『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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原作にて悟空とフリーザが戦った際、フリーザは『マックスパワーの半分も出せば宇宙のチリにできる』と宣言。
フリーザのフルパワーは1億2000万らしいので、原作の悟空は10倍界王拳で6000万以下。
20倍界王拳を使ってもフルパワーでないフリーザ(1億程度?)を圧倒できず『痛かった』程度だったことから、原作の悟空は10倍界王拳で4000万、20倍界王拳で8000万程度と推測しています。

そして本作での悟空は10倍界王拳で6000万。1.5倍です。
そこに原作悟空以上のベジータとラディッツ、原作悟空と同等のピッコロ、連携すれば原作悟空よりも強い地球人たちが追加されています。


第82話 元気玉

 

フリーザの戦闘力は、驚異の1億。

挑む8人の中で最も強い悟空でさえ戦闘力6000万、多少無理をすれば瞬間的にはもっと上がるだろうがそれでも2倍近い開きは埋められない。

数字だけを見れば悟空たちの敗北はわかり切った結果だったろう。

 

だがフリーザを相手に、彼らは善戦していた。

一人ずつ始末すれば良いと考えていたフリーザだが、未だ誰一人として脱落させることができずにいた。

 

「くっ、こいつら……!?」

 

(なぜこんなに、連携が上手い!?)

 

悟空、ラディッツ、ベジータが入れ替わりながらフリーザに接近し攻撃を仕掛け。

フリーザが大きく動く素振りを見せればピッコロの魔貫光殺砲とクリリンの気円斬が行く手を阻み。

天津飯の分身と、ヤムチャが暴風で操る岩塊がフリーザの視線を遮り注意を引き。

フリーザが放つ気弾はチャオズが全力で、ほんのわずかに逸らす。

 

相手の狙いを分散させる位置取り。

視線すら交わさずこなす意思疎通。

的確なタイミングでのスイッチ。

『合体技』という、強者にはあり得ない発想。

彼らは『力を合わせて一人の強敵と戦う』ことに慣れすぎていた。

 

「このっ……虫ケラどもがぁ!!」

 

連中の攻撃そのものは大したダメージはない。

しかしこうも身動きが取れず鬱陶しく動き回られては、一度は冷静さを取り戻したフリーザでも苛立ちを隠せない。

全身からエネルギーを解放して全方位攻撃を仕掛けるが、攻撃範囲を広げれば当然威力は落ちる。

距離を取らせることはできたが、サイヤ人たちに通じるはずもない。

地球人たちもなぜか妙に頑丈なのでそちらも大したダメージはないようだった。

 

「へっ、化けの皮が剥がれてきやがったな!フリーザさんよ!!」

 

「ベジータぁ……!」

 

かつてフリーザは、サイヤ人を惑星ごと破壊し滅ぼした。

それは『飛びぬけた力を持つサイヤ人が徒党を組んで反逆してくる』ことを恐れたからだ。

まさしく今この状況を指しているようではないか。

 

(ラディッツとその弟だという奴は、まだわかる!

 奴らの父親であるバーダックとやらはサイヤ人にしては珍しく、仲間意識が強いやつだった!

 ……だが何故ベジータがここまで他人に合わせられる!?

 あのプライドの塊が!地球でこいつらと殺し合いをしたはずだろう!?)

 

徒党を組んだサイヤ人を恐れはしたが、そもそもサイヤ人はどいつもこいつも『唯我独尊』を地で行く奴らだ。

仲間とは力を合わせる隣人ではなく獲物を取り合う競争相手。

それがサイヤ人という蛮族だったはずだ。

 

(こいつらの戦闘力も振る舞いも、サイヤ人ではない!

 まさか本当に『超サイヤ人』……違う!あんなものは下らんおとぎ話だ!!)

 

 

 

 

一方の悟空たちも必死に隠しているが、激しい疲労と焦燥感に襲われていた。

 

(こいつ、これだけやっても……!)

 

(フリーザ……マジで化け物だぜ……!)

 

彼らは会話やアイコンタクトを交わさずにいたが、コミュニケーションを取っていないわけではない。

チャオズが超能力で各々の心の声を中継し、更に自身の視界や察知した情報を共有することで連携していたのだった。

そしてここまで食らいついてこられたのは、フリーザはヒノカミのような馬鹿げた察知能力を持っていなかったから。

そういう点ではむしろヒノカミより戦いやすい相手ではあったが、頑強さと生命力はフリーザの方が圧倒的に上だ。

スタミナの消耗も著しい。仙豆を食べて回復したいところだがそんな便利な道具を持っていることを知られるのは不味い。

万が一奪われて回復されたらおしまいだ。

なので全員が一粒ずつだけ隠し持っており、食べるなら一斉にと厳命されていた。

そして今の状況ではその隙が無い。

 

(……みんな!オラが今から思いっきりつっこむ!

 その後しばらく身を隠すから、なんとか時間を稼いでくれ!!)

 

(!?やるのか、『元気玉』とやらを!!)

 

(あぁ、このままじゃ埒が明かねぇ!

 フリーザを一気に追い詰めるにはこれしかねぇ!!)

 

悟空が界王から学んだもう一つの技『元気玉』。

周囲の生命や自然からエネルギーを搔き集め、気弾を作り出す。

ナメック星は自然にあふれているが生命が非常に少ない。

しかし周辺の星々からも元気を分けてもらえば、フリーザを倒すほどの威力が出せるはずだ。

 

「はぁああっ!!!」

 

「!?」

 

元気玉には自分自身の力はあまり必要ではない。

だからその前に少しでもフリーザにダメージを蓄積させようと、悟空は界王拳を10倍から15倍にまで引き上げた。

制御限界を超えて倍率を引き上げるのは自殺行為だが、一瞬だけなら多少の反動がくるだけで済む。

 

「だっ!!」

 

「がっ!?」

 

悟空の拳がフリーザの頬に突き刺さる。

 

「か、め、は、め……!」

 

「散れっ!!」

 

「「「おう!!」」」

 

吹き飛ばされたフリーザは姿勢を崩している。

この一撃に、悟空は持てる力のほぼ全てを込める。

 

「波ぁーーーーーーっ!!!」

 

「なにぃっ!?ぐぁぁぁああっ!!」

 

10倍界王拳で戦闘力6000万だった。

15倍ならフリーザに迫る9000万だ。

まだ心のどこかに油断があったフリーザはまともに攻撃を喰らい、今までで一番のダメージを受けた。

 

「かかれぇーーーーーーっ!!」

 

「「「うおおおおぉーーーーっ!!!」」」

 

力を使い果たした悟空がその場を離れて隠れ、ベジータの合図で全員が一斉にフリーザに襲い掛かる。

 

「ぐっ、くそっ、貴様らぁーーーーっ!!」

 

 

 

悟空はほんの少し離れた岩山の影で両手を広げ、天に突きあげる。

本当ならもっと距離を取りたいところだが、そうするとフリーザからも見えやすい位置に元気玉ができてしまう。

皆が注意を惹いてくれているとはいえ、死角である真上が望ましい。

距離が近ければその分避けられる可能性も低くなる。

 

(もう少し……もう少し……ギリギリまで……!)

 

 

 

「風神・かめはめ波ぁーーっ!」

 

「大気円斬!!」

 

「「「気功砲!!」」」

 

「四連スーパーどどん波ぁーーっ!」

 

「激烈光弾!」

 

「ファイナルスピリットキャノン!!」

 

「ファイナルフラーーーッシュ!!」

 

全員の全力の気功波が、全方位からフリーザへと襲い掛かる。

通じなくてもいい。最悪当たらなくても構わない。

爆風でフリーザの動きと視界をふせぐことができれば十分だ。

悟空が元気玉を完成させるまでの時間を稼げばいいのだから。

 

「ぐっ、くぅっ、この……!」

 

「フリーザ!!」

 

「!?」

 

眼下で大声を出したラディッツに、上空にいたフリーザの視線が向く。

 

「……貴様の負けだ」

 

「なんだとぉっ……!?」

 

よく見れば周囲にいるベジータやナメック星人、地球人たちまで不敵な笑みを浮かべている。

 

 

「やれぇ!カカロットぉーーーっ!!」

 

「いけぇーーーーっ!!」

 

思えばいつの間にか姿を隠していたサイヤ人の声がこの場に響く。

そしてフリーザの頭上から、光が迫ってくる。

 

 

「なっ、なんだコレはぁ!?」

 

迫りくる巨大なエネルギーの塊を、フリーザは咄嗟に受け止めた。

その隙に悟空たちは急いでその場を離れる。

 

「こ、こんなもの……!

 こんな……こっ!

 うあああぁーーーーーっ!!!」

 

フリーザはエネルギーに押しつぶされ、巨大な爆発に飲み込まれた。

 




本作の悟空は肉体的にはもう少し余裕があるんですが、天神武装との併用で制御難易度が上がっているため安定して使えるのは原作と同じく10倍界王拳としています。
上限も原作の20倍に対し、本作では15倍まで。
ただし基礎戦闘力が違うので、原作8000万に対し本作9000万となっています。
加えて肉体の強度と生命力は本作の方がかなり高いため、限界を超えた後の反動が少なく回復も早いです。
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