ヒノカミのいる世界の神殿へと戻って来た悟空たちは、すぐに先代に頼み仲間たちに呼びかけてもらった。
事情を聴いた彼らはすぐに動き出した。
ブルマはトランクスの世界の自分を連れてすぐにカプセルコーポレーションへと戻り、タイムマシン……いや、平行世界転移マシンの開発を開始した。
三日以内に必ず完成させると断言する。
戦士たちはその言葉を信じ精神と時の部屋へ向かった。
ピッコロだけを除いて。
「正直に言って、こんなに早く融合することになるとは思っていなかった……。
もう少しお前たちを、見ていたくもあったが……」
「気色の悪いことを言うな。
お前はオレがパワーアップを成し遂げるためのきっかけにすぎん」
「そうだな……もはや私の存在意義はドラゴンボールのみ。
ヒノカミがいない今が好機であろう。
あ奴がいれば……絶対に止めようとしただろうからな……」
「…………」
「あ奴によろしく頼む。
私の代わりに叱られておいてくれるか?」
「冗談じゃない!オレを巻き込むな!!」
「フフフ……」
まさか生まれ変わりとは言え、己が切り捨てた悪の半身と軽口をたたき合う関係になれるとは思わなかった。
故郷に行けた。同胞と出会えた。そして未来を託せる者たちがいる。
十分だ。これ以上なく満ち足りた人生だった。
「基本となるお前が私に触れるのだ」
「わかった」
ピッコロが先代の胸に手を添える。
後は先代が望めば融合が完了する。
二人は一人に戻り、隔絶した力を手に入れる。
そしてもう、二度と別れることはない。
「世話になったな、ミスターポポ」
「…………」
「ちょぉっと待ったぁーーーーーーーっ!!!」
「「「!?」」」
しかし先代がピッコロと融合する直前、ブルマが割り込んできた。
「はっ、はっ、間に合ったぁ~~~っ!」
「ブルマ……お前はマシンの開発に取り組んでいるはずでは……?」
「あぁ、図面は描き終えたし大事なところは作り終えたから、後はもう一人の私ととうさんに任せておけば大丈夫よ!」
「「……」」
ピッコロと先代が揃って閉口する。
流石は歴代最強のぶっ壊れの神すら恐れおののく、最強のぶっ壊れの地球人だ。
「一大決心を邪魔して悪いんだけど、お願いがあるの!
……最後にもう一回だけ、ドラゴンボールを使わせてくれない!?」
「ドラゴンボールを?一体何を願うつもりだ?」
「それは秘密!だけどうまくいけば今回の事態は好転するわ!
あっちの世界のセルをやっつける確率が上がるはずよ!」
「……思えばお前には、幼い頃の孫悟空のために願いを譲ってもらった借りがあったな。
ピッコロよ、済まぬが……」
「チッ……半日だけ待ってやる」
「ありがと!」
「ポポ、ボール集めを手伝ってやれ」
「わかった。先代さまの最後のお願い、必ず叶える」
そして数時間後、地球のどこかでドラゴンボールが使用された。
今更ブルマを疑うことはなく、彼女の要望通り願いが何かを盗み聞きはしなかった。
ただ彼女が願いを叶えたという事実だけを確認してから先代はピッコロと融合。
そしてピッコロも精神と時の部屋へと入った。
――――……
三日後、神殿の上にナメック星からの帰還に利用した宇宙船を改良した、巨大なマシンが鎮座していた。
トランクスの世界のブルマは事が終わるまでこちらに残る。向かうのは戦士だけだ。
悟空、ベジータ、トランクス。
ピッコロ、ラディッツ。
ヤムチャ、クリリン、天津飯、チャオズ。
ここまではいつもの面子だ。しかし。
「……本当にいいのか?17号、18号も」
「何?足手まといとでも言いたいわけ?」
「そんなことねぇって!すっげー心強い!
でも二人はようやく自由になれたんじゃないか。
もう危ないことなんかしなくても……」
「「…………」」
皆が二人の人造人間の参戦を歓迎する中で、クリリンだけが難色を示す。
「……アイツやお前らには借りがあるからな。返す前に死なれちゃ気分が悪い」
「むしろ今回の件でチャラってことにしといてあげるわ。
アタシらを吸収するはずだったセルってのにも興味があるしね」
「……わかった。もう止めねぇよ」
そして引き留められようとしている者がもう一人。
「悟飯ちゃん、どうしても行くだか……?」
「その通りだ、悟飯。
……確かにお前は信じられないほど強くなった。
だがまだ子どもだ。ヒノカミはオレや父親に任せておけばいい」
「わかってます、ピッコロさん。
でもただ待っているのもつらいんです。
何ができるかわからなくても、何もしないなんてできない。
僕も一緒に連れて行ってください」
悟空たちと共に精神と時の部屋に入り、本格的に修行を始めた悟飯はとんでもない早さで成長を遂げた。
超サイヤ人に覚醒し、その実力は悟空やベジータやピッコロには劣るもののラディッツやトランクスと同格。
参戦してくれれば頼もしい戦力になることは間違いない。
地球人組はあっという間に追い抜かれていよいよ自信喪失気味になってしまったが。
「……なぁチチ。オラたちが出会ったのも、悟飯くらいの年だっただろ?
だから悟飯にも自分で自分の道を決める時が来たんだと思う」
「悟空さ……!」
「あぶねぇと思ったらすぐ逃げるんだぞ。約束できるな?」
「はい!」
総勢12人の戦士。彼らがマシンに乗り込み始める。
「待って待って!ちょっと待ってー!」
「ブルマ?」
大切な用があるからとこの三日ほとんど不在にしていたブルマが神殿へと転移してきた。
「お願い!この人も連れて行って!」
「…………」
ブルマに続いて白銀のコートと帽子で全身を隠した大柄な男がカプセルから出てきた。
ブルマの後ろで立ち止まり、無言で佇んでいる。
「誰だソイツ?」
「それは秘密!ヒノカミ流に言うなら、『その方がカッコイイから』ってところね!」
「おいブルマ、ふざけている場合じゃないんだぞ?」
「大丈夫よヤムチャ。絶対役に立ってくれる」
「フン、勝手にしろ。死にたいなら好きにすればいい」
「なんかわかんねぇけど、ブルマが言うならそうすっか。よろしくな!」
悟空が差し伸べた手を、コートの男が無言で握り返す。
「で、名前は?」
「それも秘密!でも呼び名がなきゃ不便よね……。
じゃあこの格好にあやかって、『ブラボー』で!いい?」
ブラボーという仮称を名付けられた男はまたも無言で頷く。
「そっか、よろしくなブラボー!」
「…………」
正体不明の人物を加えた13人の戦士は、最凶最悪の人造人間を討つために旅立つ。
正体に気付いた人もいると思いますが、どうか口チャックでお願いします。