『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第76話 神霊ヒノカミ

 

「呼び出してすまんな。

 要件の前に……ナメック星の方々の様子はどうか?」

 

「落ち着いてるけど、流石にちょっと不安そうね。

 故郷に侵略者がやってくるってんだから当然だろうけど」

 

「そうか。すまぬが彼らのメンタルケアも頼む。

 此度の一件、我らが何とかしてみせると伝えてほしい」

 

「……アンタがそんな弱気って珍しいわね。

 もしかして、ヤバイ?」

 

「かもしれぬ。それを調べるためにスカウターが必要なんじゃ」

 

「アンタを測るのよね?

 あれから手を加えてみたけど、今なら3000万くらいまではいけると思うわ」

 

「3000万か……わかった。ひとまずそれで」

 

転移カプセルから出てきたブルマを連れて神殿の広場へ。

その中央にヒノカミが立ち、ブルマや悟空たちが距離を取って彼女を囲む。

 

「では、これより儂の全力を解放する。

 界王さま、見ておられますか?」

 

『うむ』

 

「では、比較をお願いいたします。

 ブルマ、スカウターを」

 

「準備オッケー!思いっきりやっちゃって!」

 

ヒノカミが目を閉じ、精神を集中しはじめる。

普段の彼女とは違う異様な雰囲気に、クリリンたちが思わず息を呑む。

 

 

「『赫烏封月』『白鎖彗星』」

 

『カァァアアアアアアア!!』

『ジシャァァアアアアア!!』

 

「「「ういぃっ!?」」」

 

ヒノカミの右肩に乗っていた三つ脚の烏と、左腕に巻き付いていた白い蛇が巨大化した。

 

「『劫火絢爛』、スピリット・オブ・ファイア」

 

『…………!!』

 

更に巨大な炎の巨人が現れ、3体の化け物が宙に浮かびつつ神殿を囲む。

どれも神龍をも上回る大きさだ。

 

『カアァァ……!』

『ジシャァ……!』

『………………!』

 

「ひ……ひぇぇ……!」

 

「こいつらがヒノカミの眷属とやらか……!」

 

「どいつもとんでもねぇパワーだ……」

 

「『鬼相纏鎧』」

 

「「「!?」」」

 

続いてヒノカミが鬼の鎧を纏い、2メートルを超える筋骨隆々の姿となった。

端末が使っていたものとよく似ているが、感じる圧力はまさに桁違いだ。

 

 

「束ねよ、『大願成珠』。

 ……天神武装『縁炎烏蛇(えんえんちょうだ)』」

 

 

鎧の隙間から覗く胸元の珠が輝き、神殿を囲む3体が吸い込まれる。

 

「「「うわぁっ!?」」」

 

爆発するように炎が燃え上がり、やがて凝縮されていく。

 

『…………』

 

「これが、ばあちゃんの全力……!」

 

鬼の鎧の上から、青い光が走る純白の陣羽織を身に着けている。背中には真っ赤な炎の翼。

二の腕から先は一回り大きな手甲で覆われており、右腕が赤く左腕が白い。

胸にはスピリット・オブ・ファイアと呼ばれた巨人の顔によく似た仮面。

巨大な肩当には鋭い爪が付いていた。

 

「……あっ、ブルマ!」

 

「とっくにオシャカよ。3000万以上は確実ね」

 

ブルマのスカウターはヒノカミが変身する途中ですでに壊れていた。

しかし壊れる瞬間とそのタイミングでの自分の力から、ヒノカミは自分の戦闘力におおよそのあたりをつけた。

 

『推定5000万。これが儂の全力じゃ』

 

「5000万!?マジでオレたちとは桁が違う……!」

 

「……クソッ」

 

ヤムチャは数値化された力の差に戦慄し、ピッコロは超えようとした相手が壁どころか天突く山と言っていい高さであったことに悪態をつく。

 

『……界王さま。いかがでしょうか』

 

「!そうだ、界王さま!

 どうですか、ヒノカミさんは!

 やっぱりフリーザってのより強いんじゃないですか!?」

 

クリリンは『そうであってくれ』と願うように、この場にいない界王へと叫ぶ。

 

『…………』

 

「え……まさか……!?」

 

『……やはりフリーザの方が、ヒノカミより上だと思う』

 

「「「げげげっ!?」」」

 

「馬鹿な……5000万だぞ……!?

 側近のドドリアたちが2万だったんだぞ!?」

 

「おったまげたぁ……まさかばあちゃんより強ぇ奴がいるなんて……」

 

『はぁ~……ビビっとるのは儂の方じゃ』

 

己惚れていたつもりはないが、まさか神霊となり地球の神として修行を続けてきた今の自分よりも強い存在が『アイツ』以外にいるなど思いもしなかった。

 

(……ちっ、久しぶりに嫌な奴の顔を思い出してしもうたわ)

 

彼女の脳裏に『あの女』のせせら笑いが浮かび、思わず怒りがこみ上げてくる。

一度覚えたことを簡単に思い出せるこの記憶力には助かっているが、思い出したくないことまですぐに思い出してしまうのが厄介だ。

 

「「「……」」」

 

『……ん?どうしたお前ら』

 

「いや、なんか今とんでもない殺気が……」

 

『あぁ、すまんすまん。

 して界王さま。儂とフリーザの力の開きはいかほどでしょうか?』

 

『……手も足も出ぬ、というほどではない。

 だが10度戦えば8度は敗北するじゃろう』

 

「嘘だろ……」

 

『そしてお前の今の力は地球にいるからこそだ。

 地球を離れればその分弱くなる。地球が破壊されても同様だ。

 そうなれば10度戦えば10度負ける。

 お前は地球の上で、フリーザから地球を守りながら戦えるか?』

 

『……無理、でしょうな」

 

能力を解除し普段の姿に戻りながら呟く。

 

「しかしフリーザがドラゴンボールの存在を知った以上、衝突はもはや避けられませぬ。

 残り1カ月……限界まで追い込むしかないかと」

 

『むぅ……』

 

「……オレたちも修行しよう。

 今度こそ地球の危機なんだ。ヒノカミの捨て石でもなんでもいい。

 少しでも強くなって、勝率を上げるために……!」

 

「……だな!よぉし、いっちょやってみっか!」

 

「悟空、お前ちょっとワクワクしてるだろ?

 なぁラディッツ、サイヤ人ってのはみんなこんななのか?」

 

「……」

 

「ラディッツ?」

 

「……ヒノカミ。提案……いや、頼みがある」

 

「なんじゃ?」

 

 

 

「ベジータと話がしたい」

 




・天神武装『縁炎烏蛇(えんえんちょうだ)

神霊ヒノカミの天神武装。
聖光気による気鋼闘衣であり、『大願成珠』を媒介とした3体の霊の甲縛式オーバーソウルでもある。

右腕の手甲と炎の翼は『赫烏封月』、左腕の手甲と陣羽織は『白鎖彗星』、胸部の仮面と肩当に擬態した副腕は『スピリット・オブ・ファイア』の要素で構成されている。
手甲を除き、それぞれ『瞬閧・爆炎無双』『シルバースキン』『SOF黒雛』の能力を模倣している。

縁:ヒノカミ
炎:スピリット・オブ・ファイア
烏:赫烏封月
蛇:白鎖彗星
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