『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第95話

 

「これは一体……どういう状況ですか!?」

 

別れてから3年後、約束通りに再びこの世界に戻って来たトランクスは人造人間との戦いの舞台である南の都の近くの島にやってきた。

しかし人造人間も悟空たちの姿もない。

街には破壊の後すら見当たらない。

その後、悟空たちが戦っている気配を察知して北の都の近くにまで移動。

辿り着いた時にはすでに戦いが終わっていた。

そして悟空たちは敵であるはずの二人の人造人間と普通に談笑していた。

 

「おぉ、トランクス!久しぶりだなぁ!無事だったか?」

 

「っ!?ご、悟空さん!?名前はっ!」

 

「大丈夫だって。おめぇが生まれた後で、おめぇのことはみんなにも話したからさ」

 

「ヤッホー!トランクスー!

 お母さんですよー!!」

 

「えぇぇ……?」

 

空中に浮いていたトランクスはブルマに手招きされ、困惑したまま地上へと降りる。

 

「ふぅん、アンタが別の世界の未来から来たって奴?」

 

「っ!?」

 

「わぁー!待ってくれトランクス!

 もうこっちの18号さんたちとは話がついてるからさ!」

 

「話が……ついた!?

 どういうことですか、クリリンさん!?」

 

「ぐぇえぇっ!?あ、あんまり揺らさないで!?」

 

「落ち着けトランクス。それでもサイヤ人の王族の血を引く者か?」

 

「と、父さん……!?」

 

「……それはお前の世界のオレに言うんだな」

 

「もう、いーじゃないベジータ!

 どんな世界でもトランクスなら私たちの息子よ?」

 

「母さん……!」

 

「……フン!」

 

「まったく照れちゃって……ちゃんと説明するから、ね?」

 

「は、はい……」

 

 

改めて状況をまとめる。

3年前、トランクスが元の世界に戻った直後ヒノカミがドクター・ゲロの研究所を襲撃。

17号と18号が動き出す前にドクター・ゲロを始末した。

その後二人の人造人間もドクター・ゲロに無理やり改造された被害者と判明し、ヒノカミとブルマの二人で彼らを再調整して起動。

修行により強くなった悟空たちが彼らと互角の実力を示したことで『命を懸けてまで戦う理由はない』と降参。

自由をくれるなら大人しく生きると約束し、たった今和解した。

 

「ドクター・ゲロが彼らの無意識に埋め込んだ余計な命令は除去した。

 もうお主の世界の彼らとは根本から別物なんじゃよ」

 

「そ……そうは言っても……!」

 

「納得できんじゃろうが、挑むのはやめておけ。

 ゲロが彼らを制御するために詰め込んでいた余計な物を取り除いた分こちらの彼らの方が遥かに強い。

 この3年でお主もかなり強くなったようじゃが、残念ながら相手にならん」

 

「……くっ!」

 

「じゃがいい物も手に入ったぞ」

 

そう言ってヒノカミは、トランクスに大きなボタンが付いた小さな箱を投げ渡す。

 

「これは……?」

 

「17号と18号の緊急停止装置じゃ。

 ドクター・ゲロの研究所に資料が残っていた。

 10メートル以内に近づいてソイツを押せば動きが止まる。

 こっちの二人からは装置を取り除いたが、そっちの二人なら問題なく通じるじゃろう」

 

「っ!?これさえあれば!!」

 

「おいヒノカミ!連中の始末はオレたちに任せることになっていたはずだ!!」

 

「失敗したときの保険じゃよ。

 お主らが失敗しなけりゃいいだけの話じゃろ」

 

「……それで、結局未来に送る二人は誰だ?」

 

「素直に強い順に、悟空とベジータじゃろうな」

 

「よっしゃあ!」

 

「……チッ」

 

「待て!この『ベジータ』を先に呼ぶべきだろうが!」

 

「みみっちいな貴様!」

 

「……なぁ17号、18号。

 お前たちは不快に思わないのか?」

 

「何百年も前に分岐した別の世界の話なんだろ?

 ならオレたちと似ているだけで別人だ。

 どうなろうと知ったことじゃない」

 

「それともヒステリックに騒いだ方が良かった?

 お望みならその通りにしてあげるけど」

 

「いっ!?いや、気分を損ねていないならいいんだっ!」

 

人数が多く状況が混沌としてきたので、掌を叩いて強引に話題を中断させる。

 

「トランクスの世界への出発は3日後とする。

 言った通り、向かうのは悟空とベジータ。

 こっちの17号と18号はトランクスの世界の彼らより強いはず。

 二人と互角以上に渡り合った悟空らなら問題なく対処できるはずじゃ。

 トランクス、タイムマシンをブルマに預けておけ。

 念のためカプセルコーポレーションでメンテナンスをしてもらう」

 

「あ、はい」

 

「悟空とベジータは、無理のない程度に準備をしておけ。

 他の面々は留守番じゃ。

 選ばれなかったことを悔やむならば、各々修行を積んでおくことじゃな」

 

「……おい、精神と時の部屋は」

 

「駄目」

 

「……」

 

圧倒的戦闘力差の相手を短期間で超えなければならなかったフリーザとの戦いとは違い、今回は3年もの期間があったので精神と時の部屋の使用は許可しなかった。

物理的に使えなくしているわけではないが、勝手に使えばすぐバレる。

なのでこうして事あるごとに言質を取ろうと話を振ってくるのだ。特にサイヤ人どもは。

 

「そして人造人間を倒した後は一度戻ってくるつもりじゃ。

 何しろ大仕事じゃからな……儂でも本腰を入れねばならん。

 それに一気に世界中の人間が復活するわけじゃから確実に世界中で混乱が起きる。

 トランクスの世界の者たちには申し訳ないが、十分に準備をした上で復興に取り組みたい」

 

神龍で生き返らせることができるのは『死亡から1年以内』という制限がある。

よってトランクスの世界の地球人たちの蘇生はヒノカミが行わなければならない。

人造人間が生まれてから彼らが暴れたおよそ20年分の死者の蘇生をだ。

地獄に送られた者を現世に連れ戻すのは罪なので蘇生できないが、天国にいる者だけでも途方もない数になるだろう。

 

神龍に地球の復興を望んだとしても衣食住に問題が起きそうだ。

衣服も食料も住居も、ヒノカミならば刻思夢想でいくらでも生産できる。

だがそうすると今度は彼女がトランクスの世界から離れられなくなる。特に食料は常に大量に消費していく。

人造人間がいなくなったのに今度は食糧を奪い合って争いが起きては目が当てられない。

悪がいなくなれば平和な世界が戻ってくる、なんて簡単には行かないものだ。

 

 

三日後。タイムマシンに乗ったトランクスと、ヒノカミに掴まれた悟空とベジータがカプセルコーポレーションの敷地から飛び立った。

 

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