『ワン・モア・タイム』   作:緑のおっさん

354 / 792
ついに1つの章の中で3桁目に突入しました。
1話が短いとはいえかなり端折ってるはずなのにこれとは、やはり長編漫画は大変です。

セルに関しては詳細不明ですが、原作悟空との戦いで疲労していたことからセルそのものには無限エネルギー炉は積まれていないと判断。
ただし取り込んだ17号と18号には無限エネルギー炉があったことから、2体分のエネルギーは常に回復していくものと捉えています。
スパロボでいう『EN回復(小)』がついているようなイメージです。
そうでもなきゃ原作で、本気の悟飯との戦いを望んでいたセルがセルジュニアを生み出すことに説得力がないので。さすがに一切消耗無しってのはあり得ないだろうし。


第100話

 

平行世界の神殿へと転移した戦士たちは、カプセルにしたマシンをこの世界のミスターポポに預けて戦場へと飛んだ。

激しい戦いの気配は神殿にまで届いていた。

本当にヒノカミは丸三日間戦い続けているらしい。

 

しかし移動途中で悟空たちは違和感に気付く。

人造人間16号は機械なので気がない。

なのでそこから感じる気はヒノカミとセルの二つだけであるはずだ。

しかし彼らの周囲には悟空たちに匹敵する巨大な気が十数体も存在している。

どれも邪悪で歪、セルの物に非常によく似た気だった。

 

「フッ、ようやくお出ましか」

 

「……来たか、悟空」

 

肩を並べて戦うヒノカミと16号の周りを、大量の小さなセルが取り囲んでいた。

大きなセルは少し高い瓦礫の上に立ち文字通り『高みの見物』を決め込んでいる。

 

「なんだ、このチビどもは!?」

 

「セルジュニア、だそうじゃ。セルが生み出しおった。

 1体1体がとんでもない強さのくせに、倒しても倒しても補充してくるんじゃよ」

 

「「「なにっ!?」」」

 

「「「ウキキキッ!!」」」

 

「お互い様だろう?

 どれだけ壊しても立ち上がるお前たちを相手に戦い続けるのは体力の無駄だ。

 そんなことで最高の戦いに最高の状態で挑めなくなるのは不本意極まるのでね」

 

セルジュニアたちがヒノカミから離れ、地面に降りたセルの傍に集まる。

悟空たちもヒノカミたちの傍に着地。二つの集団がにらみ合う。

 

「私はお前を待っていたのだよ、孫悟空」

 

「オラを……?」

 

「そうだ。強くなった全力の孫悟空をこの手で倒し、私が最強の戦士であると証明すること。

 それこそが私の望み。私は孫悟空との1対1の戦いを所望する」

 

「なんだとぉ……!」

 

孫悟空以外を弱者と決めつけ興味を示さないセルの発言にベジータが苛立ちを隠さない。

こちらの世界では孫悟空が飛びぬけた最強の戦士であったようだが、ヒノカミたちの世界ではベジータとピッコロも悟空と同等の実力を持つ。

ラディッツやトランクスも侮れない。地球人たちも結束すれば悟空でも手を焼く強者だ。

 

「わざわざ付き合ってやる必要はない!

 全員でかかれば倒せる!それで終わりじゃ!」

 

「そうか、ならばこちらも物量で押させてもらおう。

 私がセルジュニアを生み出せなくなるのが先か、お前たちが力尽きるのが先か、試してみるか?」

 

「ちぃ……っ」

 

セルジュニアの実力は、残念ながらヒノカミと16号よりも上。

二人が今まで持ちこたえてこられたのはセルが本気で倒せと命じていなかったことと、ヒノカミたちに多彩な特殊能力と図抜けた継戦能力があったからだ。

悟空たちは再びヒノカミを遥かに超える力を手に入れたようだが何十人ものセルジュニアに特攻を仕掛けられては耐えきれるとは思えない。

セルに集中攻撃するのも難しい。セルジュニアの力は無視できるほど小さくない。

 

「私も戦いながら新たなセルジュニアを生み出す余裕はない。

 誰かが私の相手をせねばならぬはず。それが孫悟空になるというだけの話だろう?

 私が戦っている間にお前たちがセルジュニアを全滅させ、それから合流する。

 それが一番可能性が高いのではないかね?

 もちろんここからはセルジュニアはお前たちを殺すつもりでかかり、私はその前に孫悟空を倒してしまうつもりだが……」

 

「……わかった。オラがおめぇの相手をする」

 

「それしか、ないか……!」

 

セルが顎で指示して後ろへと飛んでいく。

悟空はセルジュニアたちの間を通り抜けてその後を追う。

 

「「「……ウッキャーーーーーーッ!!!!」」」

 

二人の姿が見えなくなった直後、セルジュニアたちが一斉に襲い掛かって来た。

 

「てめぇらは下がっていろ!」

 

「ヒノカミさまは遠方から攻撃を!

 アナタは万が一誰かがやられた時の蘇生役です!

 決して前には出ないように!

 16号とやらは彼女を守ってくれ!」

 

「すまん!」

 

「任せろ」

 

ベジータたちはヒノカミを追い越して前に出る。

12人がセルジュニアたちと激突した。

 

一刻も早くこいつらを倒して、悟空とセルの戦いに乱入しなければならない。

仲間意識の強くないベジータも、セルを倒すのは自分だとやる気に満ち溢れている。

 

「ぐっ、コイツら……!」

 

「ちっせぇのにとんでもない強さだ!」

 

しかしセルジュニアの実力は彼らの予想を超えていた。

ラディッツと悟飯とトランクス、そしてブラボーが1体を相手にしてほぼ互角。

ベジータとピッコロはセルジュニアより強いが、複数体から襲い掛かられているため苦戦している。

後ろに下がったヒノカミと16号が遠距離攻撃で全体をサポートし、地球人組は連携することで数体からの猛攻を何とか凌いでいる。

 

しかし17号と18号は追い詰められていた。

 

「くそっ、オレたちが、こんなチビ共に……!」

 

二人も少しだけだが精神と時の部屋で修業し、実力を増していた。

有機部品だけで構成されたタイプだからこそ、彼らは人造人間でありながら修行を積むことで成長できる。

単体で見れば地球人たちよりも強いだろう。しかし今回は相手が悪すぎた。

双子らしく連携しつつ2体を相手取っているがどんどん追い込まれていく。

 

「あぶねぇっ!!」

 

間一髪、クリリンの伸ばした気練縄が二人の人造人間を引き寄せた。

お陰で二人は九死に一生を得たが、彼らが相手していた2体のセルジュニアまで地球人組に狙いを定めてしまった。

 

「おいクリリン!」

 

「すいません、ヤムチャさん!つい……!」

 

「そこを責めるつもりはないが、これでは……!」

 

4人の内側に匿われた17号と18号は、せめてもの抵抗としてセルジュニアたちに気弾を撃ち続ける。

ほとんどは避けられ、幾つかは直撃したがまるでダメージを受けた様子はない。

 

「ちぃっ……あんな偉そうな口を叩いてこの体たらくか……!」

 

「我ながら情けなくなるね……!」

 

「そんなことねぇよ、この状況なら一人でも戦力が多い方が……!!」

 

そして二人の戦い方を見てクリリンが気付いた。

 

「17号、18号!アンタたちはエネルギー切れが無いんだったよな!?」

 

「あ?あぁ、それがどうした!?」

 

「だったら……!」

 

クリリンは二人に繋いだままの気錬縄からエネルギーを吸収する。

 

「なにを……」

 

「二人の気をありったけオレに送り続けてくれ!

 ヤムチャさんたちは、準備が終わるまで時間稼ぎを!!」

 

「っ?わ、わかった!」

 

3人が防御に専念している間にクリリンが二人の人造人間から、無尽蔵のエネルギーを吸い取り続ける。

 

「はぁぁぁぁああああっ!」

 

「「「!?」」」

 

そして吸い取った気を全て天神武装として肉体の表面に留める。

気の鎧はどんどん分厚くなっていき、傍にいた仲間たちすら内側に飲み込んでしまった。

今クリリンが抱えているエネルギー量はそれこそ悟空やセルすらも上回るだろう。

だが明らかに制御限界を超えており、クリリン自身も鎧が枷となって満足に動けない。

 

「ばあぁっ!!」

 

クリリンはゆっくりと両手を天に掲げ、巨大な気弾を発射した。

しかしそれは気弾ではなく気錬縄。

遥か上空で割けて広がり、戦場全体を包み込む巨大な網籠を造り出す。

 

こちらの世界にヒノカミはいなかった。

であればこちらのクリリンは天神武装を習得しておらず、セルもセルジュニアもその特性を知らないはずだ。

 

「へへへ……これがホントの、一網打尽ってな!!」

 

網籠が少しずつ小さくなっていく。

内側にいる敵も味方も、全部巻き込んで。

 

「っ!?おい!!」

 

「ウキャッ!?」

 

その特性を知る仲間たちは網から距離を取り内側に逃げるが、セルジュニアは網を破壊して抜け出そうと突っ込んだ。

そして網に触れた瞬間にエネルギーを吸い取られる。

触れては不味いと気付き気弾に切り替えるがそれも吸収されてしまった。

次いで起点であるクリリンを倒そうとするが、分厚い気の鎧に阻まれて攻撃が届かない。

 

「ウキャッ!ウギィィッ!キィィーーーッ!!」

 

「うぎぎ……へへ、一世一代の大捕り物だ!

 絶対に止めてやるもんか!」

 

クリリンは額に脂汗を滲ませながら、気の鎧を叩き続けるセルジュニアを前に不敵に笑う。

仲間たちはチャオズの力で気の鎧に干渉してもらいその内側に迎え入れた。

ヒノカミと16号は転移で外側に逃げている。網の中にいるのは敵だけだ。

 

「「「ウギィィーーーー……!」」」

 

遂に小さくなった網に捕まり、エネルギーを吸い取られていくセルジュニアたち。

 

「勢いを緩めるな!死ぬまで吸い取りつづけるんだ!」

 

「……わかってる……!」

 

化物とは言え幼い見た目から罪悪感が湧き上がるが、セルジュニアが全員力尽きるまで気錬縄を解除しなかった。

やがて遂に最後の一体が息絶える。

 

「……はぁっ、はっ、はっ……」

 

気力も何もかも使い果たしたクリリンが技を解除すると同時に倒れこんだ。

 

「やりやがったなクリリン!大手柄だぞ!」

 

「は、ははは……」

 

「とはいえ、これ以上の戦闘は不可能じゃな。

 精神力を疲弊し過ぎておる。お主はこのまま休んでおれ」

 

「いえ、お願いします!オレも最後まで見届けさせてください!」

 

震えながら立ち上がろうとするクリリンを、17号が掴み上げた。

 

「コイツはオレたちが連れていく。それでいいだろ?」

 

「悔しいけど、アタシらは足手まといだったみたいだからね。

 だけどお守りくらいはしてみせるさ」

 

「……頼む。では急ごう」

 

一行はセルと悟空のもとへと急ぐ。

二つの気が激しく激突している。

 

 

「……悟空!!」

 

 

彼らが戦場に到着した時。

空中でセルと掴み合う悟空の背中に。

セルの背中から伸びたが尾が突き刺さっていた。

 




本作ではセルが生体エキスの収集を行っておらず、悟空たちはセルが尾を突き刺して相手のエネルギーを奪う能力を持っていることを知りません。
アニメのGTにて地獄にいた完全体のセルが悟空に尾を伸ばしていたシーンがあるらしいので、完全体になっても尾を伸ばすことは可能としています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。