『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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独自解釈からオリジナル設定を盛り込んでいます。ご注意ください。


第88話 後始末

 

ヒノカミが悟空らと共に地球に帰還し、ポルンガに復活してもらった数日後、彼女はナメック星を訪れていた。

とある理由から彼女はまだ先代に地球の神の座を預けたままであり、その転移能力があれば宇宙のどこであろうと一瞬で行ける。

ただし今日は強引にだが、一時的に地球の神に戻っている先代も連れて来ている。

神が担当する惑星を遠く離れることは本来不可能だが、ヒノカミが地球と繋がる穴を開いた状態で維持することで強引に『地球のすぐそばにいる』という状況を作り出していた。負担も大きいので戦いながら維持するのは不可能。なのでフリーザ相手では使えない手段だったが平時なら問題ない。

 

「……本当に、よろしいのですか?」

 

「えぇ。私の命も、もう間もなく。

 ならば未来へと繋げたいのです」

 

彼らの目の前には寿命が尽きようとしている最長老がいた。

 

ナメック星人には『同化』という能力がある。

同種の者と融合することでベースとなった側の能力を劇的に高めることができるというものだ。

そして最長老は、自分が先代と同化し彼の糧となることを望んだ。

 

ナメック星の未来を思えば同じ星に住む他の誰かとにすべきではないかと聞き返したが、この星にいるナメック星人は全て最長老の実子。

どうしても親である最長老の方が立場が強く、子の方をベースにしようとしても失敗する可能性が高いという。

 

「アナタもいずれ、彼に託すのでしょう?」

 

「……えぇ、そのつもりです」

 

最長老は先代とピッコロの潜在能力を解放する際に、彼らの記憶を読み取っている。

他のナメック星人たちはピッコロが先代の子と誤解していたようだが、実際には彼の中に入り込んだ悪の心が分離した半身だと知っている。

そして先代もいずれは生まれ変わったピッコロに同化するつもりであることも。

先代自身も非常に高齢であり、ナメック星人は地球人よりも非常に寿命が長いようだが残された時間は決して長くない。

そして先代はもはやピッコロを悪とは思っていない。生まれ変わり若くなった彼を死なせないためにも彼と同化する選択は当然と言えよう。

 

「ならばこそです。私からアナタへ、そしてアナタから彼へ。

 か細く消えていくだけだと思っていたこの命が未来へと受け継がれていく。

 これほどうれしいことはありません」

 

「……わかりました。

 その思い、受け取らせていただきます」

 

ベースとなる先代がゆっくりと最長老に近付き、その体に手を添える。

 

「ネイル、今までありがとう。

 そしてナメック星の未来を頼んだぞ」

 

「最長老さま……お疲れ様でした」

 

「では……さらば」

 

最長老は光となり、先代の体に吸収されていった。

 

「…………」

 

(劇的に力が増しただけではない……力の流れ方までもがまるで変った)

 

自分の掌を見つめる先代の体から先ほどまでとは比べ物にならないエネルギーを感じる。強く、そしてどこか優しい力だ。

 

(これが『同化』か……ピッコロが先代さまと『同化』すれば……)

 

おそらく超サイヤ人にとなった悟空すらも大きく超える。

仮にフリーザと戦った時のピッコロが先代と同化した状態だったとしたら、フリーザが惑星を破壊する前に仕留められただろう。そして惑星を破壊されたとしても天神武装が切れる前に一瞬で始末できたはずだ。

 

(……そうなったら、本格的に引退かの)

 

強ければいいというわけではないが、弱い者が星の代表たる神を名乗るのもおかしな話だろう。

そもそもヒノカミは異界の存在なのだ。いつかは誰かに託し、この世界を去るつもりでいる。

代替わりはもう数百年は先の話だと思っていたが、意外と早くなりそうだ。

 

「……では、私はこれにて」

 

「またお会いできる日を心待ちにしている」

 

ナメック星の最長老の座はムーリという者が継ぐそうだ。

唯一の戦闘タイプのナメック星人であるネイルは彼の下に移住する予定となっている。

 

「何かあればすぐに連絡を。必ず駆けつける」

 

「かたじけない」

 

ヒノカミはネイルに地球と繋がる通信機を渡す。

悪人がドラゴンボールを悪用すれば宇宙全体の危機。

今後は地球とナメック星で連絡を密に取り合い連携していくつもりだ。

 

先代がヒノカミの維持している穴を通って、地球へと帰って行った。

彼が通り過ぎたところでヒノカミは穴を閉じる。

 

「それでは儂も失礼しよう」

 

「ご武運を」

 

「なぁに、もはや残るは雑兵だけじゃ。

 ……では界王さま、案内を頼みます」

 

『うむ、まずは惑星No.79とやらからだな』

 

突如フリーザとの連絡が途絶え狼狽えているであろう今がチャンスだ。

これからヒノカミは宇宙を巡り、フリーザ軍残党の掃討を開始する。

規模こそとんでもないが、フリーザ以外は戦闘力数万が精々の集団だ。

フリーザとの戦いを乗り越え成長し、神の座を降りても戦闘力5000万を発揮するヒノカミの敵ではない。

そして彼女は転移能力を持ち経戦能力に優れあらゆる環境で活動できる。

数年はかかるだろうが端末は地球に残してあるし宇宙からでも遠隔操作はできる。何の問題もない。

 

「さぁて……後始末じゃ」

 

界王に指定された座標に転移したヒノカミは、フリーザ軍の基地を見下ろし冷酷に宣言した。

 

 

以降、ヒノカミは界王のナビゲートに従い宇宙中に存在する惑星フリーザを巡りフリーザ軍を殲滅していった。

脅迫され従っていた者は見逃したが、悪辣な者は一人残らず始末した。

支配された惑星を解放し、そして次の惑星へ。

一部での噂でしかなかった『魔女』の異名は瞬く間にフリーザ軍全体に広がり、対してフリーザ軍に苦しめられていた惑星の民は彼女を『天女』と崇めた。

地球という辺境惑星の神『ヒノカミ』の名は宇宙中に轟いた。

 




フリーザ軍残党は超まで生き延びて色々余計なことをしてますが、本作ではこの時点で大打撃を受け壊滅状態となります。
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