『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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白状します。
『ヒノカミならこうするだろう』という予測で動かしたら悟空たちを鍛え過ぎました。
当初の物語の予定がぶっ壊れた……。
ストーリーを考え直しながらこの話を書いてます。


第80話

 

特訓開始から13日目。

悟空たちとは正味1年、自分だけならおよそ12年という修行期間を終えてヒノカミは精神と時の部屋から出てきた。

その修行の成果は。

 

「戦闘力6000万、ってところね」

 

「2割増しか」

 

ついにブルマのスカウターの性能がヒノカミを追い越し、正確な戦闘力の計測が可能になった。

しかし表示された数字は満足のいくものではなかった。

 

「今までの儂の成長速度から見ればとんでもない成果ではあるのじゃが……」

 

『まだフリーザの方が上であろうな』

 

界王の言葉を聞きヒノカミはため息をつく。

 

結局彼女の力はフリーザに届かないままだった。

フリーザが地球に来るのは半月以上先と予測しているが、この成長速度ではおそらく間に合わない。

 

『……だが、嬉しい誤算もあった』

 

「儂としてはたまったものではないですがの」

 

ヒノカミの訓練相手を務めていた悟空たちの方が劇的に成長したのだ。

 

サイヤ人たちは流石に戦闘民族を自称していただけのことはある。

戦いと死と復活の繰り返しで急激に強くなった。

現在の悟空の戦闘力は、安定発動できる10倍界王拳で6000万。

ヒノカミの強さは純粋なパワーよりも多彩な特殊能力と戦闘経験によるところが大きいのでまだ負けはしないが、数値だけなら並ばれてしまったのだ。

続くベジータが5500万、ラディッツは5000万とこちらもあと一歩と言ったところ。

 

ピッコロは4000万。

今までの修行では一心同体である先代を慮ってピッコロだけは殺さないようにしていたが、二人の決意表明を受け特別扱いをやめた。

ピッコロが精神と時の部屋で生死の境を反復横跳びする度に、神殿の一室にて突然死と復活を繰り返す先代とそれを見守るミスターポポの姿は、中々にシュールな光景であったそうだ。

 

地球人組の4人は異星人組ほどには基礎能力が向上はしなかった。

しかし彼らは以前ヒノカミから学び修めた『天神武装』があり、今回新たに彼女から学んだ『界王拳』がある。

ヒノカミ自身は使えないが、界王から学んではいたので教えることはできる。

そして天神武装を使い慣れている彼らは悟空以上に高い強化倍率で二つの技を併用できる。

それでも戦闘力は2500万と劣るが彼らには固い結束とチームワークがあり、連携すればヒノカミとて容易な相手ではない。

 

戦闘力6000万のヒノカミと悟空。

戦闘力5500万のベジータ。

戦闘力5000万のラディッツ。

戦闘力4000万のピッコロ。

戦闘力2500万のヤムチャたち4人。

フリーザの戦闘力がどれほどかはわからないままだが『全員で力を合わせればきっと倒せる』と界王も太鼓判を押した。

むしろ悟空らがこのままのペースで成長すれば労せずフリーザを倒せるようになるかもしれない。

……と考えたがそうはいかなかった。

最近になって彼らの成長が鈍化し始めたのだ。

 

ヒノカミのデスマーチにより彼らの精神は崩壊寸前。

何より協力してとは言え、彼らは目標であった『ヒノカミの打倒』を成し遂げてしまった。

モチベーションが維持できず、現状ではこれ以上の急激な成長は望めまい。

よって悟空たちの修行はこれにて終了。

そして今はまだ『フリーザがナメック星に到着する前』だ。

 

『フリーザが到着するのは地球の時間で明日の正午頃になるだろう』

 

「では明日の朝、悟空らをナメック星に送り込みます」

 

悟空たちは『まずは自分たちだけで戦わせてくれ』と願い出た。

『これまでの鬱憤を全てぶつけてやる』と乗り気だ。

それを本当にぶつけるべき相手は彼らの目の前にいたが、原因はフリーザだ。決して八つ当たりではない。

 

地球の神であるヒノカミは地球周辺でしか戦えないが、それでは地球に被害が及ぶ可能性が高くなる。

しかし今は無人であるナメック星ならば住民への被害を考える必要がない。

 

ナメック星で殺されるとヒノカミでも蘇生できないし、地球のドラゴンボールは少し前に使ったばかり。

ナメック星のドラゴンボールは3つまで願いが叶えられるが、人を蘇生する場合は1人ずつしかできないという縛りがあった。

だがヒノカミはあの世に行けるし、天国にいる魂を現世に連れ帰って蘇生できる。

ラディッツとベジータは地獄に落ちるだろうが二人だけならナメック星のドラゴンボールで対処すればよい。

よって失敗したとしてもリカバリーがきく。

 

メリットとデメリットを天秤にかけ、ヒノカミと界王は悟空たちの懇願を受け入れることにした。

 

「これでフリーザを打ち倒せれば良し。

 できずともフリーザの本当の力を知ることができる。

 想定の範囲内であれば儂も含め、改めて地球で迎え撃つ。

 想定以上であれば……」

 

先代がピッコロと融合する。

 

最長老曰く二つに別れる前の彼は『龍族の天才児』であり、今の強くなったピッコロならば元通りに一つに戻りさえすればフリーザすら敵ではないだろうとのこと。

しかし一度融合すれば再び二つに別れることはおそらくない。

そして融合するならベースになるのは若くて力強いピッコロの方。

先代の影響はピッコロの中に残るだろうが、存在そのものは溶けて消えることになる。

 

「『地球のドラゴンボールが使えなくなる』という点でも、避けたいものです」

 

『だがお前たちがフリーザに敗れれば同じことだ』

 

当人らも覚悟している。

ヒノカミが余計な口を出すのは無粋というもの。

 

「……悟空らを送り込む時間ギリギリまで、もう一度部屋に入ることとします」

 

『そうか……あまり自分を追い詰めるなよ』

 

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