『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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結構ストックが溜まったので、一週間ほど1日2回投稿します。
ストーリーの荒さを勢いで誤魔化します。
つまりいつものことです。


第97話 最凶の人造人間

 

あと一歩だった。

あと一歩で人造人間17号と18号を破壊できるところだった。

しかし物陰から突如飛び出して来た虫のような人型の化け物が17号に襲い掛かり、巨大な尾の先端を広げて17号を吞み込んでしまった。

直後変貌を遂げた化け物は続けて18号をも呑み込み、更に姿を変えた。

 

「な、なんだコイツは!?」

 

「とんでもねぇ……とんでもねぇ気だ……!」

 

緑と黒の装甲、巨大な羽、最初の姿よりかなり人間に近付いたが、まさに虫人間と言った様相。

 

「「「!?」」」

 

虫人間がニヤリと笑ったかと思うと姿を消した。

 

「『牙霊天晴』!!」

 

「ばあちゃん!?」

 

直後、彼らの上空に転移してきたヒノカミが悟空たちの背後の空間に、壁のように巨大な炎の斬撃を発生させた。

虫人間はそれに触れる直前で動きを止めた。

 

反応できなかった。炎が無ければ悟空たちは虫人間に攻撃され、いや殺されていたかもしれない。

 

「16号!!」

 

「うおおっ!!」

 

ヒノカミの叫びに応え、巨漢の男が虫人間に全力で体当たりする。

 

「5分で戻る!それまで任せた!!」

 

「了解した!」

 

「なんだとっ!?どういう……」

 

ベジータの声も無視して鬼が掌を叩く。

すると鬼と悟空たち3人の姿が消えた。

 

「消えた……?」

 

「お前の相手は、オレだ」

 

「16号……その名、貴様も人造人間か。

 ならば貴様も孫悟空抹殺が使命ではないのか?」

 

「そのようなプログラムは既にない。

 今のオレの任務は貴様を倒すことだ」

 

「……出来損ないめ」

 

一瞬で16号の前に移動した虫人間が、16号の頭を蹴りで粉砕する。

 

「……!?」

 

頭部を失った16号は、しかし倒れることなく虫人間の顔に拳を叩きつける。

ダメージはほとんどない。だが驚きで虫人間はわずかにのけぞる。

 

「なんだと……!?」

 

「……悪いが、もうしばらく付き合ってもらうぞ」

 

首の断面から電気のようなものが走ったかと思うと、16号の失われた頭部が超スピードで再生していった。

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

「っ、ここは?」

 

「トランクス!」

 

「母さん!……ってあれ?若い!?

 あっちの世界の母さん!?」

 

「いや……ここはこっちの世界の神殿みてぇだな」

 

神殿に転移してきた瞬間、鬼の鎧を解除したヒノカミが再び掌を叩く。

小さな領域が悟空たちとブルマ、ヒノカミを包んだ。

外側にいたポポの動きが完全に停止している。

 

時間停止能力。

発動中は小さな領域の外に出られないので、できることは少ないが。

 

「……ふぅーーーっ、これで時間が取れる」

 

「おいヒノカミ!あれは何だ!

 さっきの男は何だ!?」

 

「落ち着け、今から説明する。

 男の方は人造人間16号。

 ドクター・ゲロの研究所に封印されていたものを、儂とブルマで改修したものじゃ」

 

「人造人間!?大丈夫なんですか!?」

 

「完全なロボットタイプの人造人間じゃ。

 だからこそプログラムに忠実、裏切ることはない」

 

とは言えやったことと言えば『孫悟空抹殺命令』を削除するくらいだったが。

ドクター・ゲロが16号を失敗作とした理由の一つ。

それは彼があまりにも『優しすぎる』からだった。

 

「そして機械であるからこそホイポイカプセルに格納し容易に運搬できるからな。

 お主らが敗れ、緊急停止装置の起動も失敗した時に備えて、第3の矢として持ち込んだ。

 あ奴の戦闘力は17号や18号、お主らよりも更に上じゃ。

 ……こんな形で頼ることになるとは予想しておらなんだが」

 

「相変わらずばあちゃんは用意周到だなぁ……」

 

「チッ……!」

 

嘘は言わないが、ごまかしや隠し事は普通にする。それがヒノカミだ。

疑わしきがあればその都度とことんまで追及しなければ後で痛い目を見ることもある。

 

「それで、あの化け物の方はなんだ!?」

 

「化け物……何がいたの?トランクス」

 

「緑色の、でかい虫みたいな奴です。

 もう少しで人造人間たちを倒せるところに乱入してきて、人造人間たちを呑み込んでとんでもない化け物に変身したんです」

 

「……あれは『人造人間セル』。

 ドクター・ゲロが遺したコンピュータが造り上げた、最凶の人造人間じゃ」

 

「「「!?」」」

 

「あいつも、人造人間!?」

 

ヒノカミたちがいた世界にてドクター・ゲロを始末した後、彼女は研究所地下に隠された部屋を見つけた。

そこにあったのは巨大な機械。そしてカプセルの中にある小さな命。

残されていた資料を読み漁った結果、それは『多くの強者の細胞を集めて合成し最強の人造人間を造り出す』ためのものだと判明した。

 

ドクター・ゲロは小さな虫のようなスパイロボットを地球中に放ち、悟空たちの情報だけでなく彼らの細胞も集めていた。

しかし完成まであまりに時間がかかりすぎるということで計画はコンピュータに丸投げしていたらしい。

ヒノカミの世界のセルはとっくに対処した。

だが遥か未来の時間軸であるこの世界ではドクター・ゲロが殺された後もコンピュータが動き続けており、セルが誕生していたということなのだろう。

 

「そしてセルの最後のピースが17号と18号。

 奴らを吸収することでセルは完全体となる。

 2体の人造人間が機械ではなくほぼ有機部品のみで構成されていたのもこれが理由じゃ」

 

「貴様!なぜそんなことを黙っていた!?」

 

「それについては謝る。すまん。

 だが言い訳をさせてもらうなら奴が生まれるのはまだ先だと予測しておったんじゃ」

 

ブルマにも協力を仰ぎ研究を精査した結果、このままのペースではセルの誕生まで半世紀近くかかる予測だった。

完成には多くの生物の細胞が必要であり、しかし地球における強者は悟空たちしかいない。

どれほどの強者であろうと少数では駄目だ。それではクローンと大差がない。多様性が重要だった。

だからそれこそ悟空たちの子孫か未知の強豪が生まれでもしなければサンプルが足りないはずだった。

 

「じゃがこちらの世界にはとっておきのサンプルがあった……。

 地球人とも、サイヤ人とも、ナメック星人とも全く異なる最悪のサンプルが……!」

 

「っ!やはり先ほどの奴の気はフリーザとコルドか!!」

 

「えぇっ!?そっちの世界じゃ地球に来なかったの!?」

 

「こちらでは地球に来る前に異星で始末したんじゃよ。

 邪悪さといい能力といい、これほど有用なサンプルはあるまい。

 コンピュータの研究は一気に加速し、そしてセルが生まれた。

 ……後はお主らが見ての通りじゃ」

 




本作の世界ではフリーザとコルドが地球へ来ていません。
だからこそヒノカミが目算を誤ります。
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