『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第75話

 

『願いは叶えてやった。

 では、さらばだ』

 

「……今のが地球のポルンガ?」

 

「ポルンガ?」

 

「あ、えぇ。ナメック星のドラゴンボールの龍のことです」

 

「へぇ。こっちじゃシェンロンって呼ぶんだって」

 

すっかり悟飯と仲良くなったデンデは落ち着いたものだが、連絡を受けていたとはいえ突然遠い星に連れてこられたナメック星人たちはざわついている。

 

「ほぉぉ……本当に先代さまやピッコロにそっくりじゃ」

 

「ナメック星の皆様方、ようこそ地球へ。

 儂がこの星の神を務めております、ヒノカミと申す者です。

 ただいま皆様方が滞在する場を整えておりますので、今しばらくお待ちを」

 

先ほどブルマに事情を説明してカプセルコーポレーションの敷地を貸してほしいと連絡した。

あそこには広い中庭がある。100人くらいなら何とかなるはずだ。

ナメック星は自然あふれる星だったらしいので、少なくとも神殿よりは居心地がいいだろう。

先代の宇宙船を解析中のブルマも、是非ナメック星人から直接話を聞きたいと乗り気だ。

しかし巨体の最長老は転移カプセルに収まらない。

ヒノカミが転移で連れて行ってもいいのだが。

 

「申し訳ありませんが最長老さまは今しばらくこの場にお残りくだされ。

 我らの会議に参加していただきたい」

 

「えぇ、もちろん。これは地球とナメック星、双方の危機です」

 

「皆は地球の方々の案内に従ってくれ。

 最長老さまの護衛として私がこの場に残る」

 

「ネイルさん、僕もここにいていいですか?」

 

「儂らは構いませぬ。こちらとしても悟飯の相手をしていただければ」

 

「……わかった」

 

やがてブルマから連絡が入り、ナメック星人たちは一人ずつカプセルコーポレーションに転移で移動していく。

地球からナメック星に向かった9人、ナメック星から最長老とネイルとデンデ、地球に残っていたヒノカミと亀仙人。

以上14名がヒノカミが作り出した巨大な円卓を囲む。

 

「改めて確認したい。

 ナメック星にフリーザ軍がやって来たこと。

 フリーザがドラゴンボールの存在を確信したであろうこと。

 ……サイヤ人を滅ぼしたのはフリーザであったこと。

 これらに間違いはないな?」

 

「「「あぁ」」」

 

「……」

 

ピッコロたちが声を合わせて答えるが、ラディッツは俯いたままだ。

 

「……しかしということは、悟空はただの飛ばし子ではなかったのかもしれんな」

 

「へ?」

「……どういう意味だ?」

 

「以前言うた通り、地球は侵略する価値がない……ドラゴンボールが無ければじゃが。

 そんな平穏で平凡な辺境の星に悟空を送った。

 しかも惑星ベジータが破壊される直前。

 つまりお主らの親は、悟空を捨てたのではなく逃がそうとしたのかもしれん」

 

「あー……そう、なんかな?」

 

「今となっては事実を知る方法などない。

 それこそ神龍にでも尋ねぬかぎりな。

 じゃがまぁ……勝手にそう思っておけば良いのではないか?

 その方がロマンがあろう?」

 

「……うん、そうだな」

 

「誇れよ、ラディッツ。

 貴様の父は強く気高い男だったのだから」

 

「……あぁ」

 

「よし。では本格的に対策を協議しようか」

 

フリーザがナメック星に到着するのは2週間ほど後になる予定。

しかしすぐにもぬけの殻だと気付くだろう。

 

「そして次はこの地球にやってくる」

 

地球にナメック星人がいたこと。

ナメック星に地球人がいたこと。

これらは既に連中のスカウターを通じてフリーザの耳に届いているはず。

ナメック星から地球までどれほどかかるかは正確にはわからないが、1ヵ月後くらいと予測している。

 

「ラディッツ。フリーザの戦闘力は数十万という話じゃったな?」

 

「あぁ。以前フリーザが口にしていたらしい。

 兵士たちの噂話な上に記憶があいまいだが、100万の桁ではなかったのは間違いない」

 

「であれば、地球圏に入って来たところで儂が迎撃に向かおう。

 地球に近付く前に始末する」

 

「……宇宙の帝王も魔女の前では形無しか。

 くくくっ、いっそ『女帝』にでも改名するか?」

 

「んじゃとコラ」

 

ブルマが改良したスカウターは今のところ戦闘力1000万まで測定可能。

それでもヒノカミがちょっと力を解放したら爆散した。

なので彼女は今もスカウターの改良を続けているが、ひとまずヒノカミの戦闘力は1000万以上と判明している。

加えて彼女は宇宙空間でも活動できる。

地球から離れるほどに神としての恩恵が受けられなくなるので戦闘力が低下してしまうが、それでも数十万の相手に後れを取るとは思えない。

 

「今回は流石にヒノカミ頼りか……残り1カ月で数十万はなぁ……」

 

「チッ……オイ、またオレに呪霊錠をつけろ。

 限界ギリギリまで強力にだ。

 今回は貴様に譲るとしても、出遅れたままでいられるものか」

 

「えぇぞ。儂もちっと慣らしておくかの」

 

『永遠快気』により衰えがないのでそもそも必要ないのだが備えはしておくべきだろう。

なにしろヒノカミは神霊になってからは、誰かを相手に本気で戦ったことがないのだから。

何せ並みの世界では存在するだけで世界を崩壊しかねない強大な魂。だからこその端末。

この世界では神霊のまま活動できているが、今のところ全力を出せる相手と出会ったことはない。

外部への出張でも戦闘力1000そこいらの下級戦士しか相手にしてこなかった。

戦闘力100万未満なら問題ないだろうが、念のためと意気込んだところで。

 

 

 

『いかぁ~~~~~~~~ん!!!』

 

「「「うぉわっ!?」」」

 

その場の全員の頭の中に、声が響いた。

 

「この声……界王さまか!?」

 

「なんじゃと?この方が……」

 

『いかん、いかんぞヒノカミ!

 フリーザとはことを構えるな!

 何とかして戦いを避ける方法を探すのだ!!』

 

「儂らの話を聞いておられたのですか。

 しかし何故?もしやフリーザを殺してはならぬ理由があるのですか?」

 

ヒノカミは先代と大魔王のように、フリーザの死が当人以外に影響を及ぼすのだろうかと考えた。

しかしヒノカミの予想は界王からすればとんだ見当違いだった。

 

『……わしがお前にフリーザの討伐を依頼しなかった理由がわかるか!?』

 

「活動範囲が地球から離れすぎているから……ではないのですか?」

 

『違う!お前でもフリーザには勝てぬと思ったからだ!!』

 

「「「なにぃっ!?」」」

 

『わしは界王として、フリーザの動きを注視し続けてきた。

 奴は『変身型』の宇宙人だ。

 何度も変身を重ね、その度にとんでもなく強くなる!

 わしはお前の全力を推測でしか知らぬが、その上で断言する。

 たとえお前であろうとフリーザには及ばぬ!!』

 

「なんだとっ!?」

 

「……ポポ、ブルマに連絡を。

 改良中のスカウターを持って神殿に来るようにと」

 

「はい、神さま」

 




原作にてフリーザ最終形態を前にしたピッコロが『界王のいったとおりだ……なにがあってもフリーザだけには手をだすべきじゃなかった……』と呟いていたことから解釈を広げて、本作では『界王はフリーザの実力をある程度把握している』という設定にしています。
原作セル編にて、カリンが悟空とセルのどちらが強いか推測できていたこともあり、彼らのような立場の者なら互いを見比べれば比較くらいできるのではないかと。

界王も『ヒノカミならフリーザを倒せるかも』と考えたことはあるけれど、フリーザと見比べた結果不可能と判断。
ただしその過程で原作よりもフリーザに詳しくなったという形にしています。
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