『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

347 / 786
物語の都合上、ヒノカミのいる世界とトランクスの世界は同じペースで時間が進んでいくものとします。
詳細は本文にて。


第93話

 

人造人間について判明している限りの情報を受け取ったところで、トランクスは未来に戻ると言い出す。

今からヒノカミが彼に同行して彼の世界の死者を蘇生することもできるが、人造人間が健在ではまたすぐに殺されてしまう。

なので先に彼の世界の人造人間を倒さねばならない。

そしてトランクスにも劣るヒノカミでは人造人間は倒せない。

トランクスの提案通り、悟空に頼るしかない。

こちらの世界では悟空に匹敵するベジータとラディッツもいるが。

 

そして後で正確に調査する予定だが、近似世界が似た流れを辿る以上こちらの世界でも人造人間は出現すると考えるべきだろう。

この世界の時間軸で人造人間が現れるのは3年後。

なのでこれを目安として悟空たちに修行をしてもらい、人造人間たちを超える力を身に着けてもらう。

そしてこの世界の人造人間と戦い倒した後で、彼らにトランクスの世界に行ってもらいそちらの人造人間も倒してもらう。

ヒノカミが復興に動くのはその後だ。

 

そしてトランクスは3年後にもう一度この世界を訪れ、悟空たちと共に人造人間と戦うつもりでいる。

 

「だったらこっちに残って人造人間たちをやっつけて、それから元の時間に戻るんじゃ駄目なんか?

 往復分のエネルギーってのを貯めるのも大変なんだろ?」

 

「いや、一度繋がった時間を下手にずらすのも良くない。

 それこそ平行世界が分岐し、救われぬ世界が生じる可能性がある」

 

ヒノカミが確認したところこちらの世界にトランクスが現れた時間と、トランクスの世界で彼が旅立った時間が同期しているようだ。

つまりこちらの世界でトランクスが過ごした分だけトランクスの世界の時間も経過している。

人造人間に対抗できるただ一人の戦士を失っては間もなく地球人は全滅するだろう。

ヒノカミが後でまとめて蘇生できるとはいえ見殺しにするのも気分が悪い。

しかしということはトランクスは元の世界に戻って3年間、一人で戦い生き延びなければならない。

 

「仙豆じゃ、もってけ」

 

「!?こんなにたくさん……いいんですか!?」

 

「こっちじゃ大量に栽培しておるでな。あとはこれも」

 

ヒノカミは仙豆がぎっしり詰まった小袋に続いて小さな水晶球を取り出す。

 

「お主の気配は覚えたが、他にもお主がおる近似世界はあるじゃろうからな。

 正確に転移するための目印じゃ。

 万が一3年後になってもお主が現れぬ場合はそれを辿ってこちらから出向く」

 

「何から何までありがとうございます。

 ……皆さんと会えて希望が持てました」

 

「生き残ることを最優先とせよ。後で儂らが全てなんとかしてやる」

 

「変えようぜ、未来」

 

「はい!!」

 

トランクスは飛び立ち、悟空とヒノカミは仲間たちのもとへと戻る。

 

「随分かかったわね。結局あの子は何だったの?」

 

「ちぃと長くなりそうなんで、悟空の家の大部屋を借りようかの」

 

「チチー、わりぃけどみんなの分の茶を用意してくれねぇかー」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

この世界の未来ではないとははっきりしているが、全て話すとこの世界でトランクスが生まれなくなる可能性が高い。

彼の名前や出生はぼかして可能な限り情報を公開する。

 

「……未来からってんなら、嘘くさいって思ったが」

 

「平行世界ねぇ……そっちなら目の前に前例がいるし」

 

「かっかっか」

 

「その二人の人造人間とやらはどれくらいの強さなのだ?」

 

「あの青年で、1対1なら辛うじて戦えるくらいらしい。

 だが厄介なことにエネルギー切れがないとか」

 

「それは面倒だな……全くもって面倒な敵だ」

 

「貴様らいい加減に儂から視線を外せ」

 

改めてプランを提案する。

戦士たちにはこれから3年間、人造人間との戦いに備えて修行してもらう。

トランクスより少し強いくらいなら3人の超サイヤ人でかかれば勝てる可能性はあるが、少しでも勝率を上げておきたい。

可能なら1対1で互角に渡り合えるようになるくらいが望ましい。なぜならば。

 

「青年が乗って来たタイムマシン、どう見ても一人乗りなんじゃよ。

 悟空に来てもらうというのも青年と入れ替わる形を想定していたんじゃろうな。

 儂なら自力で行けるが平行世界の移動は神経を使う。

 連れていけるのは両手に一人ずつで二人が限度。

 短時間に何度も往復するのも避けたい。

 空間に負担がかかり、転移に失敗する危険性が増すからの」

 

「つまり、こちらから送り出せるのはヒノカミの他に三人までか」

 

「やはり青年もその場に居合わせたかろうから、二人じゃな。

 青年と儂も無力ではないが戦力と数えるにはちと弱い。

 なんでこちらが送る二人で人造人間二人と互角以上でなければ。

 誰を連れていくかは三年後に儂が判断する。

 その人造人間との相性もあるじゃろうから、場合によっては悟空を外すことも検討する」

 

「えぇ~?そりゃねぇぞばあちゃん。

 トラ……ゴホン!アイツはオラに頼みに来たんだぜ?」

 

「一つの世界の命運がかかっているわけじゃからな。

 身内びいきも無しじゃ。考え得る最善を尽くす。

 しかし一番強い者はよほどの理由がない限り選ぶつもりじゃ」

 

「よっし!そう言うことならオラ負けねぇ!」

 

「フン!ナンバーワンはオレだ!

 貴様は精々2番手として選ばれることを祈っておくんだな!」

 

「なぁんで楽しそうに言うかなぁ……。

 別世界とは言えオレたちみんな殺されるような相手なんだろ?

 戦わずに済むならそれが一番じゃないか……」

 

クリリンたちも半ば惰性のようにこの1年間も修行を続けていたが、超サイヤ人になった悟空とは覆しようもないほど実力差が広がってしまった。

多少強くなったが未だフリーザにも及ばない。

だと言うのに今度はそのフリーザよりも強い敵が現れると聞いて、完全に落ち込んでいた。

 

 

 

「だったら人造人間を造ったドクター・ゲロってのを今のうちにやっつけちゃえば?」

 

「「「!?」」」

 

今は人造人間たちが動き出す3年前だ。

既に完成しているとは思えない。

 

「そうだよブルマさん!

 そりゃ確かに戦わなくて済むよ!」

 

「そんな余計なことしやがったらてめぇらをぶっ殺すぞ!」

 

「……ベジータ」

 

「なんだ!?」

 

「……もう遅い」

 

ラディッツの指さす方に目を向ける。

つい先ほどまで全員座っていたはずの椅子に、空席ができていた。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

北の都の近くの山の中、洞窟を改造した秘密研究所に潜んでいたドクター・ゲロは最強の人造人間を造り出そうとしていた。

全てはかつてレッドリボン軍を壊滅させた孫悟空たちへの復讐のため。

17号と18号は失敗だった。

機能の大部分をパワーに振り向け過ぎたため自分の命令を聞かなかった。

この2体はいずれ修理するとして、今度は全く違うタイプの人造人間19号を造り出そうとしていたところで。

 

「……がっ……なに、が……!」

 

炎の刃が背後から自分の胸を貫いていた。

血を吐き出しながらなんとか後ろを振り向くと、右手に炎の剣を握り左手を自分に向けている女の姿があった。

 

「き、さまは……ヒノ……!」

 

「『火葬(ハルヴァヤー)』」

 

最後まで言葉を言い切ることすら許されず、ドクター・ゲロは肉体どころか魂すら跡形もなく焼却された。

残された研究所の機械の電子音だけが響く場所で、女神は呟く。

 

 

「……よし!」

 

この世界から人造人間の脅威が取り除かれた瞬間だった。

 




人造人間編、完!

……嘘です。
ちゃんと続きがあります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。