く受け止められる。

 

「な……ぐぁぁぁああっ!?」

 

「……オラ、父ちゃんや母ちゃんのことなんかなんも覚えてねぇけどさ」

 

そのままザーボンの拳を握りつぶすように力を込める。

 

「おめぇたちは、許せねぇ!」

 

「このっ!」

 

「だぁっ!!」

 

ザーボンがもう一方の拳を振りかぶるより先に、悟空の拳がザーボンの顔面に叩きこまれた。

そのままドドリアとは別方向にぶっ飛ばされていく。

もし彼がドドリアと同様に新型のスカウターを身に着けていれば、目の前のサイヤ人の戦闘力が5万を超えていることに気付けただろう。

それすらも彼の全力からは程遠いのだが。

 

「ドドリアさま!?ザーボンさま!?」

 

「よそ見してる暇なんてねぇぞ!」

 

「「「!?」」」

 

4人の地球人が戦闘員たちの四方から一斉に飛びかかって来た。

スカウター無しでもわかる、彼らの全身を覆う濃密なエネルギー。

下級戦士では相手になるはずがなく、唯一反応できたキュイが迎撃の構えを取る。

しかし頭上を見上げてしまったため足元に迫るものに気付くことができなかった。

 

「な!?うぁっ!?」

 

ピッコロがその左腕を伸ばし、キュイの足首を掴んでいた。

集団の中からキュイを引っ張り上げ、目の前にまで来たところで顔面に右の拳をめり込ませ、地面に叩きつける。

 

「ごぼぁ!?」

 

「これでベジータのライバルだと……?

 少なくとも気迫だけなら、奴の方が遥かにマシだったな」

 

「っ!?てめぇ!」

 

キュイの気功波がピッコロの顔面に直撃し、足首を掴んでいた腕の力が抜ける。

それを『仕留めた』と思い後ろに飛んで立ち上がったキュイだったが、煙が晴れた後には無傷ではないが健在で、にやりと笑うピッコロの顔。

 

「悪いが、オレたちは打たれ強くてな。

 伊達にアイツのサンドバッグにされちゃあいない。

 それにこの1カ月……何もしてこなかったわけでもない!」

 

サイヤ人の襲撃を退けたとはいえ、ピッコロたちはベジータには及ばなかった。

悟空にも随分と差を付けられてしまった。それを良しとすることなどできるはずがない。

ブルマが宇宙船を完成させるまでの1ヵ月、ピッコロたち5人はヒノカミに頼み込んでサイヤ人襲来前の1年間よりも激しい修行を積んでいた。

出発直前にスカウターで計測してもらったところ、悟空に追いつき超えるという気概が反映されたからか5人の戦闘力は1万5000近くまで向上していた。

 

 

「ぐ……ぬぅあ!」

 

周囲を見渡し戦況は不利と判断したザーボンは、恥を捨て自分が嫌う醜い姿へと変身。

 

「だぁっ!」

 

「がはっ!?」

 

しかしそれでも悟空との差は覆せなかった。

 

間もなくラディッツたちは宇宙船の周囲にいたフリーザ軍を全滅させる。

船の中にいた生き残りが宇宙船を動かし逃げ出そうとしたが、ピッコロたちに気功波を打ち込まれて宇宙船は爆散した。

 

 

「ちっ、汚ねぇ花火だ」

 

「まったくだぜ」

 

ピッコロの呟きにヤムチャが同意した。

初めて目の当たりにしたフリーザ軍の醜悪さに、彼らの怒りは治まる様子はない。

 

 

「……くそぉ!!」

 

ラディッツが大地に拳を叩きつける音が響く。

 

「オレたちは……父は……母は……!

 ちくしょぉおおーーーーっ!!!」

 

「兄ちゃん……」

 

かける言葉も見つからなかったが、今は時間がない。

ピッコロがラディッツに尋ねる。

 

「フリーザとやらがナメック星に辿り着くまで、どれくらいの猶予がある?」

 

「……惑星No.79にいるとすれば、2週間といったところだ」

 

「そのフリーザってのは、今の連中とは桁違いの強さなんだろ?

 オレたちだけで相手をするのは無理だよな」

 

「……ひとまず最長老さまのところへ戻ろう。

 先代さまにも相談しなくては」

 

再び最長老の家へと戻った一行は状況を報告し、彼らの中で一番礼儀正しい天津飯が深々と頭を下げる。

 

「申し訳ございません。

 我らの不手際で、ナメック星を危険に晒すこととなってしまいました」

 

「いえ、噂が届いていた以上いずれ起きる事態だったのです。

 あなた方が来訪している間に、私が生きている内に起きたことを、幸運と思わなければ」

 

「何はともあれ、避難を。

 100名ほどならば地球で受け入れることができます」

 

「折角復興が進んできたのに……」

 

「仕方がありませんよ、デンデ。命には代えられない。

 皆には私から念話を送ります」

 

「ではオレたちも、地球に連絡を」

 

ブルマに渡された帰還用の宇宙船の中には彼女が作った新型のスカウターも入っていた。

オリジナルと同様、遠方の惑星でもタイムラグ無しで通信ができる。

当然、フリーザ軍に盗聴されないよう別の回線でだ。

 

 

『……不味いことになったな。

 わかった、ひとまず神殿で彼らを受け入れよう』

 

「移動はどうしますか?

 この宇宙船では、100人はとても乗り込めない」

 

『ドラゴンボールを使おう。念のため集めておいて正解じゃった。

 願いは『ナメック星にいる者全員を地球の神殿に転移させてくれ』かの。

 ……っと、そちらにもドラゴンボールがあるんじゃったな。

 それも一緒に持ってくるように頼まねば』

 

「お願いします。

 現在ナメック星人たちには、最長老さまから連絡しているところですので」

 

『わかった。ではこれより1時間後に実行する』

 

そしてきっちり1時間後、ナメック星にいた者すべてが突如として消え去った。

 




ベジータが惑星No.79に帰還したのは戦いの18日後。
ブルマたちが地球を出発したのは戦いの11日後で、到着がさらに34日後。
そしてベジータとブルマたちの到着はほぼ同時。
よって戦闘員用ポッドでの片道移動時間は11+34-18=27日。
しかしフリーザの旗艦が戦闘員のポッドより遅いとは思えないので、およそ半分の14日としました。
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