『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第89話 ギニュー特戦隊

 

「待てぇ~~~~い!!」

 

「……?」

 

幾つもの星を巡りフリーザ軍の残党を駆除する旅を続けて暫く。

今日もとある星の基地に襲撃を仕掛けていたところで、勇ましい声がヒノカミを呼び止める。

 

種族も体格もバラバラな5人の異星人。

しかし自信に満ちた表情でヒノカミの前に降り立ち、横一列に並ぶ。

 

 

バッ「リクーム!」

 

バッ「バータ!」

 

バッ「ジース!」

 

バッ「グルド!」

 

バッ「ギニュー!」

 

 

「「「「「みんな揃って……『ギニュー特戦隊』!!!」」」」」

 

 

高らかに名乗りを上げると同時に力強いポージングを披露する5人組。

それは見る者の大半を脱力させる異様さではあったが、その実力は本物。

彼らこそがフリーザが全宇宙からの精鋭だけを集めた超エリート部隊『ギニュー特戦隊』。

フリーザ亡き今、事実上のフリーザ軍最大戦力は彼らということになる。

 

 

「……なるほど、貴様らが噂のギニュー特戦隊か。

 儂がこの星に来ると予測し待ち構えていたというわけじゃな」

 

「フフフ……その通りだ魔女よ。

 我々が来たからには貴様の命運もここまでだ!

 フリーザさま不在の隙を狙う卑怯者め!

 フリーザさまに代わり、貴様を退治してくれる!」

 

「大言壮語を、とは言うまい。

 聞きしに勝る勇ましき雄姿……よほどの益荒男共と見た!」

 

「ほぅ、女ながらに中々わかっているではないか」

 

ヒノカミのセンスは割りと彼らに近かった。

 

「じゃがフリーザは既に散った。

 亡き主君への忠義は見事であるが、そろそろ新たな道を歩んでも良いのではないかな?」

 

「何を世迷い事を、フリーザさまがやられるはずがない!

 我らの戦意を挫こうというつもりだろうがそうはいかんぞ!?」

 

「……まぁ良い。やるというなら相手になろう。

 貴君らに敬意を表し、こちらも戦装束にてお相手仕る!」

 

いつものように一瞬で変化するのではなく、敢えて仮面だけを先に作り出す。

そしてゆっくりと顔に被せて宣言。

 

「……『鬼相纏鎧』!!」

 

「「「ぬぅっ!?」」」

 

突如現れた爆炎が女神を包み、炎の中から巨躯の鬼が姿を現した。

 

「……我が名はヒノカミ!辺境の星より参った神の一柱!

 悪しきをくじく武神なり!!」

 

「くっ……コイツ、想像以上に手強いぞ……!?」

 

 

『カァ……』

『シャ……』

『…………』

 

ノリノリで名乗りとポージングを返す主人に3体の霊が呆れていた。

そしてたじろぐギニューたちも、まだ戦ってもいないのに一体何が手強いというのか。

 

「えぇい、臆するな!やるぞ!ファイトーーー!」

 

「「「「オーーーーーッ!!!!」」」」

 

掛け声と共に突撃するギニュー特戦隊。

 

「かぁぁぁぁああああ!!!」

 

気合と共に力の一部を開放する鬼神。

 

ボボボボボンっ!!

 

「「「「「へ?」」」」」

 

一斉に爆散するギニューたちが身に着けていたスカウター。

そして始まる蹂躙劇。

 

わかり切った結果ではある。

一番強いギニューが戦闘力12万。

対するヒノカミは戦闘力5000万。

400倍以上の戦闘力差を覆せるはずもなかった。

スピードも、パワーも、何もかも桁が違う。

グルドは『時間を止める』という能力を持っていたが、同種の能力を持つヒノカミは止まった時間の中で普通に動いていた。

ギニューもまた相手と肉体を入れ替える『チェンジ』という技を持っていたが、その技の正体がわからずともヒノカミがわざわざ受けてやる理由はない。

見た目や速度は普通の気弾と変わらないのであっさりと回避した。

ちなみに仮に当たったとしても不発に終わる。彼女は霊体であるため最初から『入れ替える肉体を持っていない』。

 

「がはっ……バカな……!」

 

「オレたちはギニュー特戦隊なんだぞ……!

 辺境の星の神なんかに、手も足も出ずにやられるなんて……!」

 

「いやいや見事なものじゃよ。

 加減したとはいえ、まだ息があるとはな」

 

「く……そぉ……!」

 

「……だがいい気になるなよ。

 我らが倒れようと、フリーザさまが必ずお前を……!」

 

「……ふぅむ」

 

彼らの発言に対し顎に手を当て思案する。

気にはなっていたのだ。

悟空がフリーザを倒してすでに1年以上が経過していると言うのに、未だに士気が高いままのフリーザ軍の様子を。

 

「なぁ貴様ら……ちょぉ~~~っとばかし、話聞かせてもらえるかの?」

 

「「「……!」」」

 

気の大きさを測る力を持たない彼らもようやく実力差を痛感したらしい。

抑えていた力全てを放出して凄む鬼の威容に、5人は一斉に息を呑んだ。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

「おい!いきなり戻って来たかと思えばオレたちを呼びつけるとはどういうつもりだ!」

 

「……ってあれ?その後ろの山は?」

 

突如神殿に呼び出された一同は久しぶりに端末ではない神霊のヒノカミと対面し、次に彼女の後ろに積み重ねられた意識の無い異星人たちが目に入る。

 

「まさか……ギニュー特戦隊!?」

 

「うむ。色々ともったいない逸材だったんでな。

 人手も欲しかったところじゃし持って帰って来たんじゃ」

 

ギニュー特戦隊の戦いぶりを体感したヒノカミは、割と本気で彼らを『惜しい』と思った。

少なくともヒノカミに対して、彼らは卑劣な手段を用いず真っ当に戦った。

仲間たちと連携して挑み、しかし自分や仲間の死を恐れているわけではない。

戦士としての心構えができている。そして何よりかっこいい。

 

ヒノカミはフリーザ軍残党を処理し続けているが、それが終われば宇宙では混乱が生じるだろう。

そして本来ただの辺境惑星の神に過ぎないヒノカミは宇宙のその後まで面倒を見続けることはできない。

なので宇宙の治安を維持するために活動する戦力が欲しいと思っていたのだ。

ヒノカミやフリーザには大きく劣るが宇宙全体で見れば非常に高い戦闘能力。

侵略者としてだが宇宙をまたにかけて活躍した実績。

本人たちの気質とヒロイックな振る舞い。

彼らはヒノカミの求める条件に合致していた。

 

「題して、『ギニュー特戦隊ヒーロー化計画』!」

 

「……元フリーザ軍だったオレとベジータに口出しする権利はない。

 だがそんなことを伝えるためにわざわざ集めたわけではないだろう?」

 

「おう。コイツらから話を聞いて界王さまに調べてもらったところ、ちと厄介な事態が発覚してな」

 

「「「?」」」

 

 

 

「フリーザの奴、どうにも生きとるっぽいんじゃよなぁ……」

 




ギニュー特戦隊、今後特に活躍する予定はありませんが、味方・生存となります。
ギニューのチェンジはアウトなんですが、原作でもそれを使うまでは割と真っ当な連中だったので。

なによりヒノカミは嬉々として彼らと並んでポージングを取るセンスの持ち主です。
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