世界を移動したヒノカミはピッコロを伴いあの世へ。
閻魔大王に隠すことなく全てを明かし、天国にいる地球の住人達を現世へ戻す許可がほしいとひたすらに頭を下げた。
ピッコロも普段のヒノカミからは想像もできぬ平身低頭ぶりに目を向いたほどだ。
困惑した閻魔大王も最終的には理解し、折れてくれた。
ヒノカミは『グレートスピリッツ』でもある。他者の霊体をその身に内包できる。
蘇生させる者の魂を受け入れれば何度もあの世とこの世を往復する必要は無い。
その数は億単位で、天国中を巡って魂を集めるだけでもとんでもない労力がかかるが、普通の人間だけなら一度で済むだろう。
だが存在が大きい悟空たち強者はヒノカミという器からはみ出しかねない。
なのでまずは彼ら、悟空とその関係者たちを神殿で生き返らせた。
突如謎の女に天国から現世に連れてこられた彼らはトランクスとブルマに抱き着かれつつ困惑していたが、ヒノカミはそれを放置して再びあの世へと戻って行った。
ヒノカミの世界のピッコロを残し彼に説明を放り投げて。
自分たちの世界の神さまと融合したという別世界のピッコロ、一層知的になった彼から説明を受け、ようやく戦士たちは状況を理解し落ち着きを取り戻した。
「トランクスとブルマに感謝することだな、ベジータ。
地獄にいたお前を蘇生する許可が降りたのは、二人の功績があればこそだ」
「……余計なことを、くそったれが」
「と、父さん……」
「言ったでしょトランクス、あんまりベジータに夢持たない方がいいって。
あっちのベジータは妙に大人になってたけど」
「なぁ、神コロさまもそのセルってのと互角なくらい強ぇんだよな?
オラと戦ってくんねぇか?オラ天国でもいろんな奴相手に修行してたんだ。
どのくらい通用するか試してみてぇ!」
「断る。それと妙な名を付けるな」
「えぇ~……じゃあそっちの世界のオラとならどうだ!?
オラならわかってくれるんじゃねぇかなぁ、聞いてみてくれねぇか!?」
「駄目に決まっているだろうが!!」
蘇生されたと思えばそれを喜ぶ前に戦いを望むとは、本当にこちらの世界の悟空はとにかく戦いが好きらしい。
自分の世界の悟空も叶うなら戦いたいと言い出すかもしれないが、ヒノカミの許可が降りなければ素直に引き下がる程度の分別は持ち合わせている。
二つの世界は、今日を最後に完全に関わりを断つことになっている。
ヒノカミがトランクスに預けていた目印の水晶は回収し破壊した。
二人のブルマにもマシンを破壊しその資料を全て破棄するよう命じてある。
平行世界同士の干渉は新たな平行世界を産む可能性が非常に高い。
今回はヒノカミが注意し注力していたのでそれぞれの世界に新たな分岐は生じていないが、これからも問題が起きないという保証はない。
複数の世界が干渉し合うことは本来とても危険なのだ。
特に近似した世界の場合、どちらかが一方に飲み込まれ消滅する可能性すらあるとのこと。
「こちらの世界のことは、あとはお前たちだけでなんとかしろ。
お前もいい加減に神の後継を見つけることだ」
「わかっている。……しかしヒノカミか。
こちらの世界にも彼女がいてくれればと、思わずにはおれんな」
「やめておけ。
……見つけたとしても本当にやめておけ」
彼女には二つ名がいくつかある。
『天女』、『魔女』、そして『敵に回すと恐ろしいが味方にすると胃に優しくない奴』。
水しか飲まないナメック星人は胃が無いはずなのに、時折鈍痛に襲われるのだ。
そして体の構造がまるで違うからこそ胃薬もない。
ヒノカミの前でその素振りを見せると治療しようかと提案してくるが、原因はお前だ。
「……そろそろ奴が現世に戻り、人間たちの蘇生を開始するはずだ。
その前に神龍を呼び出し、荒廃した地上を復興してもらえ」
「わかった」
「っと、アタシも準備しないと」
ピッコロの予想通り、地上で死者が蘇り始めた。
直前に突如地上の自然や建物が修復されたこともあり地上は予想通り大混乱に陥ったが、蘇った者たちがこぞって『女神さまが蘇らせてくれた』と口にしたことで、すべては『神の御業』として受け入れられ人々は天に祈りと感謝をささげた。
間もなくブルマがカプセルコーポレーションを通じて人造人間の討伐を発表し、地上は歓喜に包まれる。
続いて物資や仮設住宅をカプセルにして各地に手配するとも伝える。
何しろ、人造人間たちが破壊活動を続けて20年が経っているのだ。
昔に殺されていた者が一度住んでいた場所に、後で別の人間が移り住んでいたケースもあるだろう。
蘇った人間も億単位となれば神龍に戻してもらった備蓄でも足りない。
なのでヒノカミの世界から十分な量を融通してもらっている。
いずれは自分たちで賄えるようにしなければならないが、初期の混乱は最小限に抑えられるだろう。
蘇った者たちが天国にいた善人ばかりとはいえ、人は飢えれば理性を失うものだ。
「ふ~~~い……流石に疲れたわ」
やがてふらりと神殿に現れた女に皆が視線を向ける。
魂を受け入れて、情報を読み取って、肉体を再構成して、それぞれが死んだ場所で蘇生させる。
それを数億回。精神的な疲労は尋常ではない。肉体的にはともかく。
「終わったか」
「んむ。ここ20年の地球の死者は全員蘇生した」
「マジかよ……すげぇんだな、あっちの神さまは」
「あの!ありがとうございます!!」
「なぁに、お主らが頑張ったからじゃ。胸を張れ」
ヒノカミは『努力すれば必ず報われる』などと言うつもりはないが、そうであってほしいとは願っている。
彼らのお陰でヒノカミの世界でも早期に人造人間を発見し、対処することができたのだ。
その恩を思えばこの程度の苦労、どうということはない。
「……では、行くとするか」
「そうだな」
「えっ!?もう、ですか!?」
「やるべきことはすべて終えた。もうこの世界に儂は必要ない。
あとはお主らがお主らの力で、お主らの道を歩んでいけ」
「はい……そのっ……本当にありがとうございましたっ!!」
トランクスに続き、戦士たちが一斉に頭を下げた。
「かかか……ではな」
そして女神ともう一人のピッコロは姿を消した。
これが最後とは思えぬ、あっさりとした別れであった。
天国で修業した悟空たちが蘇ったことで、こちらの未来でもやがて起きるバビディとの戦いが優位に進みます。
具体的には、界王神が死にません。
神さまはピッコロと融合しますが原作同様デンデに来てもらうのでドラゴンボールもあります。
ただベジータだけは地獄にいたので修行なんかできず弱いままなので、相応に苦労するでしょう。
原作にてトランクスの未来での戦士たちの描写はあまりなく、アニメの方もどんな描写があったか覚えていませんが、超サイヤ人にすらなれていないかも。