『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

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第98話 託した未来

 

「……セルに関して、儂から出せる情報は以上じゃ。

 奴の目的は分からぬが、ゲロの残したコンピュータが作り出したんじゃ。

 決して我らと相容れるものではあるまい。

 そして残念ながら奴には緊急停止装置のようなわかりやすい弱点はない。

 止めるなら、倒すしかない」

 

「……セルって奴、とんでもねぇ気だった。

 結局戦ってねぇけど、今のオラたちじゃ逆立ちしたって勝てやしねぇ」

 

「そ、そんな……」

 

「そうじゃろうな。

 そして地球に奴の敵がいなくなれば……」

 

セルを放置すればやがて地球を破壊し尽くすだろう。

何せフリーザの細胞を取り込んでいるのだ。宇宙空間でも自由に活動できるはず。

そして宇宙を旅しながらあらゆる星を巡り破壊と殺戮を続ける。

支配と略奪が目的だったフリーザよりもたちが悪い。

 

地球そのものを破壊されては流石のヒノカミでも修復できるか怪しい。

『できない』と断言しないだけでも異常ではあるが……。

別世界であるとは言えもはやこれは地球だけの問題ではない。

この世界の宇宙全体の危機である。絶対にここでセルを倒さなければ。

 

「……こうなればお主らの馬鹿げた成長速度に期待するしかあるまい。

 悟空、ベジータ。お主らを儂らの世界へと送り返す。

 トランクスはカプセルからタイムマシンを出して二人に続け。

 一人乗りじゃろうが無理やりにでも押し込んでブルマも連れていけ。

 皆に事情を説明し協力を仰げ。

 精神と時の部屋でもなんでも使って良い。

 奴を倒す力を身に着けてこい」

 

「送り返すって……ばあちゃんは?」

 

「この世界に残る。16号と協力して奴を地球に留めておく。

 ……3日じゃ。何とかして3日持たせる」

 

16号にも無限エネルギー炉は搭載されている。

ヒノカミと同じく休息を必要とせず戦い続けることが可能だ。

改造により自動修復能力も持っているため粉々にされたところで復活できる。

さらにロボットなので精神的な負担を感じない。

ヒノカミよりも経戦能力に優れているくらいだ。

 

「無理です!失礼ですが、ヒノカミさんの実力では……!」

 

「かかか、儂とてこの3年何もしていなかったわけではない」

 

そう言ってヒノカミは再び鬼の鎧を纏う。

この鎧は能力で再現したものだが元は武装錬金、すなわち『機械』だ。

機械は鍛えても成長しないが改造すれば性能は向上する。

そして最高のサンプルなら3年前に手に入れていた。

 

「16号の情報をフィードバックしバージョンアップさせた。

 この鎧を纏った儂の強さもまた16号と同等。

 儂自身が人造人間たちを倒すための『第4の矢』よ」

 

「まだ隠し事があったか貴様ぁ……!」

 

16号の実力は悟空たちが束になっても敵わないほど。

それと同等の強さを持つということは、すなわちいつの間にかヒノカミは再び悟空たちを超えていたのだ。

折角あんなに頑張って追い越したのに。

 

「そりゃねぇってぇ……兄ちゃんが聞いたらまた泣いちまうんじゃねぇか?」

 

「かかか、だからこそ黙っておったんじゃ。

 しかし今のところこれで頭打ち。機械は自然に成長しない。限界を超えられない。

 儂らではセルを倒せぬ。お主らが頼りじゃ。

 ブルマはあっちのブルマと協力して大勢が乗り込める大型のタイムマシンを作ってくれ。

 悟空らはそれを使ってこちらに戻ってきてほしい。3日以内にな」

 

「えぇっ!?3日よ!?完成品があると言ってもそんな簡単に作れるわけが……!」

 

「あっちのブルマはマジで化け物なんじゃよ。

 メンテナンスでデータ取りしとったからおそらくもう構造は理解しておる。

 下手すれば頭の中にはすでに構想があるかもしれん。

 ……正直に言えば儂はセルよりもあいつの頭脳の方が恐ろしいわい」

 

「えぇぇ……そっちの私っていったいなんなのよ……?」

 

「「「……なんだろうな」」」

 

ヒノカミだけでなく悟空とベジータも揃って遠い目をして呟いた。

元々とんでもなかったがナメック星の最長老に潜在能力を解放してもらってから拍車がかかった。

ヒノカミも並外れた技術者だが、ブルマとの頭脳差はそれこそセルとの実力差よりも開きがある。

 

「時間停止を解除したらすぐに二人を送り、セルのところに戻る。

 ……3日で強くなるのが無理だったら戻ってくるな。

 そちらの世界で平穏に暮らせ」

 

「っ!?見くびるなよ!3日もあれば十分だ!

 貴様もセルをも超える力を手に入れてやる!」

 

「ぜってぇ帰ってくる。

 ……それまで、死なねぇでくれよ」

 

「その意気じゃ。……未来を頼むぞ」

 

 

 

 

――――……

 

 

 

 

16号は、確かに17号たちよりも遥かに高性能な人造人間だった。

それでも完全体となったセルとは比べ物にならない。パワーもスピードも遥かに劣る。

だが間もなく孫悟空たちを連れ去った鬼が宣言した5分が過ぎるというのに、セルは未だに16号を機能停止に追い込めないでいる。

 

どれだけ破壊しても即座に再生するからだ。

それだけではなくエネルギー攻撃を無効化し、自在に瞬間移動する能力すら持っている。

レーダーの感度もやたらと優れているようだ。

 

(ドクター・ゲロがこれほどの人造人間を造り出せるとは思えない……あの鬼の仕業か)

 

「16号!待たせた!」

 

そして件の鬼が戻って来た。

 

「孫悟空たちはどうした?」

 

「未来を託してきた……3日で戻る。

 それまで儂らでセルをこの地に留め置く!」

 

「了解した!」

 

(ほぅ……)

 

鬼が何故自分の名を知っているのかも疑問だが、良いことを聞いた。

3日後に孫悟空たちが戻ってくる。おそらく自分を倒しうる力を手に入れて。

自分が最強の存在であると証明することがセルの存在意義。

ならば強くなり戻って来た孫悟空を倒してこそ、セルは本懐を遂げることが出来る。

 

(それまでは、コイツらと遊ぶとしようか)

 

「天神武装『縁炎烏蛇』!!ゆくぞぉっ!!」

 

「『ジェノサイドサーカス』!!ファイア!!」

 

セルの思惑を予想することなどできるはずもなく、鬼神と機人は己の全てをかけて化け物へと挑む。

 

残り、72時間。

 




・超16号

ヒノカミとブルマが改修したアンドロイドタイプの人造人間。
二人の技術者が暴走し『どうせならとことんまで強くしよう』と魔改造された。
ブルマの手により全体的な出力が大幅に向上したことに加え、ヒノカミが錬金術の世界の人型ホムンクルスの再生能力を付与。
さらに彼女が作り出した『簡易武装錬金』が多数埋め込まれている。

『激戦』
:小型化し埋め込んでいる。超速再生が可能に。
『ソードサムライX』
:飾り輪のみイヤリングとして移植。受けたエネルギー攻撃を無効化。
『ヘルメスドライブ』
:高性能レーダーと転移能力を付与。
『ジェノサイドサーカス』
:無限弾倉のロケットミサイルパンチ。
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